ECB:政策金利据え置き-総裁の「警戒」発言で6月利上げか(2)

欧州中央銀行(ECB)は4日、フランク フルトで定例政策委員会を開き、短期金利の調節手段である短期買いオペ(売 り戻し条件付き債券買いオペ=レポ)の応札最低金利を2.5%で据え置くことを 決めた。同委員会後の記者会見でトリシェ総裁は「強い警戒」という言葉を用 い、来月にも追加利上げを実施することを示唆した。

トリシェ総裁は、「中期的に物価安定に対するリスクが現実化せぬよう、 政策委員会は強い警戒を行っていく」と発言。さらに、「もしわれわれのシナ リオが確認されれば、金融の緩和的スタンスをさらに後退させることが保証さ れるのは明らかだ」と述べた。

ECBは昨年12月から金融緩和を正常化する局面に入っており、政策金利 (当時2%)を同月と今年3月にそれぞれ0.25ポイントずつ引き上げている。 トリシェ総裁はこれまでにも利上げが近いことを示すのに「警戒」という文言 を用いており、この日の会見の冒頭演説でも少なくとも3回使用。しかもここ 2週間に発表された経済指標はユーロ圏の景気加速を示している。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の通貨戦略部門責任 者、エイドリアン・シュミット氏は、トリシェ総裁が次回の定例政策委で50ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)の利上げの可能性も排除しな かったと解釈し、同総裁は「タカ派的だった」と指摘。その上で、景気拡大が 進めば、「6月に25bp、9月に再度25bpの利上げがある」と予想した。

トリシェ総裁の発言を受け、金融市場では債券利回りが上昇。ドイツ10年 国債利回りは、フランクフルト時間午後3時49分現在、2bp上げて4.02%。 ユーロの対ドル相場は1ユーロ=1.2644ドルと、会見前の同1.2600ドルから上 昇している。

インフレリスク高まる

景気拡大に加え、原油価格がここ1年で43%も急騰したことから、ユーロ 圏のインフレリスクは高まっている。ニューヨークの原油先物相場は4月に、 1バレル当たり75.35ドルを付けて過去最高値を更新。また、ECBがインフ レ参照値としている拡大M3(現金、要求払い預金、定期貯蓄性預金、投資信 託の一部)は3月に、ほぼ3年ぶり高水準の伸びを示した。

ECBは今年のユーロ圏インフレ率が同中銀の目安(2%をやや下回る水 準)を7年連続で上回ると予想している。同中銀の予測はインフレ率が2.2%、 経済成長率が2.1%。ECBは同見通しを更新し、来月に公表する。

金利先物相場をみると、市場参加者らがユーロ圏の政策金利が年末までに

3.25%へ引き上げられると予想していることがうかがえる。フランクフルト時 間午後3時19分現在の3カ月物金利先物(12月限)は3.53%。3カ月物欧州 銀行間貸出金利(EURIBOR)は1999年のユーロ導入以来、ECBの政策 金利を平均15bp上回っている。

この日の政策金利の据え置きは、ブルームバーグ・ニュースがエコノミス ト46人を対象に実施した事前調査では、全員が予想していた。ECBは、上限 政策金利の限界貸出金利と下限政策金利の中銀預金金利も、それぞれ3.5%、

1.5%で据え置いた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE