米住宅ブーム終息で個人消費減速か―クレジットカード融資も低調

米ミネソタ州ロチェスターに住む介護士ジ ュリー・ジョンセンさん(43)はこの2年間に2回、住宅ローンを借り換えた。 住宅を担保に資金を借り入れるホームエクイティローンを活用し、ほかの債務 返済に充てるためだが、金利が上昇し、住宅ブームが落ち着いた今は新たな借 り入れはせず、「消費を控えめにしている」と言う。

ジョンセンさんのような住宅所有者は昨年、借り換えとホームエクイティ ローンを通じ過去最高となる2790億ドル(約33兆1600億円)の現金を手に入 れた。だが、フレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)によれば、今年はホ ームエクイティローンが50%減少する見込みだ。所得とクレジットカードによ る借り入れもこの落ち込みを補うほどに増えることはないとみられ、つまり個 人消費が鈍化し、経済成長の下押し要因となる可能性が高い。

2001年のノーベル経済学賞受賞者、コロンビア大学(ニューヨーク)のジ ョゼフ・スティグリッツ教授はインタビューで、「われわれは住宅を担保に資 金を得ることで、消費を維持している」と指摘。その上で「年3、4%の成長 率を続けるために必要な消費の伸びを維持することはできなくなるだろう」と 述べている。

住宅価値の上昇が下支えとなり、個人消費は02年以来、国内総生産(GD P)の約70%を占めるまでに拡大、第2次世界大戦後で最高の割合となってい る。

資産効果

エコノミストらはホームエクイティローンと、いわゆる資産効果が、消費 ブームを引き起こしたと考えている。資産効果とは、消費者が保有資産の価値 上昇に自信があるときに、消費を増やす傾向のことだ。

米証券大手メリルリンチは2月10日付のリポートで、05年はこれだけで個 人消費が1200億ドル膨らみ、経済成長率を1ポイント押し上げたとしている。 メリルの北米担当チーフエコノミスト、デービッド・ローゼンバーグ氏は、「住 宅ブームに伴う資産効果が過去数年間の消費市場を支えてきた」と話す。

米セントルイス連銀のウィリアム・プール総裁ら一部には、住宅ブーム終 息が個人消費に与えるマイナスの影響を雇用市場が穴埋めするとみる者もいる。 プール総裁は3月8日の講演で、「住宅市場動向よりも、所得や雇用の伸びな ど、マクロ上の経済情勢の方が通常、家計や消費動向により大きな影響を与え る」と語っている。

ただ、議会予算局(CBO)によれば、今年の所得の伸びは昨年を下回る 見込みだ。賃金と給与は昨年6.2%増加したが、今年は5.7%増にとどまるとし ている。メリルリンチのローゼンバーグ氏は、「これがまさに個人消費の減速 を加速させる」と語る。

貯蓄率もギャップを埋めることにはならない。過去10カ月のうち8カ月は 貯蓄率がマイナスで、05年の貯蓄率はマイナス0.4%と、1933年以来で最低の 水準となった。

クレジットカードはどうだろうか。「衣服など高級品の買い物を減らすつ もり」と話すジョンセンさんによれば、カード支払いを増やすことなどあり得 ないという。

最近の数年間は、ジョンセンさんのようなマイホームを持つ多くの消費者 が、低金利のホームエクイティローンで現金を手にし、高金利のカードローン の支払いを行ってきた。

その結果、2003-05年のクレジットカードローンの伸び率は年1.8%と、 それまでの5年間の10%を大きく下回った。03-05年は少なくともクレジット カード1枚を持つ1世帯平均のカード債務の伸び率は年2.2%だったが、1997 -2002年は年平均8.6%に達していた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE