板硝子:ピルキントン完全子会社に、総額6160億円-板ガラス首位(6)

日本板硝子は27日、英大手ガラスメーカー のピルキントンを完全子会社化すると発表した。世界3位のピルキントンを取り 込むことで板ガラス分野のシェアが世界トップに並ぶとともに、日系をはじめと した主要な自動車メーカーに画一的な品質を提供できるとしている。有利子負債 の借り換えを含めた買収総額は30億ポンド(約6160億円)に達する。

日本板硝子は現在ピルキントン株の約20%を保有しており、残りの株式に ついて1株165ペンス(約340円)を支払う。株式をすべて買い取る場合の資金 は約18億ポンド(3585億円)とみている。さらに負債借り換えや諸経費を含め ると買収総額は12億ポンド増えると見込んでいる。

この資金調達のため英国での新規銀行借り入れで3180億円、修正条項付き の転換社債型新株予約権付社債(MSCB)発行で1100億円、手元資金と有価 証券売却で889億円、日本での新規銀行借り入れで450億円、その他で541億円 を確保する。

統合会社は板ガラスの世界シェアが14%となり、旭硝子および仏サン・ゴ バンと同シェアを握る見通し。グループでの売上高は7600億円に達する。世界 の板ガラス市場は約4.4兆円相当とされている。

株主にメリット、自動車メーカーへの供給体制強化

東京本社で記者会見した出原洋三会長は、地域、技術で補完的関係にあるう えにスケールメリットを享受できることを挙げ、「株主にとっても大きな付加価 値が見込める。これは友好的買収であり、理想的な合併」と説明。さらに統合会 社はグローバルなサプライヤーとして「主要な自動車メーカーに最善の品質とコ ストを供給できる」と強調した。

出原会長によると、板硝子はピルキントンに対して、阿部友昭副会長、藤本 勝司社長、仁田昌邦専務の3人を役員として派遣する一方、今回の買収を機に人 員削減を行う考えはなく、有力ブランドであるピルキントンも存続させる方針を 明らかにした。同社は約3年前から完全子会社化の検討を始めたとしている。

大和総研の安藤祐介アナリストは、ピルキントンを完全子会社化する日本板 硝子について「すでに欧州や中国に生産基盤を持っている旭硝子に対抗できる事 業基盤を確立できる。特にトヨタ自動車への販路確保が大きく、これが主目的と いえる」と指摘した。

買収価格を数度引き上げ

1株165ペンスの買い取り価格はピルキントン取締役会の了解、賛同を得て 合意したとしている。この価格はフィナンシャルアドバイザー(FA)のラザー ド、UBS(UBSインベストメントバンク)と大和証券SMBCの助言を踏ま えて決定した。

日本板硝子は昨年10月末にピルキントン取締役に株式買い取りを提案した。 この段階では1株150ペンスを提示したが、ピルキントン取締役は価格が低過ぎ るとして拒否した。その後は口頭や文書を含めて買収価格を155ペンス、158ペ ンスと引き上げたが、いずれもピルキントン取締役は拒んでいた。

165ペンスについて日本板硝子は「ピルキントンの資産、事業内容について 総合的に検討、FAの意見も踏まえて妥当と判断した」としている。

コスト回収期間についてコメント控える

日本板硝子は英裁判所での手続きやピルキントンの株主総会を経て、6月下 旬にもピルキントンの株主に株式の対価を支払う予定。ピルキントン完全子会社 化での今期(2006年3月期)業績への影響はないとしている。来期(2007年3 月期)以降の収益への影響は今後あらためて発表する。

阿部副会長は、ガラス市場が「国内総生産プラス1%以上の成長をしてい る」として成熟市場説を否定。またキャッシュフローは健全であり、「投資適格 の格付けを維持できると確信している」と述べる一方、コストの回収期間につい ては言及を避けた。

信頼関係に基づいて経営

板硝子の04年度売上高が約2650億円なのに対し、ピルキントンは4920億 円。ピルキントンの従業員数は、板硝子の約2倍の2万4000人に達する。

出原会長は、ピルキントンの主要経営陣が残留することなどを説明したうえ で、これまでの信頼関係に基づいて「じっくり話をしてやっていく」と語り、世 界ベースでの経営体制について慎重に取り組むことを表明した。

買収効果

相乗効果としては、3年以内に税引き前利益で年44億円のコスト減と予想 している。具体的には開発資源の重複解消や資材共同調達での価格引き下げ、生 産分担での稼働率向上といった分野を見込んでいる。長期的な効果としては、あ らためて発表する。

資金調達でのMSCBは、大和証券SMBCに770億円、UBS(ロンド ン)に330億円を割り当てる。発行日は3月15日、償還日は2009年3月13日 で、利率はゼロ。日本板硝子は、諸条件を工夫して1株当たり価値の希薄化配慮 したとしているが、このMSCBによる潜在株数は現在の発行済み株式の43% に達する。

板硝子の株価終値は、前週末比25円(5.2%)高の509円。

--共同取材 東京 鈴木 宏 Editor : Okimoto(kzt)

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