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ジェイコム株の巨額利益、主幹事の日興シティ証やUBSが返還も(4)

ジェイコム株取引をめぐる誤発注問題で、 新規上場(IPO)主幹事の日興シティグループ証券や、UBSグループなど多 額の利益を手にした証券会社が利益返還を含めた対応の検討に入った。日興シテ ィはIPO手数料の10倍近い利益を稼いだとみられ、主幹事としての姿勢を問 う声もあがっていた。みずほ証券の注文ミスに端を発した問題は、一部取引が事 実上、帳消しになる可能性が出てきた。

日興シティ広報担当の渡辺直美氏は、同社がジェイコム株取引で得た利益を めぐり、今後の取り扱いを検討中としている。また、UBS証券の鈴木華久子氏 と、リーマン・ブラザーズの菅井馨子氏も日本の金融当局や東京証券取引所、そ の他の市場関係者と利益返還の具体的方法などついて、調整中であることを明ら かにした。UBSではジェイコム株の誤発注で混乱した日本の株式市場の健全性 確保などにも配慮したという。

日興シティ10億円、UBSは120億円

日興シティが財務省に提出した大量保有報告書によると、同社は約172億円 を投じており、8日時点でジェイコムの3000株を1株当たり57万3000円前後 で取得したことになる。現金決済価格の91万2000円で売却したとすると、10 億2000万円の利益が発生する。一方、ブルームバーグ・データによれば、日興 シティのIPO手数料は1億2000万円だった。

UBSグループも3万8198株とジェイコムの発行済み株式の2倍以上を取 得し、約120億円の利益をあげたとみられる。ほかにも、モルガン・スタンレー は4522株、リーマン・ブラザーズが3150株、クレディ・スイス・ファースト・ ボストンは2889株、野村証券が1000株を取得したことが分かっているが、これ ら4社からはまだ、利益の取り扱いについてのコメントがとれていない。

ジェイコム「非常に不快」

与謝野馨経済財政政策・金融担当相も13日、閣議後の記者会見で、外資系 証券を中心としたジェイコム株取得について、「誤発注ということを認識しなが ら、他の証券会社がその間隙をぬって、自己売買部門で株を取得するということ は、美しい話ではない」と述べ、こうした取引行動を暗に批判していた。

一方、ジェイコムの谷間高・取締役経営管理部長は、ブルームバーグ・ニュ ースの電話取材に大阪の本社で応じ、日興シティの取引について「非常に不快 だ」と心境を語る。また、引受部門と自己売買部門との分離を背景に、こうした 取引があったのは仕方ないとしながらも「取得事実の開示がほかの証券会社より 遅かったばかりか、自らの主幹事で公募し、株を手にした一般投資家の株が値下 がりしているなかで、多額の利益を上げるとは遺憾だ」などと述べた。

みずほ証券は約400億円の損失

こうしたなかで、発行済み株式の42倍の61万株にものぼる誤りの売り注文 を出したみずほ証券は、8日までの買い戻しと13日の強制現金決済で400億円 程度の損失を出した。日興シティなどは、みずほ証券の誤発注で市場が混乱する なかで多額の利益を得たが、利益が返還されると、みずほ証券の損失は軽減する。 この他にも、みずほ証が8日に買い戻しが成立した取引で利益を得た投資家との 不公平感が残るといった問題もある。

ジェイコム株は新規上場した8日、みずほ証券の大量の売り発注ミスにより 57万2000円のストップ安まで下落。東京証券取引所のシステム不備でみずほ証 が注文を取り消せなかったことが分かり、日本証券クリアリング機構が13日に 強制的な現金決済(1株当たり91万2000円)を行い、取引を完了するという極 めて異例の事態に発展していた。

株式の売買注文をめぐる大規模な誤発注では、2001年11月にジェイコムと 同様に東証に上場した当日の電通株で、UBS証券が「61万円で16株の売り」 を「16円で61万株の売り」と間違い、後に買い戻しの必要に迫られて損失を出 したことがあった。この事例では、利益返還などの対応はなかった。それを受け て証券各社では誤発注の発生を防ぐ体制づくりなどに取り組んでいたはずだった。

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