G8財務相声明:原油高は依然リスク、市場機能の重要性を強調(5)

 モスクワ市内で開催した主要8カ国(G8) 財務相会合は11日午後(日本時間同日夜)、高値で不安定な原油などエネルギー価 格を含めたリスクが依然として存在するとし、世界的エネルギーシステムの機能効 率化に「市場メカニズムが非常に重要」とする共同声明を採択して閉幕した。世界 経済については、成長は堅固で、2006年も持続するとの楽観的な見通しを示した。

市場メカニズムを重視した背景には、一部アジア諸国などが補助金によって石 油小売価格を人為的に抑制し、市場の透明性を歪めていることが念頭にある。こう した価格統制は当事国の財政負担を増大させ経済成長を阻害するリスクがある。

声明では、エネルギー市場機能の改善のため、産油国や消費国などの「世界的 政策対話の強化」に合意したことを明記。また、探鉱や生産のほか、輸送および精 製能力について必要な投資を円滑化することや、エネルギーの効率性改善の重要性 を訴え、このことがエネルギー生産・消費の多様化、代替エネルギー源の開発、環 境保護も容易にすると指摘している。

これまでG8財務相会合やG7では、産油国による増産や安定的な供給のため 生産能力の増進を求める一方、昨年米国の南西部を襲った超大型 ハリケーンで露呈 した米国の精製能力を踏まえ、消費国側の精製投資に対する重要性に触れてきた。 今回はその中間段階である「輸送」の問題にも新たに言及したことが特徴。

これは今年1月はじめロシアとウクライナの間で天然ガスの価格交渉 を巡る 紛争で供給が一時的に停止したことで、ウクライナ経由のパイプラインで天然ガス の供給を受ける欧州各国の懸念が高まった背景があると見られる。G8会合では、 ウクライナとの問題について直接の言及は控えられたものの、各国はロシアがエネ ルギーの安定供給で重要な役割を果たすよう求めた。

G8関係者によると欧州の懸念を緩和するため、ロシアは欧州向けに新たな ガス田の開発やパイプラインの建設を検討することを伝えたという。

ロシアも共通認識

谷垣禎一財務相は会合後の会見で、原油価格の高止まりが経済に与える影響 については「G8各国の経済に直接的な影響が現れていないという認識で一致した」 と指摘したうえで、「新興市場国にどういう影響を与えていくかという観点からの議 論だった」と説明。そのうえで、G8の中では「特に温度差を感じていない」と述 べ、産油国であるロシアも「(世界経済の)リスク要因がエネルギー問題であると、 共通の認識ができている」と強調した。

最大のエネルギー消費国である米国のスノー財務長官は会見で「財務相として、 市場ベースの解決、透明性、エネルギー開発やインフラで良好な投資環境を促進す るために必要な制度的な枠組みを強調した」と説明。同時に世界経済が拡大する中、 各国の成長は均一でないと述べ、米国だけでなく欧州、日本、アジア、産油国は持 続的な成長に向け責任を共有すべきだとの考えを強調した。

ブラウン英財務相はG8財務相会合後にコメントを発表し、「先進国と途上国の 双方にとっての主要なエネルギーイニシアチブが一年間のうちに実施されることは 明確だ」としたうえで、石油輸出国機構(OPEC)や他の産油国との対話を強化 すべきことなどが必要だと述べた。

エネルギーと開発

このほか、世界銀行に対しエネルギー戦略の開発について低所得国と協働する よう要請することや、途上国のエネルギー効率性を促進するための世銀主導の投資 枠組みが春の会合で創設されることへの期待なども盛り込まれた。

また06年末までに世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉であるドーハラウ ンドの成果を得ることは、成長強化と貧困削減のために不可欠と強調。昨年末の香 港での閣僚会議を受け、一層の努力が必要であるとの認識で一致した。

またG8財務相は、鳥インフルエンザなどの感染症のリスクと潜在的な経済や 金融に与える影響について確認。マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金対策 における進展を歓迎し、地域協力への支援の継続にコミットを示した。

共同取材Simon Kennedy--Editor: Kosaka

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