コンテンツにスキップする

再生機構社長:来年末までに全案件終了へ-ダイエーを最後に黒字解散

産業再生機構の斉藤惇社長は、このほどブ ルームバーグニュースのインタビューに応じ、支援決定した41件のうち残る21 件の支援を来年末までに終了する見通しを示した。大型案件の三井鉱山とミサワ ホームは来夏までに保有する債権を処分。カネボウの支援完了後、最大案件とな る流通大手のダイエーの保有株式500億円と債権を来年末をめどに売却し、民間 金融機関の不良債権処理に一役を担った機構の役目を終える。

斉藤氏は、機構解散時の収支について「案件ごとにプラス、マイナスあるが、 資産査定にかかった経費なども全部カバーしたうえで、少し(利益が)残ってい る」としたうえで、「足し算、引き算すると、赤字で解散したということにはな らないのではないか」と指摘。最終的な収支は黒字となり、国民負担を避けるこ とができるとの見通しを明らかにした。

三井鉱山とミサワホームは来夏までにめど

斉藤氏は先に、カネボウを花王と国内投資ファンド3社に譲渡する決定を行 ったことを受け、「カネボウとダイエーで(機構が投資した)金額的に85、86% 占めるうちの半分以上が終わった」と明言。そのうえで「1年かけて来年末にダ イエーのめどがたてば、(全案件の支援完了の)めどがほぼたつ」と述べた。

三井鉱山については、保有していた株式計200億円のうち8割強の163億円 を支援企業の大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツなど3社に譲渡。 今月20日には、残る37億円相当の株式を野村証券に一括売却した。斉藤氏は 「債権は金額的にもそう多くはない。かなり正常の事業になっており、相当、道 が見えてきている」と強調、来年6月にも債権の譲渡が可能と述べた。

また、債権のみを保有しているミサワホームについては、すでにリファイナ ンスの準備に入っていることを明らかにした。そのうえで、斉藤氏は「金額は比 較的大きいが、資金力のあるトヨタ自動車が支援企業に入っており、そう困難で はない」と指摘。事業の好調ぶりや、株価の上昇などプラス要因を挙げ、「遅く とも来夏にはめどがたつ」との見通しを示した。

ダイエーの課題は株式より債権

ダイエーについては、「支援企業との協約の関係で、ざっくり来年いっぱい かかる」と説明した。再生機構は、ダイエーの株式33.4%(約500億円)のほ か、2000億円以上の債権を保有。斉藤氏は「銀行分を含めた債権は4千数百億円 とかなり大きい。これらのリファイナンスをスムーズにやらなければならない」 と述べ、来秋までに債権の譲渡を進めることが課題と強調した。

一方で、株式の売却については「株価も上がっており、さほど心配していな い」という。リファイナンスのめどがたった段階で、譲渡先として念頭において いる支援企業の丸紅、アドバンテッジ・パートナーズの2社と協議する方針を明 らかにした。そのうえで、斉藤氏は、「何らかの対策をお考えになるのではない か」と述べ、具体的な譲渡方法については両社の判断に委ねるとした。

株や債権売却の大前提となるのは、コア(中核)の小売業の回復。11月の既 存店売上高では、前年同月比4%増と21カ月ぶりに前年実績を上回ったが、力を 入れている食品は同6%減と低調だった。斉藤氏は「食品が思ったように競争力 を出していない」と指摘。今月、都内で1号店が開店した新型食品スーパー「フ ーディアム」の全国展開について、約30店舗を目標に急ぐ必要性を強調した。

再生機構は、不採算の53店舗の閉鎖のほか、関連子会社の整理を着々と進め、 今月も牛丼チェーン店の「神戸らんぷ亭」や「新歌舞伎座」の売却を相次いで決 めた。斉藤氏は「ノン・コア事業を処理する我々の仕事はほぼ終わった」と述べ、 出足が遅れた利益率の高い新規出店にシフトすべきだと重ねて訴えた。

カネボウ支援は買収額で花王に軍配

再生機構の投資金額としては一番大きかったカネボウの再建では、繊維から 不動産まで70-80あった事業を、化粧品とコア3事業(日用品、食料品、薬 品)に集約する作業に1年半をかけた。今月16日には、花王と国内投資ファン ド3社を支援企業に選定。来年1月末までに保有する両社の株式計2560億円相 当と、債権計約1670億円の譲渡を決め、一気に支援完了に持ち込んだ。

再生機構は、今年8月に支援企業の一時入札を実施。当初80数社の応募が あったが、「カネボウ全部をまとめて買ってもよいという企業は比較的少なかっ た」という。斉藤氏は、「似たような商品がばらばらに売られて市場に出ては、 カネボウのブランドが守れない」と指摘。花王が、ブランド維持を前提に化粧品 を子会社化し、国内ファンド3社が本体を一体支援する再建案を評価した。

また、最終入札に応札した欧米系ファンド2陣営を含む3陣営の間で「プラ イス(値段)に相当差があった」ことも明らかにし、最高の買収額(4400億円) を提示した花王陣営に軍配を上げた理由を説明。結果、花王は、カネボウ化粧品 の株式について簿価を約270億円上回る金額で取得するなど、機構の黒字確保に 貢献した。

2003年4月の発足当初から、再生機構の命題は国民負担の回避だった。10 兆円の政府保証枠のうち、これまでに要した資金は1兆円以下にとどまっている。 斉藤氏は「結果的に(国民の資産を)き損することなく41の事業を再生し、何ら かの軌跡を残した形になると思う。静かに店を閉じたい」と締めくくった。

--共同取材 小笹俊一  Editor:Kosaka

大久保 義人 Yoshito Okubo (81)(3) 3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

David Tweed (81)(3)3201-2494 dtweed@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE