米国債:上昇、新興市場株と商品の値下がりで買い-利回り5%割れ(2)

米国債相場は上昇。10年債利回りはほぼ1 カ月ぶりに5%を割り込んだ。新興市場株式と商品相場の値下がりで、債券の投 資妙味が増した。

米財務省は今週、220億ドルの2年債と140億ドルの5年債入札を実施する と発表。この後も債券は買い進まれた。クレディ・スイス・セキュリティーズU SAの金利戦略グループ責任者、ドミニク・コンスタム氏は、世界中でリスク許 容度が低下し、「債券は安全な投資先として買いを集めた」と指摘した。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時現在、 10年債利回りは前週末比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し て5.04%。一時は4.99%まで下げ、4月25日以来で初めての5%割れとなった。 10年債(表面利率5.125%、2016年5月償還)価格は1/8強上げて100 21/32。

東京市場などでの株安を受けて、米国債はアジア時間帯に上昇を始め、欧州 時間帯に入ってから上げが加速した。ただ、米国時間帯の午後に米国株が下げ渋 ると、米国債は伸び悩んだ。

ABNアムロの米国債トレーディング部門責任者、リック・クリングマン氏 は、「質への逃避に加え、ここ3日間にリスク許容度を低下させる動きがみられ たことが債券に追い風となった。株式が値を戻した途端に、債券への資金流入が 止まった」と指摘した。

新興市場株式が続落

新興市場株式は10営業日続落し、過去8年間で最長の下げ相場となった。 メキシコやブラジル、コロンビア、フィリピンなどの債券価格が値下がりし、米 国債とに対するスプレッド(上乗せ利回り)が4営業日連続で拡大した。。

JPモルガン・チェースのEMBIプラス指数によると、エマージング債の 米国債に対するスプレッドは9bp拡大して2.15%ポイント。一時は2.24%ポ イントと、1月以来の最大に拡大した。5月初めの時点では、同差は1.73%ポ イントだった。

クレディ・スイスのコンスタム氏は、この日の債券高が他の金融市場をめぐ る懸念に基づくものであることを考えると、「強気になるのは難しい」と話した。 同氏は、10年債利回りが6月末までに5.25%に達すると予想している。

メリルリンチの債券マスター指数によると、米国債の年初来の投資リターン はマイナス1.32%。5月に入ってからはプラス0.24%。

10年債は先週、値上がりし、週間ベースでは昨年9月以来の大幅上昇とな った。一連の利上げでインフレが抑制されるとの見方が背景。

フィッシャー総裁

ダラス連銀のフィッシャー総裁は、ダラスでの講演後に記者団に対して、 「インフレとインフレ期待の高まりに対し、引き続き警戒する必要がある」と指 摘、ダラス連銀のインフレ指標は「幾分の懸念を呼び起こすものだが、今後の指 標に注目する」と話した。

インフレ連動債(TIPS)の利回りは、投資家がインフレ懸念を高めてい ることを示唆した。10年物TIPSと米国債の利回り格差は2.63%ポイント。 今月内には2.74%ポイントまで拡大し、2005年3月以来で最大となる場面もあ った。

パイオニア・インベストメント・マネジメントで約40億ドルの債券投資 に携わるアンドルー・フェルタス氏は、「TIPSは好ましい投資セクターだ。 インフレ圧力に関する懸念がある。インフレはリスクとなり、連邦準備制度が憂 慮すべきものであることを示す兆候が出ている」と話した。

米商務省が25日に発表する第1四半期(1-3月)の実質国内総生産(G DP)改定値についてのエコノミストの予想中央値は、前年同期比5.8%増。速 報の4.8%増から上方修正が見込まれている。また26日に発表される4月の個 人消費支出(PCE)のコア物価指数は、前年同期比2.1%上昇が予想されてい る。3月は同2%上昇だった。

連邦公開市場委員会(FOMC)は5月10日の会合で、フェデラルファン ド(FF)金利誘導目標を0.25ポイント引き上げ、5%に設定した。金利先物動 向は、6月29日会合での利上げの確率を58%織り込む水準となっている。4月 に同確率は42%だった。

リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの米国債トレーディング責任者、 スコット・ゲビルツ氏は、「ここしばらく金融当局の動向が読みづらくなってい る。次回の会合までに連邦準備制度は次の一手を示すと予想している」と話した。

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