東芝:半導体メモリー増産加速、iPod追い風-競合に危機感も(4)

国内半導体2位の東芝は21日、主力のNAND 型フラッシュメモリー(電気的に一括消去・再書き込み可能なメモリー)の増産を加速 すると発表した。米アップルコンピュータ社の携帯型音楽プレーヤー「iPodシャッ フル」など向けにおう盛な需要を見込む。同製品では約4割の世界生産シェアを持つ同 社だが、競合他社の追い上げへの危機感も強く、生き残りを賭けて強気の投資に踏み切 る。

東芝はNAND型フラッシュメモリーの増産前倒しに伴い、2004年度の半導体 投資を2030億円と計画比13%増額する。この日はまた、2000億円の追加投資の可 能性があることも明らかにした。特にiPodシャッフル向けに「莫大な要求がある」 (同社の室町正志執行役常務)こともあり、生産拡大を急ぐ。

NANDフラッシュの単価は04年度上期に4割急落したばかりで、増産を決め るには難しい時期とも言える。だが、この日会見した東芝の岡村正社長は「このタイミ ングを逃すと、次の増産のチャンスを逸してしまう」と強調。さらに「増産のペースを 緩めれば、ライバルにすぐに追いつかれてしまう」と述べ、増産加速を決めた背景に、 強い危機感があったことをにじませた。

NANDフラッシュ事業の拡大に意欲を示している韓国サムスン電子は今年、半 導体分野に前年比9%増の6兆100億ウォン(約6200億円)の投資を予定している。 サムスンは市況悪化時も設備投資を続けてパソコンなどに使われるDRAM(記憶保持 動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)で圧倒的シェアを持つ業界最大手にのし 上がった。岡村社長は「01、02年のDRAM撤退の苦い経験をばねに、二度と同じ過 ちは、ゆめゆめ繰り返さない」と強い決意を示した。

同日発表された計画によると、東芝はこの日竣工した四日市工場(三重県四日市 市)第3棟の稼働時期を05年度下期から05年後半に前倒しする。同時に新工場の生 産能力も、300ミリ径ウエハー換算で年内にも月産1万枚に引き上げる。当初は量産 開始時の同2500枚から05年度中に同1万枚を目指すとしていた。さらに07年度上 期に同3万7500枚と計画していたのを、07年前半には同4万枚に増強する。

東芝の半導体事業を担う半導体分社、セミコンダクター社の社長でもある室町常 務は、増産投資を実施しても、同事業の営業利益の通期予想に影響はないと付け加えた。

新工場に2000億円前後の追加設備投資も

最小加工線幅90ナノ(ナノは10億分の1)メートルの生産プロセスを採用する 同工場の設備投資総額は06年度までに2700億円と、従来計画通り。ただし、同工場 は追加設備の導入により生産能力を月6万2500枚まで拡充できる余地があり、室町常 務はこれを実現するにあたり、「06年ごろまでに、さらに2000億円前後の追加投資 が必要になる可能性がある」との考えを示した。

これとは別に、東芝とフラッシュメモリーの分野で提携している米サンディスク のエリ・ハラリ最高業務責任者(CEO)は四日市工場に第3棟に続いて「向こう数年 内に第4棟の建設も検討する」と述べた。市況を見極めたうえで決める。サンディスク は四日市工場第3棟にも1160億円を出資している。

両社はNANDフラッシュの市場が昨年の7000億円から08年には2兆1000億 円まで拡大すると予測している。

微細化も加速

また東芝とサンディスクはこの日、今夏には1ギガバイトに相当する8ギガ(ギ ガは10億)ビットのNAND型フラッシュメモリーの生産を始めると発表した。70 ナノメートルのプロセスを採用し、従来計画の06年度上期から前倒しで量産を開始す る。さらに55ナノメートルの生産プロセスの導入も、07年中から06年秋に早める方 針を明らかにした。

生産プロセスの微細化は1枚のウエハーからとれる半導体の数を増やすと同時に、 半導体製品の小型・軽量化を可能にする。8ギガのフラッシュメモリーについては8日 にサンディスクと共同で回路技術を開発したと発表したばかり。同製品は90ナノメー トルのプロセスによる4ギガビットの製品と比べてサイズが5%大きくなるが、容量は 倍増する。

三菱証券の石野雅彦アナリストは「こういうことができるのは、評価できる動き だ」と述べ、「日本の半導体復権に向けた良いシナリオがみえてきた」との見方を示し た。

東芝の株価終値は前週末比と同じ443円。

--共同取材:高頭大祐 Editor: Murotani

テオ チャンウェイ Teo Chian Wei

(813)3201-3623 cwteo@bloomberg.net

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