石油各社:軽油や重油中心に輸出増加-海外高で採算改善、需給下支え

コスモ石油など石油各社が、軽油やジェッ トケロシン(灯油)、重油といった製品の輸出を活発化させている。アジア市場 で指標的存在であるシンガポール価格が国内価格よりも割高となっているためだ。 国内製品市場は在庫増加などで価格が伸び悩んでいるが、輸出を通じて需給面か らの下支え効果が期待できそうだ。

経済産業省が発表した6月の石油製品(燃料油)輸出量は、前年同月比43% 増の179万キロリットル。軽油やC重油の急増が目立つ。石油連盟の7月概算値 (3-30日)も146万キロリットルとなり、前年7月実績(140万キロリッ トル)を上回った。軽油や重油が伸びている。

ブルームバーグ・データによると、15日時点のシンガポール灯油価格は国内 価格(京浜地区のリム価格)に対し、キロリットル当たり3925円高い。軽油は 2962円高。国内製品価格には原油輸入時の税金などが含まれているため、この税 金部分を除外するとさらに割安となる。

石油各社が輸出を積極化

日本国内市場では、価格高騰によって買い控え的な動きも指摘されており、 7月末在庫(石連速報値)はガソリンと軽油中心に前年同月値を上回っている。 こうした一方でシンガポールの軽油価格は3月に続き、6月にも国内価格を上回 ったほか、灯油価格は6月から国内価格をほぼ一貫して上回っている。海外製品 価格が高値圏で推移していることから、石油会社は「採算面も良い」(コスモ石 油の日下部功・海外部長)として軽油などの輸出に積極的。新日本石油は、中間 留分中心に7月輸出量が前年同月比2.5倍の25万キロリットルに達した。コス モ石油は米国、豪州、韓国向けを中心に、8月に11万キロリットルの軽油輸出 を予定している。

AOCホールディングス傘下の富士石油は、06年の製品輸出量を04年比4 倍強の80万キロリットルに引き上げる方針。アジアの需要拡大をきっかけに 「(輸出市場は)利益の上がるマーケットと位置付けられるようになった」(A OCHDの坂本吉弘社長)と判断し、軽油を手始めに拡販する。

中国は減速、豪州が脚光浴びる

各社の輸出先としては、豪州や韓国、北米、中国などが挙げられている。こ のうち中国市場については、政府当局による価格抑制政策をきっかけに国内価格 が海外よりも割安となった結果、7月の石油製品輸入は前年同月比13%減の240 万トンにとどまった。中国の需要減は市場にとってマイナス材料だが、原油価格 の高騰が「製品価格のフロアとなっている」(三井物産の石油事業部・石油需給 室の上山晃氏)ことで、製品価格の底上げ要因になっている。

この一方で注目されているのが豪州。同国でも軽油の低硫黄化規制が正式導 入されるが、アジアの製油所はまだ供給対応が不十分なため、「日本産の低硫黄 製品が評価されている」(コスモ石油の日下部海外部長)という。

日本国内の製品需要は、過剰設備とエネルギー効率化の進展によって長期的 には減少傾向が予測されており、石油会社にとって輸出拡大は検討課題の1つ。 中国の製品輸入は減速しているものの、アジア価格が相対的に割高である限り、 「少なくとも9月までは輸出成約が見込める。内外価格差が収れんする良い形」 (三井物産の上山氏)と受け止められており、国内需給の改善にも寄与すること になりそうだ。

コスモ石油の株価は前日比1円(0.2%)安の589円、新日本石油は同8円 (0.9%)安の876円、AOCHDは同21円(1.0%)安の1999円(午前10 時13分現在)。

共同取材、Hector Forster--Editor:Ozawa

松井 玲 Akira Matsui (813)3201-7540 akmatsui@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 小沢均 Hitoshi Ozawa (81)(3)3201-3106 hozawa1@bloomberg.net シンガポール Reinie Booysen at (65) 6212-1154 or rbooysen@bloomberg.net

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