楽天、TBS攻防:提案「実現性」焦点、防衛策4条件かぎ-中島氏(2)

M&A(企業の合併・買収)に詳しい中 島経営法律事務所の中島茂・弁護士(55)は10日、楽天とTBSの経営統合 をめぐる攻防の行方について、楽天の提案した事業計画の「実現性」が焦点と の見解を示した。提案の実現度合いへの評価が、統合についてのTBSの方針、 拒否した場合の防衛策(新株予約権)発動や訴訟時の裁判所判断にまで影響を 与えるとしている。

企業買収の本質は株主全体にとって企業価値が増すかどうかと前置きして 中島弁護士は、提案に実現性が強いなら統合する両社の企業価値が上がり、弱 いなら企業価値が下がることになると述べた。提案を受けたTBSは11日、 楽天に内容についての「最終質問書」を送っており、楽天の回答を踏まえ月内 にも結論を出す。

TBSが提案を拒否した場合、楽天は公開買い付け(TOB)といった方 法で株式を追加取得する可能性を排除していない。この場合、TBSは買収防 衛策として日興プリンシパル・インベストメンツに発行した新株予約権を行使 する構えだ。

予約権行使には企業価値評価特別委員会(諸井虔・委員長=太平洋セメン ト相談役)の協議を踏まえることが必要。この委員会は提案が「濫用的買収」 かどうかを判断、濫用的と認識すれば行使を勧告する。中島弁護士は、この委 員会の審議でも、楽天提案の実現性がポイントになると指摘した。

実現性有無で「濫用的」判断、新株予約権には高裁4条件

TBSは「濫用的」の指針として、1)グリーンメイラーのように株式の 高値買い取りを要請する、2)知的財産や企業秘密の移譲・取得を目的とする、 3)資産を自身の債務弁済に流用する、4)不動産や証券の売却による高配当 や株高を享受する、5)放送設備を処分する、6)報道へ関与し世論に影響を 与える、7)放送事業者として公正性や中立性に問題がある――と列挙してい る。

このうち1-4は、ライブドア防衛策としてニッポン放送が発行した新株 予約権の差し止め仮処分を決定した、3月23日の東京高裁判断で示された基 準。基本的には買収防衛としての予約権は認められないが、この4つの条件下 では例外的に認められるとした。残り3つはTBSが放送局として追加した。

委員会はこうした指針や高裁決定を踏まえて、楽天提案の実現性および提 案が「濫用的」か否かを判断、TBSに新株予約権を行使するべきかどうかを 提言する。

中島弁護士は提案の実現性を評価するうえで「米でのタイムワーナー、A OLの提携が先例的なケースとしてどう推移しているかは重要な問題」と指摘 した。この2社の統合は必ずしも順調でなく、他社がAOLを買収する話が現 在進んでいる。

また中島弁護士は、楽天の提案がTBS取締役会の意向に沿っていない観 点から、「敵対的」にはなっていると評価した。

楽天、4条件に該当せずと主張

一方の楽天は、TBSが新株予約権を発動すれば、差し止め仮処分を申請 して法廷闘争に持ち込むことも視野に入っている。三木谷浩史・会長兼社長は これまで、TBSの新株予約権は株主総会の承認を得ずに無効であるといった 発言をしている。

中島弁護士は楽天の姿勢について、提案書記載の事業提携は実現性があり 「4条件に該当せず、違法な新株予約権の実行であるという主張をされるのだ ろう」と予想した。同時に新株予約権での訴訟の際には、3月の高裁判断が威 力を発揮するとも予測した。

さらに最終的にはTBS取締役の「善管注意義務」が問われると指摘した。 一般的な管理者として備える資質で取締役は、提案がその実現性を含めて全株 主にプラスかマイナスかを私心を捨てて判断しないといけないと強調した。

中島弁護士は、日経ビジネス誌の2005年弁護士ランキングで7位に入り、 M&Aのほか、株主総会運営や知的財産管理などにも強い。

楽天の株価は、前週末比1200円(1.6%)安の7万3700円、TBSは同 60円(1.9%)高の3290円(午前10時36分)。