灯油の業者間相場:寒波一服などで下落基調-販売増も収益は限定か

灯油の業者間現物相場や先物相場が下げ基調 となっている。昨年後半からの厳しい寒波を受けて品不足感が一時深刻化したも のの、寒波の一服に加えて、輸入などによって石油各社の供給体制が徐々に追い 付き、ひっ迫感が後退しているためだ。12月の販売量が急増するなど需要は好調 だが、調達コストも上昇しているため、収益への影響は限定されると石油会社な どはみている。

業者間卸売価格として参考にされている業界誌リムの灯油現物価格(京浜地 区)は、10日時点で前日比500円(0.8%)安のキロリットル当たり6万5000円。 東京工業品取引所の期近3月限は午後1時25分現在、前週末比1380円(2.4%) 安の5万5450円。リム価格は昨年12月半ば、期近ベースの先物価格が12月初め 以来の水準となっている。

東工取の期近物終値は1月10日に8万1660円、京浜地区の現物価格は同16 日に8万1000円の高値を付けた。燃料商社最大手、伊藤忠エネクスのカーライフ 事業本部・供給統括部の畑直秀部長によると、全国的に厳しい寒波に見舞われた ことを受けて「12月末は各社ともに現物手当てに追われる状態」に陥り、品不足 感が深刻化した。特に海上輸送が困難になったことで日本海側の供給不安が深刻 化し、タンクローリー輸送で代替した。このため、太平洋側のローリー供給にも 一時、不安が生じたという。

ただ、寒波が一段落したうえに、新日本石油をはじめとした石油各社が2月 の増産や輸入に乗り出したため、1月半ば以降になると先物相場主導で下げる展 開。現物相場も「以前は独歩高で異常な状態だったが、輸入品も入ってくるので、 落ち着いて下げている」(畑部長)という。

収益効果は限定-採算性の低下で

石油統計によると、12月の灯油全国販売量は前年同月比30%増の508万キロ リットル。伊藤忠エネクスの12月販売量は、前年比50%強の増加を示した。同社 の畑部長は、昨年1-2月の販売量が増えたことも考慮して、下期ベースで「前年 並み程度は目指す」(畑部長)考えだが、灯油の調達価格自体が上昇したため、 利益が急増するわけではないとしている。

新日本石油の平井茂雄常務も3日の決算会見で、灯油販売の急増は必ずしも 同社利益の急増にはつながらないと説明。供給を最優先させる方針に基づいて高 価なスポット品を輸入しているうえに、灯油の生産比率を引き上げようとすると 割高な軽質原油を使わざるを得ず、「原価上はプラスにならない」(平井常務) という。

みずほインベスターズ証券の河内宏文アナリストは、灯油小売価格と原油と の価格差が開いていることから、「石油会社側からみた灯油の収益性は改善して いる」と分析。ただ、相対的に販売量の多いガソリン市況が低迷していることか ら、燃料油全体で見た場合には「採算性が悪化している可能性がある」と慎重な 見方だ。

先週の現物相場-室蘭製油所の事故にも反応せず

新日石の室蘭製油所(北海道)では、5日発生した火災の影響で、灯油や軽 油などを作るための水素化分解装置や残油脱硫装置などが停止した。主要な需要 地における事故にもかかわらず、前週の灯油現物相場は下げ続けており、現時点 では「業界全体で品薄感が台頭することはない」(みずほインベスターズの河内 氏)と受け止められている。

今後の灯油市場については「需給に余裕のある状況ではない。2月以降の寒 さの状況がかぎ」(伊藤忠エネクスの畑部長)とされるが、もともと2月以降に なると灯油の需要は減少する傾向がある。気象庁によると、東京は13日から14 日にかけて3月末から4月の気温になると予想しており、厳しい寒波が再び到来 しなければ、灯油相場の上昇力も限定されることになりそうだ。

新日本石油の株価は前週末比21円(2.3%)安の878円、東燃ゼネラル石油 は同17円(1.5%)安の1101円、伊藤忠エネクスは36円(3.8%)安の921円 (午後1時30分現在)。