独立系証券に激震、プリヴェが大株主に名乗り-新再編の動きとの見方

企業再生ファンドのプリヴェチューリッ ヒ企業再生グループが丸三証券、水戸証券、いちよし証券、東洋証券、高木証券 の大株主に名乗り出た。プリヴェの松村謙三社長は、株式の取得理由について 「各社とも地域社会で強い顧客基盤を有している。また、足元の業績やキャッシ ュフローの水準も良いのに、株価収益率(PER)などの株価指標で見て、割安 に放置されていたためだ」と説明しているが、市場では「証券業界の新たな再編 の動きにつながるのでは」(新光証券の瀬川剛エクイティストラテジスト)との 見方も浮上している。

内山俊隆マーケット・アンド・テクノロジーズ代表取締役は「来年の4月か ら始まるM&A(企業の買収・合併)革命の時代が到来することを本気で感じさ せる動きだ。この大きな市場を取り巻くうねりのなかで中心的な役割を占めたい とする意志を感じる。先行して動くことで、プリヴェは今後ともM&A絡み案件 に強い先駆者とするポジションを確立し、収益増加につなげる狙いもあるのでは ないか」とみている。

独立系証券5社の株価は昨年12月20日以降から上昇基調が鮮明になり、 14日までの約2カ月間の上昇率は水戸証券51%、丸三証券26%、いちよし証 券35%、東洋証券35%、高木証券37%と、それぞれ2ケタ台の伸びを示した。 こうした株価上昇の背景にいたプリヴェは「昨年秋から市場で取得を開始した。 一部の証券会社では、個別で取得交渉もした」(松村社長)。5社の株式時価総 額は合計で2000億円を超えた。

大手の銀行や証券会社に「金融コングロマリット」誕生の再々編への機運が 強まっているのに対して、松村社長は、「これらの独立系証券は生き残り戦略が 不明確。友好的な資本提携先として、現在の経営陣に対してアドバイスをしてい く」と言う。

関東財務局に14日提出された大量保有報告書によると、プリヴェの5社の 保有株比率は、水戸証券が5.31%、丸三証券が5.02%、いちよし証券が

5.01%、東洋証券が5.28%、高木証券が5.13%。総取得額は約93億円だっ た。

一方、プリヴェの株式取得の対象になった各社の反応は、「現時点ではニュ ース以外からデータの入手が出来ていないため、コメントすることはない」(髙 木証券総務企画部の山脇明部長)、「現時点では関東財務局での確認が出来てお らず、何もコメントは出来ない」(水戸証券の沖村哲志総合企画室長)、「ニュ ースを見たばかりで現時点では何も決まっていない」(東洋証券経営企画部企画 課の鈴掛徹課長)、「見たばかりで何も決めてはいない」(いちよし証券の大谷 晴美広報室長)――など。異口同音で平静を保つような反応だが、実際の胸の内 は穏やかでもなさそうだ。

発行済み株式数の3%以上を保有する大株主は、会社の意思決定機関である 株主総会の招集や取締役の解任を請求することができる。

古くは明治43年(西暦1910年)から営業を続けてきた独立系証券が、経 営方針の変更を迫られる事態を想定しなければならない見通しだ。JPモルガン 証券の辻野菜摘アナリストは、「プリヴェの意図は現時点では不明だが、これら の独立系証券は顧客層が高齢化し、何らかの顧客基盤のてこ入れが必要とされて いた」と指摘している。

過去の株式委託売買手数料の固定制を背景に、株式売買の取り次ぎ業務に偏 重してきた独立系証券など中小・地場証券は、個人向け株式の取扱業務から脱皮 することができていないのが現状とされる。1999年10月の株式委託手数料の 自由化以降では、有人店舗を廃止してインターネット経由の取引を専業にした松 井証券などネット専業証券会社にも顧客を奪われ収益の大幅な改善が難しい状態 が続いている。

下川勝彦アセットアライブ代表取締役は、「来年の商法改正をにらんだ先行 投資が基本にあるのではないか。買収した証券各社の株式は将来高値で売り抜け ることになるだろう」と指摘。ただ、このような株式を大量に保有する動きは今 後ますます顕著になってくると言い、「プリヴェの動きは時代を先取りしたもの であり、他の企業も同じように動けるところは動くようになるはずだ」と語る。