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消える駐車メーター、マンホールの蓋-中国の鉄鋼需要拡大が背景か

ベルギー最大の鉄道駅では800台あった 鉄製の荷物カートのうち770台がいつのまにかなくなり、米ピッツバーグでは、 道路脇に設置されていた駐車メーター400本が引き抜かれた。中国の上海では 道路からマンホールの蓋が消えている――。

英国のロンドンからインドのコルカタ(カルカッタ)まで世界の至る所で、 鉄やスチール、銅を含むものは何でも持ち去られる事態が発生している。その 背景には、850億ドル(約9兆1000億円)規模の世界のスクラップ市場で、 価格が2003年以降で3倍に跳ね上がっていることがある。中国が世界中から 再利用向けの金属を輸入しているためだ。

英金属リサイクル協会のリック・ウィルコックス事務局長は、「主として 中国の製鉄所と中国経済への供給向けに、スクラップに対する強欲とも言える 需要が世界中で広がっている」と話す。

ブリュッセルに拠点を置く国際鉄鋼協会(IISI)によれば、中国は今 年、全世界の鉄鋼の約3分の1を購入し、鉄鋼需要の伸びの80%を支える見込 み。

IISIの原材料担当ゼネラルマネジャー、トニー・トリケット氏は、ス クラップ価格が高騰している背景には、中国のスクラップ輸入はここ5年間で 2倍の1000万トンに拡大し、世界のスクラップ海上輸送の2割は中国絡みと なっていることがあると指摘する。

鉄鋼リサイクル企業

地球温暖化対策として欧州で二酸化炭素排出を削減する動きもまた、スク ラップ需要拡大の要因となっている。鉄鉱石を精錬するのに比べエネルギーの 消費が少なくて済むためだ。

トリケット氏は、「スクラップは窃盗の対象としては非常に価値がある のだろう」という。同氏によれば、法律を順守するきちんとした製鉄会社、例え ばルクセンブルクのアルセロールなども今、鉄鉱石を精錬するよりむしろスク ラップを電炉で溶かすことに力を入れている。

スクラップ需要の高まりは、オーストラリアのシムズ・グループなどリサ イクル企業の好業績につながっている。スクラップ再生で最大手のシムズの 2004年7月-05年3月の純利益は前年同期比ほぼ倍増の1億5120万豪ドル (約124億円)となった。

シムズのジェレミー・サトクリフ最高経営責任者(CEO)は、「中国の 需要については、このまま一気には進まないだろうが、中長期的にも強気で考 えている」と述べている。

--共同取材:ムンバイ Debarati Roy ブカレスト Bogdan Preda

Editors: Morris, Swardson, Henry

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