石油四半期決算:在庫評価益や石化主導で好調-マージンは悪化

22日までに出そろった石油元売りの4-6 月期決算では、原油価格の高騰に伴う在庫評価益や石油化学事業などが貢献し、 各社ともに増益を記録した。ただ足元では原油価格の上昇に製品価格が追い付い ておらず、石油製品のマージンは圧縮傾向。このため在庫評価を除いた各社の実 質利益見通しは下方修正されるケースが多く、7-9月期にかけてはコスト転嫁 が課題となりそうだ。

4-6月期の増益要因として目立ったのは、在庫評価益を筆頭に、石油化学、 石油開発事業など。業界最大手である新日本石油の場合、原油価格が1ドル上昇 すると70億円弱の影響があり、連結経常利益726億円のうち、在庫評価による 影響額は490億円に達した。さらにパラキシレンなどの石化製品が前年同期より も高値で推移したため、新日石やジャパンエナジー、東燃ゼネラル石油を中心に 収益が押し上げられた。

全般的に好調な決算となるなか、出光興産の連結営業利益は3億円減の111 億円とさえない。北海油田の減産効果が石油化学部門の増益幅を相殺したうえに、 石油部門も千葉製油所の定期修理費用などで小幅減益。ただ同社は在庫評価方法 として後入先出法を用いており、他社と同様に総平均法を用いると600億円の押 し上げ要因になるという。

ブルームバーグ・データによると、4-6月期のドバイ原油の平均価格は前 年同期比45%高のバレル当たり47.83ドル。為替相場は1ドル=107.54円 (前年同期は109.62円)だった。

石油マージンの低下-実質業績見通しを下方修正

7-9月期以降については、原油をはじめとした市況とともに、原油コスト の転嫁が課題として浮上している。ガソリンなどのガソリンスタンド向けの値上 げがおおむね浸透しているのに比べて、C重油のような「産業用は厳しい」(コ スモ石油の宮本論常務)ためだ。新日鉱ホールディングスの木原徹取締役による と、同社の4-6月期マージンは全体としては「横ばいか若干落ちている」状態。 新日石の4-6月期マージンは前年同期比で改善したものの、平井茂雄常務は後 半にかけて「ちょっときつい」ことを認めている。さらに製油所などでの自家燃 料のコストも製品価格に転嫁しにくいという。

こうした状況を踏まえ、新日石は他社に先駆ける形で、在庫評価を除いた9 月中間期の実質連結経常利益見通しを従来予想比50億円減の410億円に下方修 正し、ジャパンエナジーやコスモ石油もこれに追随。東燃ゼネラル石油は、原油 価格の認識時点が他社よりも1カ月程度早いことから、石油部門の上期マージン が大幅に悪化。これが響き、12月通期の実質営業利益見通しを460億円(従来 予想は650億円)に引き下げた。

7-9月期のコスト転嫁

石油各社は原油高を踏まえ、7月と8月の製品卸売価格をいずれも3円程度 値上げすることを打ち出したが、値上げを見越した仮需や買い控えなどが発生し ており、国内製品市況の上昇力は今ひとつ。昭和シェル石油の新井純執行役員は、 バスの定期代を引き合いに出して「日本全体の価格是正が行われないと、燃料だ けのコスト転嫁には限界がある」と語る。アジア全体の石油製品需要は堅調に伸 びており、「国内市況に好影響を与えている構図を修正する必要はない」(みず ほ証券の角田樹哉アナリスト)とみられているものの、足元の国内市況は上昇力 が弱いことから、石油各社は引き続き、輸出を含めた需給対策を迫られることに なりそうだ。

ブルームバーグが同日時点におけるドバイ原油、現物製品の業者間価格(リ ム価格)などに基づいて算出した4-6月期の国内製油所マージン(月間の平均 値、石油石炭税を含む)はキロリットル当たり5931円となり、前年同期(6148 円)を小幅ながら下回った。4月のマージンは8000円台を記録したものの、原 油高に製品価格が追い付かなかったため、6月のマージンは急低下した。原油価 格の認識時点や製品の販売方法が異なるため、石油各社のマージンとは必ずしも 一致しない。

新日本石油の株価は前週末比12円(1.4%)高の861円、東燃ゼネラル油 は同13円(1.1%)高の1234円、昭和シェル石油は同16円(1.3%)高の 1270円。新日鉱ホールディングスは同14円(2.0%)高の729円。

*T     4-6月純利益

新日本石 399億円(63%増)

昭シェル 177億円(2.8倍)

コスモ石 128億円(3.1倍)

東燃ゼネ  84億円(78%増)

出光興産  72億円(赤字43億) Jエナジ 270億円(2.6倍)※ *T Jエナジーの4-6月は経常利益。

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