新日鉄、宝鋼、アルセ:上海の自動車鋼板工場が本格稼働-8日開所式

新日本製鉄、中国の宝山鋼鉄、欧州アルセロー ルの大手鉄鋼3社は、自動車用鋼板の合弁会社「上海宝鋼新日鉄自動車鋼板有限公 司(BNA)」の開所式を8日に上海の宝山鋼鉄構内で開催し、同事業を正式にス タートさせる。

中国政府は7月、鉄鋼メーカーの乱立による弊害を避けるため、国内企業を中 心とした集約化・高品質化へと舵を切った。中国最大手の宝山鋼鉄をベースにした 今回の事業はまさにその政策に沿ったものとなっており、高級鋼板の市場確保とい う面でも他社に先行しているとの見方が出ている。

行事予定によると、開所式には上海宝鋼集団(宝鋼の親会社)の謝企華会長、 新日鉄の三村明夫社長、アルセロールのギイ・ドール最高経営責任者(CEO)に 加え、中国国内の自動車メーカー首脳、中国政府関係者が出席する見通し。

この事業は、宝山鋼鉄と新日鉄の基本合意(03年7月)を経てスタートし、そ の後アルセロールが加わった。BNAの設備は冷延鋼板の生産能力が年間170万ト ン。冷延設備の川下に位置し、自動車用鋼板などに用いられる溶融亜鉛めっき(C GL)設備は2基で、年産能力は合計80万トン。総投資額は約65億元(約1000 億円)。

鉄鋼メーカー、自動車メーカーの海外進出に追随

経済のグローバル化、なかでも自動車や家電メーカーの国際的な展開に合わせ る形で鉄鋼メーカーも需要地への進出を図ってきた。新日鉄の場合、90-91年に米 国、98年にタイ、2000年にブラジルの現地企業、01年にはアルセロールとそれぞ れ提携し、高級鋼板のグローバル供給体制の構築に注力している。

ここ数年はアジア経済の台頭が目立つなか、その中心地ともいえる中国を巡っ ては現地メーカーに加え、日系や欧米の自動車・家電メーカーも相次いで進出。高 級鋼材市場の拡大が見込まれることから、鉄鋼メーカーの間でも陣取り合戦の様相 を示しており、今回の3社の共同事業だけでなく、韓国ポスコやJFEスチールな ども大規模な製鉄所プロジェクトへの参入を検討している。JFEスチールは、広 州鋼鉄と現地合弁の溶融亜鉛めっき(表面処理鋼板)工場を06年度に稼働させる 予定となっている。当初の生産計画は年産30万トン程度。

中国の高級鋼材市場-3社連合が先行

ただ、今年7月に発表された中国政府・国家発展改革委員会の「鉄鋼産業発展 政策」では、国際競争力の向上に向けて、国内企業を中心に業界の集約化を図る方 針が打ち出された。外資企業が単独もしくは主導権を取る形で製鉄所を建設・運営 することは難しくなっている。3社連合の事業は、政府の政策に沿ったモデルケー スと言え、後に続く企業にとっても参考になるとみられる。

三菱UFJ証券の原田一裕アナリストは、成長が見込まれる中国市場で3社連 合がいち早く自動車用鋼板の生産体制を整えたことを評価。新日鉄にとっては外資 の参入が厳しくなるなかで販売ルートを確保できる一方、宝山鋼鉄も新日鉄の生産 ノウハウを取得できるため「双方にメリットがある」と指摘する。また「今回は最 初の取っ掛かりに過ぎず、今後生産数量を増やす可能性がある」(原田氏)とみら れており、3社連合は他の鉄鋼メーカーを一歩リードしているといえそうだ。

新日鉄の株価は前週末比3円(0.7%)安の419円(午前9時42分現在)。

---Editor:Okimoto