後藤田政務官:利息制限法は廃止、出資法下で上限金利を段階引下(4)

後藤田正純・金融庁政務官はブルームバー グのインタビューで、銀行や貸金業者による金銭貸借の利息に上限を設けた利息 制限法を廃止し、出資法の上限金利(年)29.2%は維持しながら、業者の規模や 貸出額などで上限金利を段階的に引き下げたいとの考えを明らかにした。具体的 な上限金利は、アイフルや武富士など大手消費者金融会社で現行水準よりも引き 下げる一方、銀行では利息制限法がなくなることで引き上げが可能になりそうだ。

後藤田政務官は、上限金利について「今の29.2%を上げるというのはあり えない。かといって、利息制限法のなかに合わせるというのも今の消費者金融の ビジネスモデルを考えるなら難しい」と述べる一方で、「出資法で制限があれば、 そもそも利息制限法はいらないのではないかと思っている」と指摘した。

金融庁は貸金業制度に関する懇談会を随時開催し、消費者金融会社やクレジ ットカード・信販会社のキャッシングサービスなど貸金業の融資ルール見直し作 業を進めている。上限金利は、出資法で年29.2%、利息制限法では元本に応じ て年15-20%と異なっており、その中間に、いわゆる「グレーゾーン」が生じ ている。消費者金融会社は、利息制限法の上限金利20%を超えても、一定の要 件を満たし、顧客が任意に支払えば29.2%まで受領できる。

「パンダではなくホワイトベアー」

消費者金融会社がこのグレーゾーンでビジネスを展開していることが社会問 題化しており、最高裁は1月、事実上の支払い強制があった場合を無効とする判 断を下した。後藤田政務官の今回の発言は、こうした上限金利のあり方をめぐる 議論に波紋を投げかけそうだ。

「まっとうなビジネスのあり方として、白黒はっきりとしたルールづくりが なされるべきだ。パンダはだめ、ホワイトベアーになってくださいという大前提 を掲げながら、金利も業態によっては下げる」と後藤田政務官はいう。また、 「過剰貸付は今まで以上に厳しく、しっかり規制していく」と述べ、違反があれ ば厳しく処分していく方針だ。

後藤田政務官は、アイフル、アコム、プロミス、武富士など貸出金が1兆円 を超える大手消費者金融業者について、中小企業と比べて無人店舗など低コスト でビジネスを全国展開できるほか、広告力もあるため、上限金利を29.2%より も下げるべきだとし、貸出額でも例えば10万円、50万円、100万円などで区切 り、金利を分けていくべきだとの考えを示した。ただ、詳細についてはまだ白紙 の状態だという。

金融再編の動き加速

また、仮に利息制限法が廃止されると、三菱UFJフィナンシャル・グルー プといったメガバンクなど銀行は、より高い金利で融資ができるようになる。た だ、銀行は消費者金融会社のような与信審査や回収のノウハウに乏しく、高金利 融資ビジネスの参入に際してアコムなど消費者金融会社に頼らざるを得ない。総 合金融(コングロマリット)化を進める大手銀行は買収や提携を積極化すること につながり、消費者金融業界の再編が加速する可能性が出てきた。

野村証券金融経済研究所の飯村慎一アナリストは、「これはパラダイムシフ トだ。130年続いた法律をなくし、金利を見直すというのはとても画期的」とい う。また、「利限法がなくなれば金融機関は0%から29.2%の金利の間で競争 を始めるようになり、メガ銀行も積極的に消費者金融ビジネスに乗り出すべく、 自分で行うのには与信能力とリピュテーション(評判)リスクという観点から難 しいので、M&Aを行い、業界再編のきっかけをつくるだろう」とみている。

また、利息制限法が廃止され、グレーゾーンがなくなれば、外国の金融会社 がより積極的に日本で消費者金融業務を行うようになるだろうと、メリルリンチ 日本証券の魚本敏宏リサーチアナリストは指摘する。

魚本アナリストは「これまで2つの法律が存在するという、いびつな状況が 続いていた。裁判所では消費者のグレーゾーンをめぐる係争数が増えていただけ に、2つの法律が一本化できれば画期的だ」という。さらに、「シティグループ やHSBCなど多くの海外の金融機関がグレーゾーンで法律に抵触すること恐れ ていたが、今後は攻勢に出るかもしれない」との見方を示した。