証券各社は今後のデフォルト増を予想-ディストレスト債チーム強化

ロンドンのカナリー・ワーフから香港のエ クスチェンジスクエア(交易広場)、ウォール街まで、証券会社は世界各地で 好業績をおう歌している。一方で、モルガン・スタンレーやドイツ銀行、クレ ディ・スイス・グループを含めほぼ全社は信用環境の悪化を予想しているよう だ。

株価や商品相場の上昇が続く一方で、各社は経営難や破たん企業の社債や ローンに投資するディストレスト債を専門とするバンカーやトレーダーのチー ムを拡充させている。各社は、インターネットバブル破裂で信用収縮が起こり、 US航空などが倒れた2002年の再来に、備えているのだ。

大手米企業は11四半期連続で10%以上の増益を実現している。しかし、イ ンフレ加速と金利上昇見込みのなかで、新たなデフォルト(債務不履行)の波 が襲うことを、トレーダーらは予想している。高リスク・高利回りのジャンク 債とレバレッジドローンによる調達額は2005年、過去最高の9210億ドル(約 103兆円)に達した。これらの調達にかかわる業務で手数料を得た証券会社は、 今度は低コストのマネーが枯渇し投資家がパニックに陥った際に利益を上げる ことを狙っている。

元メリルリンチのハイイールド債調査責任者で現在はフリッドソンビジョ ンを経営するマーティン・フリッドソン氏は「デフォルトとディストレスト債 が近いうちに増えることは確実」とみている。同氏は、ジャンク債のデフォル ト率が4年前のピークの11%強を超える可能性があるとして、「人々が考えて いるよりもはるかに悪い状況になるだろう」と話した。

現在のところ、「景気は好調で企業の資本構成に対する外部からの圧力は ない」とモルガン・スタンレーの企業クレジットグループ責任者アーミンズ・ ルシス氏は話す。しかし、「ある時点で圧力が顕在化し、そのときにはディス トレスト債取引の機会が増えるだろう」と同氏は述べた。

サンフォード・C・バーンスティーンのアナリスト、ブラッド・ヒンツ氏 によると、ディストレスト債トレーディングの収益は2002年に、25億ドルを超 えピークとなった。同氏は「今、信用市場の環境が悪化に転じれば、ディスト レスト債トレーディングの事業規模は02年よりも20%拡大する」とみている。

モルガン・スタンレーは、40人規模の欧州ディストレスト債グループを過 去3年でゼロから構築した。業界内で最も古くからディストレスト債部門を持 つドイツ銀行は、1992年の部門設立以来着実に人員を増やしている。クレディ・ スイスは欧州ディストレスト債トレーディングチームを過去2年で2倍の25人 規模にした。UBSは、米国に同様のチームを立ち上げようとしている。米リ ーマン・ブラザーズは2001年以来、企業再編専門要員として米従業員14人を 配置している。