アステラス株が下落、研究開発費増加で営業利益の下ぶれ懸念が浮上

1月31日の取引終了後、2005年4-12月 期連結決算を公表したアステラス製薬の株価は小安い。研究開発費の増加に伴 い、2050億円としていた通期営業利益目標に届かない恐れが出てきたことが嫌 気された。

この日は売り気配で取引を開始。午前9時10分ごろに前日比2.7%安の 4720円で寄り付いた。その後も大口の売り注文が続いており、午前9時50分現 在、同3.3%安の4690円で取引が進んでいる。

31日夕の記者会見で、田村隼也副社長は「1350億円としてきた年間研究開 発費が1400-1450億円になる可能性がある。営業利益目標の2050億円がキー プできるかどうか難しい」と発言。業績下ぶれリスクが高まっていることを認 めた。

KBC証券のフィリップ・ホール・シニアアナリストは「10-12月期決算 と4-9月期決算を比較した場合、直近3カ月間の利益の積み上げペースが鈍 っている」と分析。業界トップの武田薬品工業が利益上積みペースを速めるな かで、対照的な決算になったとみている。

アステラスの10-12月期連結営業利益は656億円(前年同期比85%増)。 同社の四半期ごとの営業利益額は4-6月期が652億円、7-9月期が519億 円だったため、前2四半期の平均から12%伸びたことになる。

一方、武田薬の10-12月期連結営業利益は1313億円(前年同期比9.0%増)。 4-6月期の1318億円、7-9月期の835億円、平均値の1077億円と比較し て22%高い水準となった。

前立腺がん治療薬を導入

一方、アステラスの研究開発活動は充実。新薬開発プロジェクトの拡充を 図り、スイスの医薬品会社フェリング(ローザンヌ市)から前立腺がん治療薬 「デガレリクス」の日本国内での独占的開発権と販売権を取得した。ライセン ス契約に関わる一時金の総額は「60億円」(経営管理本部広報部の柴英夫IR 担当部長)としている。

デガレリクスは、男性ホルモンのひとつである「テストステロン」の分泌 メカニズムを調整する治療薬で、専門家の間では「GnRH(Gonadotropin releasing hormone)受容体拮抗薬」と呼ばれている。

同薬はピーク時年商が2000億円弱となった武田薬品工業の前立腺がん治療 薬『リュープロレリン』(ピークは02年度、関連会社を含めた世界売上高1941 億円)と同種同好品。「リュープロレリンがGnRH受容体(の働き)を押さ えるのに対し、デガレリクスは同受容体と拮抗して作用を減弱させるのが特徴」 (田村副社長)で、現在、販売されている同系統治療薬はないと言う。

大和総研の宮内久美シニアアナリストは「導入品がここにきて増えてきた というのは評価できる。武田薬などの他の大手に比べて、自社品の数が少ない うえ、パイプライン(品揃え)も薄く、パイプライン強化が経営課題の一つだ った。ライセンス活動の成果が出てきている」と述べていた。

デガレリクスの国内臨床試験は07年中に開始する計画。業績寄与は早くて も2010年以降とみられているが、「フレア現象(顔のほてりなどの副作用)の 問題を解決できれば、リュープロレリンとの差別化も可能」(みずほ証券の田 中洋シニアアナリスト)との見方もあり、期待感も出ている。

--共同取材:鈴木宏   Editor:Abe