グリーンスパンFRB前議長:一段の金利上昇が必要と示唆-関係者

グリーンスパン米連邦準備制度理事会(F RB)前議長は7日、出席した夕食会で短期金利は一段と上昇する必要がある かもしれないとの見解を示した。出席者から説明を受けた匿名の人物が8日に 明らかにした。

この人物によると、グリーンスパン前議長はニューヨークで開かれた夕食 会で、リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの顧客10数名を前に、長期 金利が連邦準備制度の経済運営能力を限定していると指摘したほか、住宅所有 者は支出の資金源を確保しようと、自宅の価値を担保に借入額を増やしている と述べた。

グリーンスパン前議長はさらに、連邦準備制度が景気過熱の回避に向けた これまでの努力を続けるためには、短期金利を一段と引き上げる必要があるか もしれないと示唆したという。この人物は出席者から会話の抄録を見せてもら ったという。これによると、グリーンスパン前議長はどのようにして金利が上 昇するかには言及しなかった。

ヘッジファンドのクラリアム・キャピタル・マネジメント(サンフランシ スコ、運用資産18億ドル)のマネジングディレクター、ケビン・ハリントン 氏はグリーンスパン前議長の発言について、先週後を託したベン・バーナンキ 新議長に対し、「金利引き上げについて何らかの理解を促そうとしたものだ」 と述べた。

グリーンスパン前議長にとって最後となった1月31日の連邦公開市場委 員会(FOMC)は、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を4.5%に引 き上げた。同目標水準は2004年6月からの14回連続利上げで合計3.5ポイン ト上昇。18年半におよんだ前議長の任期の中では、1988年から89年にかけて の3.25ポイントを上回り、最大の幅を記録した。

リーマンの広報担当ケリー・コーエン氏、およびグリーンスパン氏の事務 所のコメントは得られていない。

個人消費

グリーンスパン前議長はリーマンの顧客に対し、景気は順調に推移してい ると述べ、具体的には既存店売上高や自動車の好調な販売を指摘したという。 国際ショッピングセンター評議会(ICSC)によると、1月の既存店売上高 は前年同月比5.1%増加した。同月の自動車販売台数は同7.6%増加し、昨年 7月以来最大の伸びを記録した。

グリーンスパン前議長はさらに、住宅市場が沈静化し、住宅保有者の借り 入れが難しくなるにつれ、個人消費は今年の年末にかけて減速するとみている と語ったという。昨年9月に公開されたFRBのスタッフエコノミスト、ジェ ームズ・ケネディー氏のリポートによると、グリーンスパン議長(当時)は住 宅資産に基づいた借入額は2004年の個人消費を6000億ドル押し上げたと推計 している。これは個人の可処分所得の7%に相当する。

グリーンスパン前議長はまた、インフレ抑制においては経済のグローバル 化が主要な役割を果たしたとも語ったという。12月の消費者物価指数(CP I)は前月比0.1%低下し、2カ月連続でマイナスとなった。

前議長は昨年11月に上下両院経済合同委員会で証言し、旧ソ連と中国が 世界市場に取り込まれることで、労働力供給が倍増するとの見通しを示した。 前日の夕食会で前議長は、これが米国内の賃金上昇圧力を押し下げ、エネルギ ー価格の高騰にも拘わらずインフレの抑制に貢献していると指摘したという。

米国債市場では短期債に売りが出た。2年債利回りは3ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)上昇して4.63%。ニューヨーク外国為替市場で は、ドルがユーロに対して一段高となり、1カ月ぶりの高値を付けた。

1月31日の前回連邦公開市場委員会(FOMC)は、声明で「持続的な 経済成長と物価安定目標達成へのリスクをほぼ均衡状態に保ち続けるためには、 引き締めが若干必要になるかもしれない」との判断を示した。

ブランダイス大学のスティーブン・G・チェケッティ教授(経済学)はグ リーンスパン氏について、「現在進行中の政策の邪魔になるような発言はしな い人だ」と述べた。チェケッティ氏はかつて、ニューヨーク連銀の調査局長を 務めていた。

莫大な価値

グリーンスパン前議長は連邦準備制度退任後、ワシントンで経済分析を専 門とするコンサルタント業、グリーンスパン・アソシエーツを開業した。今後 は講演のほかにも執筆活動にも従事する。またゴードン・ブラウン英財務相の 特別顧問として、マクロ経済や世界経済の変動について無償で助言を提供する。

クラリアムのハリントン氏は、「グリーンスパン前議長の考え方には莫大 な価値がある」と述べ、「多額の報酬を払ってでも知りたいと思う人がいるこ とは想像に難くない」と付け加えた。

7日付の英紙タイムズは、グリーンスパン前米議長の話として、金相場が 大幅に上昇している理由はテロに対する脅威だとの見解を報じた。同紙による と、前議長はニューヨークで開催された国際投資家対象の会合で講演し、石油 産業が製油能力を引き上げていないため、エネルギー価格が割安になることは 恐らくないだろうとも述べた。