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石油元売り決算:今期予想はまちまち、在庫評価や石化市況などが左右

20日までに出そろった石油元売りの04年 度決算によると、原油および石油化学製品の市況上昇が追い風となり、新日本石 油とコスモ石油の連結純利益が過去最高を記録、新日鉱ホールディングス傘下の ジャパンエナジーも、経常利益が過去最高となった。

05年度については、市況高の効果が後退するとの前提に基づき、新日石と Jエナジーは減益を見込む。一方、コスモ石は石化市況の影響を受けにくいこと から増益を維持。出光興産も減損処理費用がなくなることなどから、黒字に転換 する。

04年度業績のけん引役は、石油化学と石油開発部門。世界的な素材需要の 増加を受けて、原油だけでなくベンゼンをはじめとした石化製品の価格が急上昇 した。さらに新日石とコスモ石、Jエナジーでは、市況高に伴う在庫評価(総平 均法)も利益水準を押し上げた。Jエナジーの経常利益は前期比519億円増の 878億円。増益幅のうち、在庫評価の効果額は195億円、石化は160億円を占め た。

ブルームバーグ・データによると、ドバイ原油の04年度価格は前年度比 35%高のバレル当たり36.41ドル。ドル・円相場は1ドル=107.49円(前年同 期は113.02円)。プラッツ提供の04年度ベンゼン平均価格(週間値)は同2 倍のトン当たり946ドルに達したほか、パラキシレン価格は同45%高のトン当た り882ドル。

市況一服でマージン低下見込む

19日のドバイ原油価格は44.12ドルで、4月初めの高値50.16ドルから は下落。13日時点のベンゼン価格も740ドルとなり、3月高値1189ドルからは 一服している。こうした状況から、新日石と出光、Jエナジーは、石油製品およ び石化製品のマージン(原料コストと販売価格の差)がやや悪化するとみている。 市況が軟化すると需要家の抵抗によってコスト転嫁が難しくなる傾向があるため で、出光興産の吉岡義晃副社長は、「マージンは悪化する懸念があり、04年度の 収益を維持するのは難しい」とみる。

実際、原油コストは年初から1リットル当たり約11円上昇したのに対し、 石油情報センターの末端販売価格は7円程度の上昇にとどまる。このため「1月 以降はコスト転嫁の未達が残っている」(新日本石油の渡文明社長)として、今 後もコスト回収に注力する考えだ。

四半期決算の昭和シェルなども、末端販売価格へのコスト転嫁は遅れたと説 明。同社の1-3月期の純利益は90%増益となったが、これは寒波による灯油需 要や製油所の定期修理に伴う在庫積み増しなどが貢献した。東燃ゼネラル石油は 17%減益。石油化学部門の営業利益が大幅増加したが、石油部門のマージン悪化 が響いた。同社は原油価格を積み出し時点で評価するため、原油高によるコスト 上昇分が含まれたとしている。

05年度見通しはまちまち-石化事業や在庫評価

新日石の05年度連結経常利益見通しは25%減の1590億円。石油公団から の開発子会社株式の取得などによって石油開発部門の利益は前期比200億円増加 する半面、石油製品や石化製品のマージン低下などで217億円の減益要因。在庫 評価のプラス効果が急減するため、全体の利益は減少する。Jエナジーも、同様 の要因から減益を見込む。

この一方、コスモ石油は増益を維持。石油開発部門が増益となるほか、石化 部門をほとんど持っていないことで、マイナス効果が限定される。

出光興産は、減損処理費用がなくなるうえに、04年度にトラブルを起こした 北海道製油所がほぼフル操業に復旧することが寄与する。また在庫評価の算定 (後入れ先出し法)に際して、原油価格の下落を見込んでいるため、評価益が発 生する見通し。

パラキシレン需給は強気見通し目立つ

新日石は石化事業の減速を想定する理由について、中国のパラキシレン需要 が減少していることに加え、「石化市況は歴史的に見ても乱高下する傾向があ る」(渡社長)ことを挙げる。ただ、中国では石化設備(テレフタル酸)の増強 規模に対して原料のパラキシレンの供給力が追いつかないとみられることから、 「パラキシレンやベンゼンは、明らかに不足することが見えている。夏場ころま でには在庫調整が一巡し、安定的な市況になる」(同)ととらえており、強基調 自体に変化はないとの認識だ。

みずほ証券の角田樹哉アナリストは17日付リポートで、石化市況に関して、 ポリエステル繊維の生産調整が続いていることで原料であるパラキシレン市況に は注意が必要としながらも、「アジアのパラキシレンの需給構造は基本的にタイ ト」との見解を示している。

20日の新日本石油の株価終値は前日比4円(0.6%)高の711円、コスモ 石油は同2円(0.6%)安の364円、新日鉱ホールディングスは同2円 (0.3%)高の594円、東燃ゼネラル石油は同9円(0.8%)高の1116円、昭 和シェル石油は同4円(0.4%)高の1006円。

*T     1-3月純利益    05年度純利益予想 新日本石油 296億円(1489億円赤字) 880億円(33%減) コスモ石油 100億円(―――)   320億円(21%増) 新日鉱HD 111億円(2.4倍) 610億円(21%増) 出光興産  ―――      360億円(58億円赤字) 東燃ゼネ   64億円(17%減)  400億円(17%減) 昭和シェル 109億円(90%増)  350億円(15倍) *T 新日鉱HDは連結決算値。東燃ゼネラル石油と昭和シェル石油は05年12月期決 算。

--共同取材:浅野文重、Hector Forster Editor:Okubo

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