田辺薬株が高い、開発中断のMS治療薬が治験を再開するとの期待も

中堅医薬品メーカー、田辺製薬の株価が上 昇。同社が国内ライセンスを有する多発性硬化症治療薬「T-0047」に絡み、開 発元の英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)が近々、欧米臨床試験 を再開するとの観測が広がり、買いが優勢となった。

午前9時7分現在の株価は、前日比7円(0.6%)高の1248円。朝方から 小口の買い注文が断続的に入っている。

T-0047は炎症に関与する細胞が接着しないようにする薬剤。具体的には 「α4β7/ α4β1」という特定の細胞接着因子を阻害することにより、多 発性硬化症の進行などを抑制できるとされている。

同薬をめぐっては、「α4β7/ α4β1」を同じく標的とする同系統治 療薬「タイサブリ」で2例の死亡例が出たことを受けて、2005年3月に米食品 医薬品局(FDA)が英GSKなどに米国での臨床試験を中止するよう命令。 GSKや田辺薬の株価が急落した経緯を持つ。

今回、T-0047の欧米での臨床試験が再開されるという期待が広がっている のは、タイサブリの販売を手掛けていた米バイオ3位のバイオジェンが15日(日 本時間16日早朝)の決算発表の場で、「数週間以内にタイサブリの臨床試験を 開始する」と指摘、3月7日から開催されるFDAの諮問委員会でタイサブリ の再承認が取得できるとの見通しを示唆したため。

タイサブリの再承認期待や好決算などを受けて15日のバイオジェンの株価 は急騰。一時4.6%高の46.39ドルを付けたほか、出来高も過去5営業日の2倍 程度まで膨らんだ。タイサブリは04年11月にFDAの新薬承認を取得、アナ リストらはピークには年商30億ドルになるとみて、期待を寄せていた。しかし、 05年3月に死亡報告を受けて、自主回収。販売を中止した。

日興シティーグループ証券の山口秀丸シニアアナリストは、「タイサブリ が再度承認されそうだという話は何度となく出ていたが、今回は『confirm(確 認)』されたと書かれており、若干のポジティブ材料」とみている。

また今後の展開について山口氏は、「英GSKは『683699』(田辺薬での 開発コード名はT-0047)の試験再開に向けてFDAと交渉していると思われ る。683699の試験が実際に動き出せば本当にポジティブ」としている。

ドイツ証券の舛添憲司シニアアナリストは、「そもそもタイサブリに関す るニュースで田辺薬の株価が上がったり下がったりしたのがおかしいと思って いた」と指摘する。ただタイサブリの自主回収とT-0047の開発中断で田辺薬の 株価がいったん動いてしまった以上は、「FDAのレビューでタイサブリの承 認確度が高まれば、田辺薬の株価にもポジティブに働くのではないか」(舛添 氏)と言う。

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