石油製品:シンガポール価格が一時割高に、国内勢は輸出に慎重姿勢

ガソリンや軽油市場では先週から今週初めに かけて、アジアの指標的存在であるシンガポール価格が国内業者間価格を上回る 価格の逆転現象が起きた。中国の需要増加観測などでシンガポール価格は2月に 急伸した一方、灯油の増産や製油所の定期修理準備による影響によって国内価格 は低迷しているためだ。理論的には製品輸出が起きやすい環境となっているもの の、国内石油会社はいまのところ輸出に慎重な姿勢を見せている。

ブルームバーグ・データによると、シンガポールのガソリン・スポット価格 (オクタン価92、FOB)は、京浜地区の現物価格(リム価格、税金53800円 を除外)に比べて、1日時点で1377円安い。先週中は価格差が逆転して24日に は2069円高となり、04年1月(2985円高)以来の価格差を記録した。軽油は、 シンガポール価格が国内に比べて213円安。25日には1479円高となり、昨年 10月以来の価格差逆転が見られた。なおシンガポールと日本間の海上運賃は考慮 していない。

新日石は輸出の考えなし-東燃ゼネも

ただ大手石油会社の関係者からは、現時点で輸出に慎重な声が聞かれる。新 日石の2月輸出量はゼロで、3月計画は未定。同社は需給バランスを見ながら輸 出を検討する方針を取っているが、津田直和常務は28日の会見で「輸出は考えて いない」と語った。新日石は、製油所の定期修理を昨年時よりも1カ月前倒しし て4月から開始する予定。このため3月から在庫積み増しを図る必要があるうえ に「(原料を)石油化学にも回しているため、余裕がない」(津田常務)という。

また米エクソンモービル系列の東燃ゼネラル石油のウイリアム・ボガティ取 締役も28日の決算会見で、米西海岸向けにハイオクガソリンを時折輸出したケー スはあるものの「いまは輸出していない」と述べた。ボガティ氏によると、同社 は「国内よりも利益が得られるのであれば、いかなる地域にも製品を輸出する」 方針。アジアでは関連会社間の取引が活発で「相互に利益をもたらす可能性が高 い」(ボガティ氏)ことから、取引の大半は粗製ガソリンなど半製品で占められ るという。

国内ガソリン価格の低迷-在庫増加

京浜地区のガソリン業者間価格(リム価格、税金53800円を除外)は、1 日時点で1キロリットル当たり38450円。昨年12月安値からはやや戻したもの の、昨年6月高値(46300円)からは17%低い。灯油の増産などをきっかけに、 連産品であるガソリンの在庫増加をもたらしたことなどが影響しているとみられ る。

石油連盟が先週発表したガソリン国内在庫は、19日時点で242.7万キロ リットル。月末時点の在庫比較では、少なくとも過去2年間で最高を記録したほ か、C重油の在庫も高水準となっている。

これに対して、シンガポール市場のガソリン価格(オクタン価92、FO B)は、1日時点でバレル当たり56.55ドル。28日には58.55ドルを付けて、 少なくとも92年以来の高値を記録した。

新日本石油の株価は前日比9円(1.1%)安の781円、東燃ゼネラル石油 は同14円(1.3%)安の1035円、昭和シェル石油は同20円(1.9%)安の 1042円(午前9時30分現在)。

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