米モルガンSが中国市場参入10年-先駆者の優位性生かせず競争で後れ

米証券大手モルガン・スタンレーのジョン・ マック最高経営責任者(CEO、現在)は10年前、中国で初の投資銀行の設立 に当たって北京を訪れた。今年9月16日には、同社が34%を保有する中国国際 金融(CICC)の設立10周年記念行事が開かれたが、同CEOは参加を見送 った。

CICCとの冷めた関係は、モルガン・スタンレーが他社に先駆けて中国 市場に参入したにもかかわらず、今や同業の米ゴールドマン・サックス・グル ープやメリルリンチ、スイスのUBSに後れをとっている現状を示している。

モルガン・スタンレーは今でもCICCの第2の株主だが、経営権はない。 中国が株式市場を海外の金融機関に開放しても、売買に参加する足掛かりがな い。一方、ゴールドマンとメリル、UBSは中国の証券会社への出資で、足場 を築きつつある。

CICCでモルガン・スタンレー出身の最後のCEOとなったエレーヌ・ ラロッシュ氏は、モルガン・スタンレーとCICCの関係は「同床異夢」だっ たとして、「モルガン・スタンレーは当初、合弁事業で主導権を握れると考え ていたが、現地の経営陣の考えは違った」と話した。

中国政府が国内株式売買を海外金融機関に許可する時期は不明だが、メリ ルリンチは、中国株売買は2010年までに年間63億ドル(約7450億円)の手数 料を生むようになると試算している。

現在は、人民元建てA株の約3分の2は地方や中央政府が保有し、上海や 深セン取引所で売買できない。2年半にわたる株価の低迷を受けて、今年上期 の中国証券会社のトレーディング収入は12億ドルと、前年同期比55%減に落ち 込んだ。

モルガン・スタンレーの中国部門CEO、ジョナサン・ズー氏は「現在の ところ中国での銀行業務でトレーディング収入は大きな要素ではない」としな がらも、「将来は収益への寄与度が高まる」と予想する。

ゴールドマンは2004年12月に、現地企業と合弁の投資銀行設立で当局の 許可を得た。合弁会社、高華証券の33%を保有している。メリルも今年、国内 株式の引き受けや債券売買、売買仲介サービス提供などを行う合弁会社設立で 中国の華安証券と合意。UBSは9月に北京証券株20%取得で合意し、合弁会 社の経営権掌握の権利を得た。

中国の株式市場に関する著作のあるフレーザー・ハウイー氏は「参入から 10年が経って、モルガン・スタンレーは他の海外金融機関に比べ有利かという と、そうは思えない」と話した。

ズー氏によると、モルガン・スタンレーは中国で新たなパートナーを求め、 少なくとも6社と協議した。ただ、CICCの持ち分を売却する意向はないと いう。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE