石油決算:実質的な利益計画引き下げ目立つ-転嫁不足でマージン悪化

16日までに出そろった石油元売りの決算で は、大半の企業が実質ベースの通期経常利益見通しを引き下げた。総平均法を採 用している新日本石油など4社を中心に、見かけ上の利益と実質利益とのギャッ プがさらに拡大。原油価格の上昇(在庫評価益の発生)によって、新日石など4 社は見かけ上の利益が押し上げられたが、国内石油在庫の増加などでマージン (製品価格と原油コストとの差)が悪化し、石油化学原料の市況も下げているた め、実質ベースの経常利益には圧縮圧力がかかっている。

ブルームバーグ・ニュースの計算によると、在庫評価を除いた7-9月期の 実質経常利益では、コスモ石油が大幅増益を記録した半面、総平均法を採用して いない東燃ゼネラル石油は赤字に転落、ほかの各社もさえなかった。

原油価格が上昇すると、石油開発事業の増益要因となるほか、在庫評価に総 平均法を採用している石油会社は売上原価(コスト)が押し下げられる。

明治ドレスナー・アセットマネジメント調査部の南純一リサーチアナリスト は、石油会社の決算について、おおむね想定通りの内容と受け止めている。ただ 国内石油在庫の増加などで、石油会社の経営環境は「短期的には厳しい」として 慎重な評価をしていることを明らかにした。

みずほインベスターズ証券の河内宏文アナリストは、中間決算の印象につい て、石油開発部門の好調さが下流の製品販売部門の不振を打ち消す形になってい ると分析。河内氏も石化市況の低迷に加え、10月後半から燃料油のマージン悪化 が鮮明になりつつあることから、「石油元売りは厳しい局面」とみている。

7-9月期-主力の石油製品事業が不振

最大手の新日本石油の7-9月期の連結経常利益は前年同期比33%増の775 億円。これには在庫評価益が635億円含まれており、実質経常利益ベースでは減 益だった。石油開発部門が好調だったものの、自家燃料コストを製品価格に転嫁 できなかったことなどでマージンが悪化し、タイムラグ(値決め方式によって実 際の値上げまでに一定の時間がかかること)も響いた。販売数量・マージン・タ イムラグの効果は、4-6月期から一転してマイナスに働いた。

コスモ石油は実質ベースでも増益を確保。他社と同様に石油製品はマージン 悪化に見舞われたが、アブダビ石油などの石油開発事業の増益や合理化効果が上 回った。出光興産は、北海スノーレ油田の生産回復、石炭増産の効果に加え、前 年同期のリストラ費用がなくなったことから、黒字に転換した。

これに対して、東燃ゼネラル石油は赤字。石油化学事業は堅調だったが、在 庫評価の押し上げ効果がないうえに、原油価格のコスト認識時期が他社よりも1 カ月早いことも足を引っ張った。出光興産も石油製品事業は赤字だった。

通期利益への下げ圧力続く-石油マージン悪化

通期の実質経常利益見通しでは、昭和シェルが従来計画(500億円)を維持 したものの、ほとんどの企業で下方修正圧力が継続している。石油製品の在庫増 加を背景に業者間スポット価格は10月に急落。さらに「自家燃料コストは製品価 格に転嫁できない。燃料油のマージン見通しは抑えざるを得ない」(新日鉱ホー ルディングスの木原徹取締役)ためだ。収益源の石化事業では、ベンゼンが7月 から下げ続けているうえに、パラキシレンも10月から急反落。石化事業の貢献が 大きい東燃ゼネラルは、同部門の通期収益を下方修正した。

減産や輸出、天候要因に注目

石油各社は「値取り(コスト転嫁)の環境がこれまでとは違ってきている」 (コスモ石油の宮本諭常務)と危機感を表明。新日本石油やコスモ石油などは減 産を実施するとともに石油製品を輸出することで、市場環境を「1月以降、早め に修復したい」(同)としている。コスモ石油は、軽油などの上期の輸出が前年 同期比80%増の36万キロリットルを記録。通期でも94%増の70万キロリットル を見込んでいる。

新日本石油の渡文明会長は16日の石油連盟の定例会見で、11月からの生産、 消費ペースが続けばガソリンに続いて、灯油在庫も「11月末ころには適正在庫に なる」との見通しを示した。今後の経営環境を占ううえで、寒さなどの天候や市 況動向が一段と注目されることになりそうだ。

新日本石油の株価終値は前日比13円(1.5%)安の846円、昭和シェル石油 は同2円(0.2%)安の1361円、コスモ石油は同5円(1.0%)安の521円、東燃 ゼネラル石油は同18円(1.4%)安の1233円、新日鉱ホールディングスは同4円 (0.5%)安の748円。

*T    7-9月実質経常益     通期の実質経常益予想 新日石   140億円(55%減)   1400億円(前年1517億円) コスモ   141億円(97%増)  690億円(前年506億円) 昭シェル  68億円(12%減)  500億円(前年404億円) Jエナジ  41億円(66%減)  456億円(前年703億円) 東燃ゼ    69億円赤字(220億の黒字) 200億円(前年675億円) 出光興産  193億円(2.8倍)  630億円(前年795億円)※ *T ※出光興産の数値は、在庫効果を考慮していない。7-9月期数値はブルームバ ーグ・ニュースが算出した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE