政府:量的緩和解除を容認、日銀判断をひとまず尊重―物価数値を評価

日本銀行による量的緩和政策の解除の決定 に、政府内からは、日銀の判断を尊重するとともに、中長期的な物価安定の範 囲として消費者物価指数の前年比「0-2%程度」との数値を示したことに対し 「従来より透明性を増す」(谷垣禎一財務相)と評価する声が相次いだ。

政府の条件を日銀が受け入れ

「仮に金融緩和を解除した段階には、二度と、失敗したから元に戻すとい うようなことがあってはならない」(小泉純一郎首相)。今月6日の参院予算 委員会で量的緩和政策の早期解除に慎重な姿勢を示した小泉首相の答弁が、こ れまで「政府見解」として位置づけられていた。

しかし、この日の政策決定会合に政府代表として出席した赤羽一嘉財務副 大臣が、福井俊彦日銀総裁による量的緩和政策の解除の提案に対し、議決延期 請求権を行使することはなかった。会合後、記者会見した赤羽財務副大臣は、 その理由として「日銀からゼロ金利政策を継続し、引き続き経済を金融面から 責任を持って支える姿勢が示された」ことを挙げた。

政府が求めた「条件」を日銀が受け入れ、実行する姿勢を明確にしたこ とから、その判断をひとまず尊重し、矛先を納めた格好。政府と日銀の対立に よって市場を混乱させる事態も回避し、結果として、各閣僚から「政府・日銀 はデフレ脱却という目標に向けて一体で協調する」(安倍晋三官房長官)とい う協調路線があらためて強く示された。

「まだデフレを脱却したと言えない状況」との認識を示していた小泉首相 も、「(日銀は)景気が回復の足取りがしっかりしてきてデフレ脱却の兆しが 見えてきたという判断を下したのだと思う」と日銀の判断に理解を示した。そ のうえで、「今後、金融政策の正常化に向かっていく展開を期待したい」と述 べ、「日銀の判断を尊重する」と語った。

当初、数値目標の設定に難色を示していた日銀が、消費者物価指数をベー スにした「目安」を設定し、量的緩和政策の解除後の金融政策の透明性を確保 したことで、政府の反発が和らいだ面もある。小泉首相も「デフレ脱却に向け て、政府としっかり協力していこうというメッセージ」と語り、日銀が政府や 与党の要望に十分配慮したとして一定の評価を与えた。

ゼロ金利解除には依然慎重-政府

一方で、安倍官房長官は、今回決定した物価目安を維持できなかった場合 の責任問題について、「日銀は独立性の中で責任を持って判断した。常に政策 を決定するものには、当然、責任が伴う」と語り、日銀が重責を担っていると の認識を強調。その実行可能性に注目が集まることになりそうだ。

金融政策の新たな課題として、政府側からは、ゼロ金利の解除に慎重な姿 勢も示された。谷垣財務相は、同日、福井日銀総裁と電話で話した際に、「ゼ ロ金利政策継続による実体経済の下支え」を要請。与謝野馨・経済財政政策・金 融担当相も、「にわかにそれ(ゼロ金利政策)がいつなくなるかを議論するの は時期尚早」と述べ、当面継続する必要性を訴えた。

--共同取材:山村敬一、鈴木偉知郎  Editor:Kosaka

David Tweed (81)(3)3201-2494 dtweed@bloomberg.net

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