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石油4社:資源開発や石化事業を強化、計1.2兆円投資-中期計画

25日までに出揃った石油各社の中期経営計 画では、中国をはじめとしたアジアの石油・素材需要の拡大を踏まえて、石油・ 天然ガス開発や石油化学事業の強化、製油所の利用高度化が一斉に打ち出された。 国内石油元売り4社は合計1兆2000億円(石油以外を一部含む)を投じる方針。

アジア地域では燃料や衣料、生活資材の需要増加に伴い、原油や基礎原料の エチレン、合成繊維の川上原料であるパラキシレンなどの原料需給が改善。各工 程の生産設備が十分に対応できないため、ベンゼンのように価格が一時的に倍増 する現象も起きた。足元のパラキシレン市況は反落しているものの、需給面から は「最終設備(テレフタル酸設備など)の拡大にもかかわらず、売り手市場の形 になっている」(新日本石油の渡文明社長)として、各社は収益チャンスと捉え ている。

新日石の見通しによると、パラキシレンのアジア需給は08年で230万トン の需要超過(04年は170万トンの需要超過)、樹脂・繊維原料のプロピレンも 同じく270万トンの需要超過(同240万トンの需要超過)。

国際エネルギー機関(IEA)予測では、2010年の世界石油需要は02年 比17%増の日量9040万バレル。中国をはじめとしたアジアがけん引する形で、 10年以降も拡大傾向が見込まれている。

資源開発-新日石目立つ、商社勢も活発

業界最大手の新日石は、3年間に石油・天然ガス開発に2000億円を投じる。 豪州や東南アジア、英国北海、米メキシコ湾地域に重点的に展開し、07年の原油 生産を04年比64%増の日量18万バレルに引き上げる。同部門は全体の収益を けん引し、07年度の部門経常利益は倍増の650億円を見込む。

出光興産は800億円を投じる。豪州の08年度石炭生産量は同43%増の年 1200万トンを目指す半面、北海のスノーレ油田は回収率向上のための工事を行う ため、原油生産量は20%減少する。この結果、部門営業利益は10%減の400億 円を見込む。出光興産は「株式上場に向けた基盤作りは、ほぼ完了した」(天坊 昭彦社長)として、06年秋の上場を目指す。

石油化学-設備を一斉に増強へ

石油化学では、新日石と新日鉱ホールディングスが積極的。新日石は800億 円を投じて、パラキシレンの07年生産能力は04年比40%増の140万トン、プ ロピレンも33%増の80万トンに引き上げる。

新日鉱HDは、全体の設備投資額のうち、1290億円を主として石油化学と 銅事業に投入。パラキシレンなどの生産能力を現在比50-60%増の年150万- 160万トンに増強する。

石油化学事業は、資源開発に比べると投資費用が少ないうえに、既存設備を 活用することが可能。このため出光興産とコスモ石油、昭和シェル石油も同事業 を強化している。コスモ石油は石化事業をほとんど抱えていないことが収益格差 となっているが、丸善石油化学と合弁会社をこのほど設立。合弁部門の混合キシ レンの生産能力を06年7月めどに2.7倍の年27万トンに増強する。

製油所の利用高度化-石化増強、重油対策

石化事業を強化する具体策の1つが、製油所の利用高度化。業界を取り巻 く環境は過去のデフレ期とは様変わりしたとはいえ、中国などでは大規模プラン トの稼働が予定されている。足元の好環境を早期に収益化するためにも、自社グ ループ内だけでなく、隣接する他社施設との提携を通じて石油精製と石油化学を 一体化する動きが加速している。

出光興産は、投資金額の半分を石油・石化の基盤事業に投じ「採算の良いボ トルネック(増産の障害部分)に手を付ける」(上前修・経営企画室長)。上前 氏によると、グループ内における原料の最適利用、ナフサの共同配送などによっ て、4年間に100億円の合理化効果を見込んでいる。

石油会社にとっては、石油製品の需給変化に対応する狙いもある。電力会社 や工場が、クリーンエネルギーであるガスなどに転換していることもあって、重 油類の需要は今後も減る見通し。このため新日石は、C重油の処理策として輸出 のほか、発電事業を強化。さらに「製油所で分解してプロピレンを生産すること を検討中」(渡社長)としている。同社は中国石油からの受託精製、重油の輸出 などを通じて、製油所稼働率の引き上げを実現している。

収益チャンス到来-市況変動はリスク

石油精製設備の集約が進むなかでアジア諸国の需要が急増している結果、 「石油および石油製品の需給が引き締まっている」(UBSの伊藤敏憲アナリス ト)とされ、収益環境は良好だ。これを踏まえ、アナリストの間からは、中国経 済の高成長という構図が崩れない限り「収益機会が出ており、投資すべき局面」 (野村証券・金融経済研究所の塩田英俊アナリスト)と評価する声が聞かれる。

もっとも、各社の収益は市況変動に左右されやすいため、短期的には事業リ スクもありそうだ。新日石は石化製品価格が乱高下するとの前提に基づき、05年 度の部門営業利益見通しを17%減の502億円にとどめた。野村証券の塩田氏は、 投資のタイミングによって「収益格差が生じる可能性もある」として、実際の投 資動向に注目している。

新日本石油の株価終値は前日比13円(1.9%)安の691円、コスモ石油は 同9円(2.4%)安の371円、新日鉱ホールディングスは同10円(1.7%)安の 579円。

――経常利益―― *T    設備投資  04年度  07年度予 新日石  5000億  1510億円  1900億円 新日鉱H 2600億  1236億円  1300億円 出光興産 3000億  1003億円  1400億円 コスモ石 1400億   531億円   880億円 *T 中期計画の期間は、出光興産だけが05-08年度、他3社は05-07年度。経常 利益は在庫影響を除く。コスモ石油と出光興産は営業利益ベースで、出光は持分 法投資損益を含む。

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