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【米経済コラム】06年の予言、GMトップにゴーン氏-M・ギルバート

「予想を立てるのは実に難しい。特に将 来を予見するのはなおさらだ」。1992年にノーベル賞を受賞したデンマーク の物理学者、ニールズ・ボア氏はこぼした。この警告を胸に、2006年に読者 に読まれることがあるかもしれないニュースを予言してみた。

1.「米GM:カーコリアン氏がワゴナーCEO更迭、ゴーン氏招請か」

GMはリック・ワゴナー最高経営責任者(CEO)の下、この1年で株価 が54%下落する辛酸をなめた。税務上の目的で今月、GMの持ち株を発行済 み株式の9.9%から7.8%に削った資産家カーク・カーコリアン氏は、17億ド ルを投じて6億ドル以上の損失を被った。

カーコリアン氏(88)がおとなしく引き下がる気配はない。世界最大の自 動車メーカーに残された価値をなんとかして見出そうとしているが、現在のと ころはうまく行っていない。カーコリアン氏がGM再生を本気で考えるならば、 自らの役割を拡大して改革のアジェンダを決定する必要がある。まずは悲惨な 現状の責任をワゴナーCEOに背負わせ、後任を探すことだ。

そこでカルロス・ゴーン氏が登場する。同氏は創業以来最悪の赤字を出し た日産を立ち直らせ、日本式の慣例を次々と打ち破ることで自動車業界最大の 利益率を実現させた。同氏はこの功績を認められ4月には本家ルノーのCEO に昇進した。11月には「利益を上げているかどうかが、その人の仕事振りを 評価する唯一の物差しだ」と語った。今年に入りすでに38億ドルの損失を出 したGMにとり、これ以上の転落を押しとどめる人材としてゴーン氏以上に適 材がいるだろうか。

カーコリアン氏はぐずぐずしてはいられない。GMの株式時価総額は110 億ドルを割り込んだ。いずれはダウ工業株30種の構成銘柄という栄誉を剥奪 される可能性も否定できない。例えば検索エンジン運営のグーグル(時価総額 1260億ドル)と入れ替えになった場合、インデックス・ファンドがGM株を 手放すことになるため、GMの株価はさらに打撃を被りかねない。

2.「アップル:純正iTunes携帯電話を投入、モトローラと提携解消」

「消費者はⅰPodのような携帯電話を求めていたが、当社が送り出した 製品は違っていた」。モトローラのエド・ザンダーCEOは10月、6週間前 に発売したオンライン配信サービス「iTunes」対応携帯電話の不振につ いて語った。従来の携帯電話に携帯デジタル音楽プレーヤー、「ⅰPod(ア イポッド)」を接着した方が賢明というものだ。

国際レコード産業連盟(ロンドン)の試算によると、オンライン音楽販売 市場は今年上期に7億9000万ドルに達し、これまでの3倍に拡大した。これ を牛耳るアップルのⅰPodは世界で2800万人以上が使用。この数字はクリ スマス商戦でさらに上昇すると予想されている。

一方、調査会社ガートナーが11月に発表した推計によると、携帯電話端 末は今年8億1000万台を売り上げ、第3四半期だけでも前年同期を22%上回 る2億500万台が販売された。

モルガン・スタンレーのアナリスト、レベッカ・ランクル氏は、iTun es対応携帯電話は12億ドルを稼ぎ出す可能性があると推計する。アップル のスティーブ・ジョブズCEOは恒例となった「さてもう一つ」と続けるスピ ーチで新製品を発表することで知られているが、2006年はアップル純正の音 楽携帯電話が披露される可能性が高い。

3.「バーナンキ議長がインフレ目標を設定、グリーンスパン時代に決別」

「電球を交換するのにフォーク歌手は何人必要か」というジョークがある。 答えは「2人。交換するのに1人。前の電球がどれだけ明るかったかを歌うた めにもう1人」

ベン・バーナンキ次期米連邦準備制度理事会(FRB)議長には試練が待 ち受けている。世界最大の経済を指揮する中央銀行総裁という金融界最高峰の ポジションに登りつめたが、前任者アラン・グリーンスパン氏の長い影を引き ずらなくてはならない。マエストロと賞賛された前任者の影を断ち切り、新し いFRB議長として自らの功績を残していくにはどうすればよいか。

バーナンキ氏はこれまで、明確なインフレ目標を設定する利点をうたって いる。一方のグリーンスパン議長はこの構想に抵抗してきた。バーナンキ氏は 急いで行動を起こし、インフレ目標制度への支持を連邦準備制度内部に浸透さ せ、自らが金融政策の指揮者であることを明確にすることから任期をスタート させるべきだ。

インフレ目標を設定するに伴い、経済成長とインフレに対する公式な連邦 準備制度見通しも示される可能性がある。そうなればバーナンキ氏は、連邦準 備制度が自ら作り出した言語上の落とし穴、つまりは声明の意味するところを 探ろうとニュアンスや文法が徹底的に分析される現状から解放される。金利政 策の将来を占ううえで、今後は数値を盛り込んだ枠組みが議論の土台になるわ けだ。前の電球はそれほど明るかったわけではない、との見方も生じよう。

4.「通貨・商品市場の混迷、靴下が見つからないのもすべて中国に責任」

中国は世界のスケープゴートとして、人気急上昇中だ。貿易赤字の拡大に 歯止めがかからない。それは中国が通貨市場を操作しているからだ。商品価格 の高騰が経済成長を損なっている。それは中国が旺盛な国内需要を満たすため に原材料を大量に確保してしまうからだ。お気に入りの青い靴下が見つからな い。それもきっと中国のせいだ、という具合に。

世界最大の人口を抱える中国で何とか足場を築こうと、金融各社は競って 同国に駒を進めている。シティグループは中国南部に480支店を展開する広東 発展銀行の株式85%を取得しようと、投資家グループを率いて27億ドル(約 3200億円)を投じる。また上海浦東発展銀行への出資比率を4倍に引き上げ るため、8億5000万ドル以上を払う方針だ。英大手のロイヤル・バンク・オ ブ・スコットランド・グループ(RBS)は米証券大手のメリルリンチなどと 手を組み、中国銀行の株式10%を総額31億ドルで取得する。米銀バンク・オ ブ・アメリカは中国建設銀行の株式30億ドル相当を取得することで合意した。

買収ラッシュは完全に一方通行というわけではない。中国のレノボ・グル ープ(聯想集団)が米IBMのパソコン事業を12億5000万ドルで買収してか ら1年になる。一方で4カ月前には、中国海洋石油(Cnooc)が米議員の 反対に屈し、185億ドルで進めていた米石油大手ユノカル買収を断念している。

将来の青写真を決定するのはレノボのケースよりもCnoocのケースに なりそうだ。2兆ドル規模の経済を背景にした中国企業は、国営銀行から安く 資金を借り入れ、世界中で消費財からエネルギー・電力、自動車、金融サービ スに至る企業を買いあさるパワーを秘めている。中国が米国もしくは欧州の銀 行に触手を伸ばす事態になれば、Cnoocの時の抵抗程度では済まされない ほど強い抗議の声があがるだろう。

(マーク・ギルバート氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストで す。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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