バーナンキFRB議長:追加利上げ必要も-「総需要にかなりの勢い」

ベン・バーナンキ新連邦準備制度理事会 (FRB)議長は15日、下院金融委員会で就任後で初の証言を行い、米国経済 は持続可能な拡大基調にあるとの見解を示し、さらに、インフレ抑制のために追 加的な利上げが必要となる可能性があると述べた。

バーナンキ議長は、「景気は引き続き拡大の軌道にある」と語り、さらに、 エネルギー価格の上昇のほかに、「インフレ見通しに関してさらに留意すべきこ とは、景気が現在、比較的に高い水準の資源稼働率を伴って拡大しているという ことだ」と話した。

バーナンキ議長は、米国経済には耐久力があり、生産設備や労働の資源がフ ルに活用されていると指摘、さらに、経済指標で予想を上回る強い数字が続けば、 インフレ抑制のために追加的な利上げが必要となる可能性もあると指摘した。

議長は「総需要にかなりの勢いが見られ、生産が持続可能なペースを逸脱す る可能性もある。それに対応する金融政策なくしては、最終的にさらにインフレ 圧力がかかることもあり得る」と話した。議長は1月31日の連邦公開市場委員 会(FOMC)声明で示された「若干のさらなる利上げが必要かもしれない」と の認識に賛同すると付け加えた。

バーナンキ議長は1日、アラン・グリーンスパン前FRB議長の後任として 就任。この日の議会証言で、FRB議長として初めて連邦準備制度の経済見通し や金融政策に対する考えを披露した。バーナンキ議長は、グリーンスパン前議長 のリスク管理アプローチを賞賛し、金融政策運営には「合理的な経済理論に基づ く厳密な分析」を用いる必要があると述べた。

危ない橋を渡らず

MFRの主席米国エコノミスト、ジョシュ・シャピロ氏は、「バーナンキ議 長は継続性を強調して追加利上げを示唆しつつも、危ない橋を渡らないようにし ている。政策面で大きな変化はないと市場に伝えようとしている」と話した。

バーナンキ議長の議会証言を受けて、米国債はほぼ変わらず。2年債利回り は午後5時12分現在、4.69%(前日4.68%)。一時は4.71%まで上昇した。ド ルは堅調だった。連邦準備制度は2004年6月以来、14度にわたって政策金利を 引き上げ、現在、4.5%に設定している。

JPモルガン・チェースのチーフエコノミスト、アンソニー・チャン氏は、 「追加利上げに向けた素地が作られている。バーナンキ議長は、連邦準備制度の 従来の政策を概ね維持することで、継続性を保とうと努めている」と話した。

米国経済の拡大期は5年目に入り、1月の失業率は4.7%と、過去4年以上 で最低の水準に改善した。14日に発表された1月の小売売上高は前月比2.3%増 と、過去5カ月連続で増加した。

金融緩和解除で大きな進歩

バーナンキ議長は「金融緩和政策の解除では大きな進歩があった」と述べ、 向こう数四半期にわたり金融当局者は、「インフレと成長の両方に対するリスク 判断を暫定的に打ち出し続ける必要がある。金融政策決定に際しての、経済指標 への依存度が高まっている」と話した。

バーナンキ議長は、住宅市場の減速が景気拡大のリスクと指摘する一方で、 住宅市場は「暴落」というよりも「緩やかな軟化」のほうが可能性として高いと 話した。議長は「住宅市場が若干減速していることを示す兆候がある」と述べ、 さらに「住宅市場が予想される範囲で減速したとしても、力強い景気見通しと一 致することに変わりはないだろう」と語った。

バーナンキ議長の議会証言後の金利先物動向には、3月28日の連邦公開市 場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド金利の誘導目標が引き上げられる 確率が100%近いとする市場関係者の見方が反映されている。

バーナンキ議長は長期利回り低下の理由として、「世界的な貯蓄過多」と 「実質的な金利とインフレにまだみられない変化」が起きる可能性に対するリス ク認識の低下を挙げた。

逆イールドカーブ

2年物米国債利回りは4.69%と、10年物米国債利回りの4.61%を上回り、 逆イールドカーブ現象が発生している。10年債利回りは今回の利上げ局面が始 まった04年6月とほぼ同じ水準にある。

連邦準備制度がインフレ指標として着目する個人消費支出(PCE)価格指 数は10-12月期に食品とエネルギーを除くコアベースで前期比年率2.2%上昇 した。

バーナンキ議長は「2005年にインフレ圧力は強まった。エネルギー価格の 急騰がインフレ全体を押し上げ、企業のコストや家計を圧迫した」と指摘。ただ、 「長期的なインフレ期待は抑制されているようだ」と話した。

エネルギー価格が非エネルギー・サービス価格に転嫁することを阻止してい る要素のひとつとして、バーナンキ議長は「生産性の向上と名目賃金・給与の上 昇が総じて緩やかだったこと」を指摘した。さらに、議長は緩慢な賃金の伸びに もかかわらず、「家計はほどほどに良好なようだ」と付け加えた。