日本株(終了)東証障害乗り越え高値更新、米国安心と脱デフレ(2)

名実ともに11月相場入りした東京株式相場 は、波乱の1日。東京証券取引所はこの日、システム障害が発生した影響で、一 部の先物商品を除くすべての現物株式の売買取引を通常取引開始時間の午前9時 から一時停止とした。午後1時30分からの取引再開後は上げ幅を拡大。投資家 の強い買い意欲は障害を乗り越え、株価指数は年初来高値を更新した。

日経平均株価の終値は前日比261円36銭(1.9%)高の1万3867円86銭。 TOPIXは同28.29ポイント(1.9%)高の1473.02。取引時間は1時間30分 のみだったが、東証1部の売買高は概算で17億9744万株に膨らんだ。

日経平均は2001年5月以来、約4年5カ月ぶりに1万3800円を回復。TO PIXは2000年10月以来、約5年1カ月ぶりに1470ポイントに乗せた。最近 の懸念材料だった米国株式相場の先安不安が後退したほか、前日に日本銀行が発 表した「展望レポート」を受け、国内のデフレ脱却期待が再燃。金融株中心に幅 広く買いが入り、東証1部の値上がり銘柄は1200を超え、ほぼ全面高の様相だ。

東証1部の時価総額は463兆円に達し、直近最高の2000年3月30日に記録 した458兆円を5年超ぶりに更新。当時はIT(情報技術)バブル相場の最盛期 でもあり、日本株相場はまたひとつ、歴史的な節目を突破したことになる。

相対的に内需株に強さ、東証対応に批判と安ど

みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループなど の銀行株に買いが先行した。また、野村ホールディングスなどの証券株も買われ た。三菱地所などの不動産株、大林組などの建設株も上昇。旭硝子を中心にガラ ス・土石株も上げた。相対的に内需関連株に高い銘柄が目立った。

ちばぎんアセットマネジメントの大越秀行運用部長は、東証のシステム障害 による売買一時停止について「先物、現物の両建てで運用しているため、現物だ けが運用できないのは困る。われわれは手掛けていないが、投信は設定・解約な どの決済があるため、取引所がインフラとして決済機能を果たせないのはお粗末 と言える。ただ、少しでも再開したことは評価できる」と述べた。

東海東京証券の斉藤慶久エクイティ部長は「かつて、システム障害の時は再 開後に相場は下がったものだが、今回は一段と上げ幅を拡大している。現在の相 場の雰囲気の良さを感じる。良い方向に反応しようとしている」と指摘した。

その上で斉藤氏は、「外国人が再び買い越し基調に転じてきたようでもあり、 物色対象の柱はまだ明確ではないが、銀行、地銀、不動産など内需を中心とした 上昇傾向は続かざるを得ないようだ」との認識を示した。

地銀や輸出株も高い

このほか、福島銀行、東北銀行、みなと銀行など地銀株も上昇。トヨタ自動 車などの輸送用機器株、キヤノンなどの電機株、HOYAなどの精密機器株とい った輸出関連株も高い。

米景気の落ち着きとデフレ脱却期待

「相場は反発局面に入ってきた」(日本アジア証券商品本部の黒川達夫投資 情報部長)。前日までの東京株式市場では、こうした見方が徐々に広がりつつあ った。しかし、東京証券取引所はこの日、システム障害を理由に取引開始から売 買を停止、市場関係者からは「取引が再開されないと、せっかくの力強い地合い に冷や水を浴びせかねない」(東洋証券情報部の大塚竜太ストラテジスト)との 声が漏れていた。

もっとも、取引が再開されると、市場関係者の心配をよそに先物主導で株式 相場は急伸し、日経平均株価、TOPIXはともに年初来高値を更新した。たっ た1時間30分の取引で、相場は調整局面を脱したことが鮮明となった。

投資家を強気にさせたのが「デフレ脱却期待」だ。日本銀行が前日に発表し た「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」が景気や物価の見通しに強気の見 方を示したことで、景気回復やデフレ脱却の期待が高まった。大手銀行株や地銀 株が軒並み上昇。TOPIXの銀行株指数はプラス寄与度1位となり、相場を押 し上げた。指数は2000年4月以来、約5年7カ月ぶりの高値水準となった。

また、東京市場の重荷となっていた米景気見通しや株式動向に落ち着きが見 られ始めたことも買い安心感につながった。前日の米株式相場は、ウォルマー ト・ストアーズの既存店売上高が予想を上回ったことなどから、消費減退懸念が 後退した。ダウ工業株30種平均は続伸し、終値では約1カ月ぶりの水準にまで 回復した。

三菱UFJセキュリティーズ(USA)の新村光秀バイスプレジデントは、 米株式相場の見通しについて「大きく振れる可能性は低いだろう。明日のFOM C(連邦公開市場委員会)を無事にこなして、年末の消費が良いという兆候が高 まれば、期待できる」との見方を示した。

TDKが大幅続伸、パイオニアや横河電は下げる

企業決算が本格化する中、業績面で好材料を出した銘柄が買われる流れが続 いた。この日の日経平均の上げを主導したのがTDK。値上がり率は6.7%とな り、この日の高値で引けた。05年9月中間期の連結純利益が前年同期比9%増 の217億円となったと前日に発表。ハードディスク装置(HDD)向けの磁気ヘ ッドやDVD(デジタル多用途ディスク)レコーダーなどが順調だった。通期予 想は510億円と、従来予想を2%上方修正した。好決算を受け、J.P.モルガン 証券が投資評価を引き上げた。

半面、パイオニアが小幅安となり、52週安値を更新した。主力のプラズ マ・ディスプレー・パネル(PDP)の生産ライン2本の操業を停止したことを 明らかにしたため、同事業の厳しさが再認識された。中間期決算の会見で、追加 のリストラ策次第で一段の下方修正もあると述べたことも、業績不安を高めた。

横河電機も大幅続落した。同社は主力の半導体検査装置(テスター)など計 測機器事業が振るわず今期業績予想を下方修正したため、業績不安が高まった。 値下がり率は東証1部の第8位となった。

新興市場は軒並み高、東証売買停止で資金流れる

新興市場では、ジャスダック指数、東証マザーズ指数、大証ヘラクレス指数 がいずれも上昇した。ジャスダック指数は2000年4月以来、約5年7カ月ぶり の高値を連日で更新した。東京証券取引所がシステム障害で売買取引を一時停止 したことを受け、資金の一角が新興市場に流れ込んだ。

丸三証券エクイティ部の川口弘次主任は「東証のダウンで資金が確実にジャ スダック市場に流れてきている。流動性に敏感な地合いで、時価総額の大きい主 力銘柄が高くなっている」と述べていた。

ジャスダック市場では、イー・トレード証券、ジュピターテレコム、スパー クス・アセット・マネジメント投信、インデックスなどが高く、時価総額上位の 銘柄が買われた。半面、楽天、第一興商、大塚家具、東映アニメーションなどが 安い。

東証マザーズでは、アイディーユー、ニッシン債権回収、ライブドア、サイ バーエージェントなどが高い。半面、ソネット・エムスリー、サイバー・コミュ ニケーションズ、タカラバイオ、コネクトテクノロジーズなどが安い。

大証ヘラクレスでは、ダヴィンチ・アドバイザーズ、オープンループ、日本 エンタープライズなどが高い。半面、エイチ・エス証券、シーエスロジネット、 VTホールディングス、ファイナンス・オールなどが安い。

主要株価指標の動向                前営業日比
日経平均株価            13867.86    +261.36
TOPIX                  1473.02     +28.29
日経平均先物(大証)          13860      +240
日経平均先物(シンガポール)   13870       +230
東証2部指数                4319.19        +35.74
ジャスダック指数        106.40       +0.88
日経ジャスダック平均           2247.80     +10.92
東証マザーズ指数               1890.57     +16.35
大証ヘラクレス指数       2888.93        +18.56
東証1部売買高(百万株)     1797.44     -915.04
    値上がり銘柄数     1211
    値下がり銘柄数     355
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