天坊・出光社長:国内は現行戦略を継続、海外で積極展開へ-石油事業

石油元売り大手、出光興産の天坊昭彦社長は このほどブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、今後の石油事業戦略と して、中東産油国やアジアでの投資に積極的に取り組む考えを示した。国内では 供給力が販売規模を下回る現行の経営戦略を継続するものの、アジアをはじめと した世界的な需要拡大を踏まえ、海外投資を通じて石油の安定的な確保を図る。

天坊社長は、具体的に交渉をしているわけではないと断りながらも、クウェ ートやイランといった中東産油国での共同事業、アジアでの製油所建設プロジェ クトに意欲を示した。産油国では重質原油の分解装置の設置などが考えられるほ か、アジアでは製油所が不足している国に「できれば、われわれがプロモートす る形」で共同事業として取り組む考えで、「現地への供給、あるいは日本国内へ の引き取り」が可能になるとしている。アジアの製油所プロジェクトのなかでは 中国とベトナム、インドが有望だが、「どちらかといえばベトナムが好ましい」 という。ベトナムでは現在3つのプロジェクトが構想されている。

国内の供給ショート戦略は継続

出光興産は、過去のデフレ局面や国内需給の緩和を踏まえて2製油所を閉鎖 し、生産量が販売量を下回る「供給ショート」の経営戦略を取っている。天坊社 長は、国内の石油需要がピークを打ったとみられるうえに、国内のマージン(原 油と石油製品との価格差)は海外に比べて低いことを挙げ、国内については現在 の経営戦略を継続することを表明。「ここで装置の新設、とくにトッパー(原油 処理装置)を新設することはまったく考えていない」と述べた。

同社の原油処理装置の能力は日量64万バレル、年間換算で3714万キロリッ トル。これに対し、04年度の販売数量(単体ベース)は5006万キロリットル。

天坊社長は、5月発表の中期経営計画(2005-08年度)について、コア事業で ある燃料油部門の収益を源泉として、資源開発および石化樹脂といった高付加価 値事業を強化することをあらためて示した。産油国とアジアにおける投資につい ては、中期計画には盛り込んでいないという。

同社は08年度の連結営業利益(持分法投資損益を含む)を04年度比40%増 の1400億円に引き上げる計画。自動車をはじめとした日系企業を念頭に米国、タ イ、中国などでの潤滑油販売、ポリカーボネート樹脂や有機ELなどに注力する。

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