【米経済コラム】商品は冷酷な弱気市場、崩壊は悲惨に-C・カリアー

世界の商品市場は金融史に新たなページを 加えつつある。

商品市場の力強い上昇局面には、偉大なる世界経済の好況再来をうかがわ せるものがある。例えば銅相場を見てみると、価格はこの2年間でほぼ3倍に 跳ね上がった。

また商品市場をいつも騒がせている原油は先週、初めてバレル当たり75 ドルを突破した。金価格はトロイオンス当たり650ドルを超え、25年前に記 録した過去最高値に迫った。銀は4月28日、上場投資信託(ETF)のiシ ェアーズ・シルバー・トラストがデビューを飾ったことを背景に、8%急騰し た。

1980年代から90年代にかけ、株式や債券の活況を横目にじっと我慢して いた商品投資家は、最近の相場高騰を目の当たりにして商品投資への信望を強 めている。

同時に、警戒を呼びかける声も聞かれる。これまでの経験から、上昇局面 がどんなに長くとも、いつか相場は崩壊に向かい、70年代に最後にみられた 急騰終了の二の舞になるとの見方は多い。

昔ながらの商品投資家は、銀相場がわずか4カ月足らずで約75%下げた 80年代初期のことを忘れていない。オーストラリアのアクセス・エコノミク スが1日に発表した、ブローカーや調査会社を対象にまとめた商品高騰に関す る調査では、この先2年で考えられる値下がり率は最大50%とされている。

観測

ティベリウス・アセット・マネジメント(スイス、ツーグ)の商品取引責 任者、クリストフ・エイブル氏は、「現在の相場はファンダメンタルズだけで は正当化できない」と語る。「まだ天井が見えてこないが、一気に崩れるリス クは非常に高い」と付け加えた。

逆張りを得意とする投資家は、こうした根強い懐疑的な指摘をかえって、 復活した商品市場にはまだまだ上昇の余地がある兆候として受け止めるかもし れない。確かにその可能性はある。

現在の市場サイクルがどのような展開になろうと、今の上昇局面には依然、 弱気市場の中での上昇の特徴がすべて当てはまる。ここで言う弱気市場とは、 経済史における冷酷な力が支配していた1世紀以上も昔に遡る。

ブルームバーグの端末を使って分析したところ、1979年から1999年の20 年間、ゴールドマン・サックス・グループの現物商品価格指数は年間で1%低 下した。S&P500種株価指数はこの間、年率18%のペースで上昇した。

昔話

これは別に新たな展開ではない。商品取引の助言サービスを提供するデ ィ・トマッソ・グループ(加ブリティッシュコロンビア州ビクトリア)はウェ ブサイトで、「実質ベースでみれば、現在の商品価格の多くは、ほぼ100年ぶ りの安値に相当する」との解説を掲載した。 ( http://www.ditomassogroup.com/ditomassocontent.htm ).

この解説は商品に関する非常にネガティブなファンダメンタルズを物語る。 具体的には、世界経済はその基盤を農業と製造業から、サービスと情報へと移 すことで成長してきたという事実だ。世界経済はまさに、この方向に突進し続 けている

こうした流れに逆行する力として、ここ数年では中国とインドなど成長著 しい新興国経済が台頭してきた。その結果が、石油や銅などあらゆる原材料へ の新たな需要だ。

ただし、こうした新興国経済は21世紀を舞台に浮上してきたものであり、 産業革命が起きた19世紀とは状況が異なる。特にインドではテクノロジーの 躍進と情報重視が信条とされており、これは世界全体にも言えることだ。

輝かしい価値

ここで銅などの商品の輝かしい価値を軽視するつもりはない。銅は天然色 が美しいだけでなく、ワイヤー、パイプなどの原材料として非常に有用だ。問 題はただ、インターネット検索エンジンのグーグルで「ワイヤレス」と入力す ると、0.1秒もたたないうちに11億件の検索結果が表示される時代に、どこ までワイヤーに強気になれるかだ。

商品の役割が低下している事実は、最近の米経済統計でも明白だ。私が住 む地域ではガソリン価格がガロン当たり3ドルを突破したが、統計で見る限り、 米国経済は力強く成長している。

オーク・アソシエーツ(オハイオ州アクロン、運用資産60億ドル)の主 任投資ストラテジスト、エドワード・ヤルデニ氏は、「エネルギー価格が 2004年から急ピッチで上昇したにもかかわらず、経済は著しい堅調を維持し ている」と指摘。「個人消費支出におけるガソリンの比率は1981年には5% だったが、現在ではわずか3%にとどまっている」と述べた。

商品にとどめを刺す材料がもうひとつある。価格が上昇するほど、それだ け採鉱や採掘、生産が促され、新たな供給が生まれるという事実だ。仮に環境 や経済の事情で新たな備蓄が確保されないとしても、チャート上で価格が上振 れするたびに、代替商品への需要が喚起されることになる。

偉大な商品相場復活がいつまで続くのか、予想はできない。長期にわたれ ばその分、好況が突如終わりを告げる時の痛手は大きくなる。

(チェット・カリアー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストで す。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE