米利上げ局面で物件「売り出し中」の看板増加-高級住宅値下がり続く

米ニュージャージー州モーウォーにある広 さ5000平方フィート(約465平方メートル)のコロニアル風の住宅は、もう1 年間もずっと売り出し中となっている。3度値下げした後も、まだ買い手は見 つからない。

この住宅を所有する歯科医のマーヤム・サファイさん(44)は、「相場にあ わせるつもりはない。今の値段以下では売らない」と話す。ベッドルームが5 室あるこの住宅の最新価格は169万ドル(約1億9900万円)だ。

ニュージャージー州北部をはじめとして、全米の住宅相場は冷え込み始め ている。大半の地域で住宅価格の伸びが鈍化しており、米連邦準備制度が利上 げを続けた効果が少なからず表れている。グリーンスパン前連邦準備制度理事 会(FRB)議長は、住宅相場高騰を「泡」と呼んで警戒していたが、連続15 回に及ぶ利上げはリスクの高い資金に対する需要も低下させている。

2月の米新築一戸建て住宅販売は前月比10.5%減となり、マイナス率は 1995年以降で最大。中古住宅販売も過去半年のうち5カ月減少している。その 結果、米住宅市場の売れ残りは過去最高の300万戸に達した。

全米不動産業者協会(NAR)は、住宅販売が今年さらに減少し、価格の 伸びはますます鈍化すると予想している。住宅ブームで最大の値上がりを見せ た高級住宅が、冷え込みも最も大きい。

コンサルタント会社(ノースカロライナ州シャーロット)のジェフ・ライ オンズ氏は、「過去数年間、大幅高となった市場はさらに調整がある。初めて住 宅を買う人を対象とした市場は引き続き堅調だが、より大きな家に住み替える ため家を探している人はより慎重になっている」と指摘する。

売り出し中

ビクトリア朝風のタウンハウスが立ち並ぶボストンのサウスエンド、ブラ ッドフォードストリートで、住宅市場低迷の兆しを見つけるのは難しいことで はない。

ベッドルーム10室のタウンハウスのオーナーで映画プロデューサーのケネ ス・キナさん(41)は、「去年は住宅が市場に出ると、すぐさま売れていった。 看板など見ることは決してなかった」と語る。だが今はキナさんが住む近くだ けでも「売り出し中」の看板が3つ、掲げられている。

オンライン住宅ローン会社レンディングトゥリー・ドット・コムのアンソ ニー・シー最高経営責任者(CEO)は、100万-400万ドルの住宅を求める買 い手は「特に金利に敏感」だと指摘する。「月々の支払いだけでも相当な額にな るため」だからだという。

エコノミストらはまだ、今年が住宅市場にとって悪い年ではないと考えて いる。米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)のチーフエコノミスト、デービッ ド・バーソン氏は、中古住宅販売が9.2%減の640万戸、新築住宅が7.4%減の 119万戸と見積もっている。減少にもかかわらず、ともに過去3番目の高水準に なるという。同氏によれば、「今年の住宅販売落ち込みの最も大きな部分につい ては、投資家が原因」なのだそうだ。

「泡」の原因

金融当局の利上げを受け、最初は金利のみを支払うインタレストオンリー 変動金利ローンが減少している。これは短期金利と密接に連動しているローン で、資産を最大限に増やそうとする買い手や、不動産投資で短期的利益を得る ためコストを最小限に抑えたいと望む投機家が、頻繁に利用している。

エドワード・グラムリック元FRB理事は、「おそらくこれは良いことだ。 利上げが、リスクの高い短期住宅ローンを利用する人の数を減らしている」と述 べる。

ファニーメイによれば、変動金利住宅ローンは1月の融資申請全体の30% 以下となった。2005年の年間平均は36%だった。アクセス・ナショナル・モー ゲージ(バージニア州レストン)のディーン・ハッケマー社長は、「融資の借り 手は今、長期固定金利の安全性を選んでいる。変動金利と固定金利ローンの金 利格差は小さく、ほとんどの住宅購入者は安心感を得るため多少の差額を喜ん で支払っている」という。

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