日本債券(終了):上昇、超長期など押し目買い-解除は織り込み済み

債券相場は上昇(利回りは低下)。前日の欧 米債相場が下落したことや、朝方発表された強めの消費者物価指数(CPI) を受けて、量的緩和策が来週の日銀金融政策決定会合で解除されるとの観測が 高まり、売りが先行した。ただ、市場では量的緩和解除はすでに織り込みとみ られ、材料出尽くしから押し目買いが増えた。午後に入ると超長期債が堅調と なり、相場水準を押し上げた。

損保ジャパン・グローバル運用部の黒田泰則グループリーダーは、朝方発 表のCPIを受けて来週の量的緩和解除はほぼ確実となり、材料出尽くしとい うことで押し目を待っていた向きが買いを入れたと説明。「午後の開始後にはや や売りが出たものの、腰は入っておらず、その後はショートカバー大会といっ た様相となった」と言う。

東京市場の先物中心限月3月物は、前日比40銭安い135円40銭で始まり、 直後に135円37銭まで下落。ただ、2月27日に記録した直近の安値(135円 29銭)までは至らず、その後に買いが入ってくると水準を切り上げ、10時10 分すぎには135円92銭まで上昇。その後は小幅に安い水準でもみ合っていたが、 午後2時すぎから買いが優勢になると、一時は22銭高い136円2銭まで上昇。 結局は136円1銭で引けて、終値では2月23日以来の136円台回復となった。

この日の債券相場は弱気に傾いていた朝方と、現物債の買いで戻りを試す 展開となった午後の取引終盤では市場の雰囲気が一変した。

寄り付き前には、2つの大きなマイナス材料に見舞われた。欧州中央銀行 (ECB)の利上げを受けて2日の欧米債券相場が下落したことと、市場で注 目度の高かった1月の全国CPIが事前予想を上回ったことだ。債券市場では 利回り曲線上で割高感の残っていた10年ゾーンが1.69%と、約1年7カ月ぶり の高い水準で寄り付いた。

しかし、節目とされる1.70%までの売りはなかったうえ、先物3月物につ いては、今週はじめにつけた直近安値にすら届かなかった。金融政策変更に敏 感な中期債に押し目買いが入ると、相場は落ち着きを取り戻し、午後に入って 生命保険などとみられる投資家から超長期債に買いが入ると、先物3月物は来 週の限月交代に向けた買い戻しもあって136円台を回復した。

岡三証券の坂東明継シニアストラテジストは、「寄り付きが1.69%だったが、 そこで買いが入り、相場は自律反発となった。超長期債の堅調ぶりが目立って おり、それだけ値ごろ感が出ていたといえるが、来週にはイベントが多く、前 半は値動きが荒くなりそうだ」と話していた。

全国コアCPIは前年比0.5%上昇

午前8時30分に発表された1月の全国コアのCPIは、変動が大きい生鮮 食品を除くコアで前年同月比0.5%上昇した。原油高に伴う電力、ガス料金の値 上げ、固定電話通信料値下げの影響がはく落したためで、4カ月連続で前年比 ゼロ%以上となり、来週8、9日に開催される日銀金融政策決定会合で、2001 年3月に導入された量的緩和策が解除されるとの見方が強まった。

同時に発表した2月の東京都区部のCPIコアは前年比0.2%上昇した。98 年8月以来7年5カ月ぶりに上昇した1月に続きプラスとなった。

市場では事前予想の前年比0.4%上昇でも量的緩和解除の可能性が取りざ たされていただけに、0.5%上昇にやや上振れしたことで、9日解除がほぼ確実 といった見方が広がった。

金融政策に敏感な短中期債利回りは朝方こそ上昇していたが、その後は低 下しており、市場では「午前の動きを整理すると短中期ゾーンは量的緩和解除 を織り込んでいた。今回のCPIが目標となり、これに向けて売られてきたの で、いったん買い戻しが入った」(新光証券・三浦哲也債券ストラテジスト)と の指摘が出ていた。

もっとも、来週の日銀金融政策決定会合に対する警戒感は強い。来週に量 的緩和解除を決定した場合、日銀は今後の金融運営方針も同時に示すとみられ るためだ。

損保ジャパン・グローバル運用部の黒田氏は、今後の枠組みというか、道 しるべの方法で違ってくると指摘。ケースとしては、「ソフトなインフレターゲ ティングなど数値を盛り込んだものと、米国のように文言だけで市場と対話を 行うものがある。前者の場合は、1%近くのインフレとなるまでゼロ金利は解 除されないということになるが、後者だと夏場以降の利上げが視野に入る」と みていた。

10年債利回りは1.615%―朝方は1.7%に接近

現物債市場で、2日に入札された10年物の277回債利回りは、前日の終値

1.655%より3.5ベーシスポイント(bp)高い1.69%で取引を開始。これは、新 発10年債として、2004年8月6日(1.715%)以来およそ1年7カ月ぶりの高 い水準。しかし1.7%というのが、市場で買いのターゲットとみられていたこと もあり、その後は水準を切り下げる展開。午後3時すぎには1.615%まで低下し た。その後は1.615-1.62%で推移している。

ECB利上げ受け欧米債が下落

朝方の債券市場では、欧州中央銀行(ECB)の利上げや追加利上げ観測 を警戒して、欧米の長期金利が上昇したことも、円債市場で売り材料視されて いた。2日の米国債相場は、ECBの利上げを受けて、海外投資家の高利回り 債への購入意欲が強まるとの観測を背景に下落した。

ECBが政策金利を0.25%引き上げたのは予想通りだったが、理事会後の 記者会見で、トリシェ総裁が「金利は依然として非常に低水準で、金融政策は 引き続き緩和的だ」と発言。さらにECBが06年、07年について成長見通しと インフレ見通しをそれぞれ上方修正したため、ユーロ圏の金利先高観が強まり、 独連邦債に売りが膨らんだ。

(債券価格)                               前日比        利回り
長期国債先物3月物         136.01        +0.21         1.763%
売買高(億円)               59876
10年物277回債               99.83                  1.62(-0.035)
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