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半導体大手1Q決算:市況悪化でエルピーダ、NECエレ、東芝赤字(2)

日本の半導体大手3社(エルピーダメモリ、 東芝、NECエレクトロニクス)の2005年度第1四半期(4-6月)業績は、市 況悪化とデジタル家電の需要拡大の遅れが響き、NECエレクトロニクスが営業赤 字に転落、残り2社も営業赤字となったもようだ。ただし、東芝の半導体事業は 100億円程度の営業利益を確保したとの見方も出ており、半導体事業の比較では東 芝のみが黒字を確保した可能性がある。

ブルームバーグ・ニュースが集計したアナリスト(エルピーダ9人、東芝6 人)の予想中央値によると、第1四半期の営業損益は、エルピーダが27億5000万 円の赤字(前年同期は31億円の黒字)、東芝が半導体事業を含む全体の損益で17 億5000万円の赤字(同141億円の黒字)となった。東芝の半導体事業のみでは 100億円超の黒字(同370億円の黒字)と予想されている。NECエレは6日、 100億円の営業赤字(同152億円の黒字)に下方修正を発表済み。

世界半導体統計(WSTS)の予測では、2005年の世界市場は前年比6.3% の成長が見込まれている。そのなかで、今期はNECエレが前期比16%の減収予想 と市場平均を大きく下回る見通し。一方、市場成長率を大きく上回る増収計画のエ ルピーダ(同26%の増収予想)と東芝(半導体事業で同11%の増収予想)でさえ も、足元の収益は悪化している状況だ。

このため、投資家としては「市場平均の成長率をアウトパフォームしない半導 体企業は、投資対象になりづらい」(ゴールドマン・サックス証券の松橋郁夫アナ リスト)という面がある。大和住銀投信投資顧問の窪田真之ファンドマネージャー も、「デジタル家電関連向けに注力している半導体関連企業のモメンタムは相対的 に弱く、投資は避けたいところ。今のところは、インテルの好業績の恩恵を受けて いる部材メーカーなどが買いやすい」とみている。

エルピーダの営業赤字は下振れも

アナリスト9人の予想中央値によると、DRAM(記憶保持動が必要な随時書 き込み読み出しメモリ)専業大手エルピーダの第1四半期の営業損益は27億5000 万円の赤字と、投資家説明会などで示していた事前の会社予想(3億円の黒字から 27億円の赤字)の下限をわずかに下回る結果となったもよう。最終損益の予想中央 値は28億円の赤字(前年同期は23億円の黒字)で、会社予想(10億-40億円の 赤字)の範囲内に収まったようだ。

予想中央値の売上高は451億円で、前年同期と横ばい。同社の高付加価値DR AM製品群は、携帯電話やゲーム機、デジタル家電、サーバ向けなどに需要が拡大 しているものの、PC(パソコン)向け汎用DRAM市況でスポット価格が急落し たことの影響を免れなかったようだ。

UFJつばさ証券の嶋田幸彦アナリストは「競合他社の独インフィニオンテク ノロジーズや米マイクロン・テクノロジーズの第2四半期決算は赤字が拡大した。エ ルピーダの赤字が、予想の下限値に収まるかどうかがポイント」と指摘。そのうえ で、「エルピーダは非PC向けDRAMに注力するビジネスモデルであるため、必 ずしも楽観はできないのではないか」と述べた。

ドイツ証券の小田智文アナリストは「営業赤字は40億-50億円になった可能 性が高い」と試算。その理由を「国内携帯電話やデジタル家電の本格的な回復が見 られなかった第1四半期は、自社工場で汎用DRAMの生産を増やしたとみられる。 ただ、同業他社と比較して汎用DRAMで利益が出せるコスト構造ではないため、 直近のDRAM価格上昇による業績へのインパクトは限定的ではないか」と分析。 今後は「デジタル家電や携帯電話向けの需要回復が業績改善のポイント」と判断し ている。

DRAM市況「年末回復、来年悪化」の予測も

足元のDRAM市況は、パソコン向け需要が堅調に推移していることなどから 復調気味。汎用DRAM価格(容量256メガビット)は7月半ばまでの1カ月間で 約11%反転、7月19日現在の平均単価は2.68ドルだった。今後の見通しについ ては「年末にかけて3ドル程度に回復、年明け以降は軟化し、春には2ドルを割り 込む可能性もある」(ゴールドマン・サックス証券の松橋氏)と、いったん回復し た後、来年前半は悪化すると予測する声が多いようだ。

米IT調査会社のアイサプライは、容量が512メガビットのDRAMの場合で、 6月の5.2ドル程度から7-9月期には約4.6ドルに下がった後、10-12月期は 5ドル近辺まで戻すと予測。だが、06年1-3月期になると4ドル強に再び下落し、 同4-6月期には4ドル割れの水準も想定している。

その一方で、逆に、「年明け以降も需要が底堅く推移するので、特殊要因が発 生しない限り、価格は大きく下がらないだろう」(新光証券の大竹喜英アナリス ト)との見方もある。05年初めから、サムスン電子がNAND型フラッシュメモリ (電気的に一括消却・再書き込み可能なメモリ)の増産を加速しているため、DR AM市場の需給は軟化しないとの前提に立った予測だ。このため、来年前半の市況 に関しては、強弱の予測が入り乱れている。

東芝、黒字確保だが収益は悪化

東芝は重電事業の赤字などが響き、全体の営業損益は予想中央値で17億5000 万円の赤字(前年四半期は141億円の黒字)のもよう。このうち収益の稼ぎ頭であ る半導体事業は、主力製品のNAND型フラッシュメモリの需要が携帯音楽プレー ヤー向けなどにも用途が広がり、100億円以上の黒字(同370億円)を確保したと の見方が複数出ている。だが、前年との比較では大幅な減益で、収益的には厳しい。

平均単価は前期に約60%下落し、今期も第1四半期で約10%下落したもよう だ。新光証券の大竹氏は「需要拡大に対応するため増産しており、一定の収益は確 保できるだろう」としつつも、「サムスンが下期に単価を50%引き下げるとの話も 伝えられており、今後、価格が急落すれば、東芝の下期の半導体事業の計画が下振 れするリスクは残る」とみている。

アイサプライはNAND型フラッシュメモリの単価(容量1ギガバイト)につ いて、「7-9月期から06年4-6月期まで、急激な下降トレンドが続くだろう」 (豊崎禎久副社長)と予測。足元の価格は1ギガ当たり7.6ドル程度だが、豊崎氏 は「06年4-6月期には、1ギガ=4.5ドルくらいまで滑り台のように急落する」 と予想している。

三菱証券の石野雅彦アナリストは「夏以降、クリスマス商戦に向けて需要が拡 大するため、堅調な動きが期待できる」とする一方で、「サムスン電子と東芝に並 んでハイニックスもかなり増産しており、その影響から供給過剰感が出る可能性も ある。下期以降の価格動向には注意が必要だ」と市況を注視する。

焦点は下期以降に

市場では、下期以降の回復いかんに焦点が移る。立花証券の平野憲一情報企画 部長は「電機各社の第1四半期発表が集中する来週末に前半戦のピークを迎える」 と、下期以降の業績を占ううえで重要な局面に差し掛かったと判断。半導体関連企 業については、「下期以降の回復度合いがどの程度なのか、会社側のコメントに注 目したい」との認識を示した。

エルピーダメモリは21日、NECエレクトロニクスは27日、東芝は28日に、 それぞれ第1四半期業績を発表する予定。20日の終値は、エルピーダが前日比10 円(0.3%)高の3600円、NECエレが同40円(1%)高の4240円、東芝が同 1円(0.2%)安の443円。

*T 売上高   営業損益   純損益 <エルピーダメモリ>

アナリスト予想中央値    451 ▲27.5   ▲ 28 会社事前予想       440-480 ▲27-3   ▲10-40 前年第1四半期実績     455 31 23 <東芝> アナリスト予想中央値    12550  ▲17.5 ▲ 70 会社事前予想        n.a.  n.a.   n.a. 前年第1四半期実績     12479   141 ▲ 78 <NECエレクトロニクス> アナリスト予想中央値     ----- ----- ----- 会社事前予想         1450 ▲100 ▲ 65 前年第1四半期実績 1856 152 87 *T 注)単位・億円、▲は赤字を示す。NECエレクトロニクスは下方修正を発表した ため、アナリスト予想中央値は算出せず。

--共同取材 梅田隆生、吉川淳子 Editors : Okubo

テオ チャンウェイ Teo Chian Wei (813)3201-3623 cwteo@bloomberg.net

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