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ドコモ:「顧客1人収入」KDDI下回る-「番号持ち運び」でリスク(3)

携帯電話事業者の収益のかぎを握る「1加入者 当たりの平均月間収入」(ARPU)は、第3四半期(10-12月期)実績で業界首 位のNTTドコモが業界2位のKDDIを初めて下回った。顧客の囲い込みを優先さ せて割引制度を拡大していることで、ARPUの下落幅がKDDIの2倍以上となっ た。

28日までにまとまった各社の第3四半期決算によると、この期間のARPUは、 ドコモが7170円(同期比下落は650円、8.3%)だったのに対し、KDDIは7190 円(同300円、4%)になった。KDDIは初めてARPUがドコモを上回った。ボ ーダフォンのARPUは6150円(490円、7.4%)で、下落率はドコモが最大だった。

ライバル対策や顧客数の維持、拡大を狙うドコモは「ファミリー(家族)割引」 の率拡大やデータ通信定額制といった割引制度を相次ぎ打ち出している。KDDIも 一部制度には追随しているが、ドコモの割引対策が多い。

この成果としてドコモの解約率は0.95%(KDDIは1.37%)に低下した。同 時に本業の儲けを示す営業利益は19%減少(KDDIは4.7%増加)した。

ドコモが執拗に割引制度を導入するのは「ナンバーポータビリティ」(事業者を 変えても電話番号が変わらない番号持ち運び制度)が2006年半ばにも導入されるの が背景。顧客数が多いドコモは、KDDI以上に顧客流出リスクにさらされている。

通期(2005年3月期)のARPU予想は、ドコモが7190円(前期比700円低 下)、KDDIは7170円(同270円低下)。ドコモは上期の水準が高かったことか ら、通期ではKDDIの予想を再び上回る。

来期にかけて「ARPU逆転鮮明」との見方

とはいえ、UFJつばさ証券の佐分博信アナリストは、ドコモとKDDIのAR PUについて「来期(2006年3月期)にかけてKDDIがドコモを上回るという傾 向が鮮明になる」と予想した。ドコモはこれまでに打ち出した割引施策が今後、より 顧客に浸透していくとみている。

一方のKDDIは「着うたフル」(楽曲のまるごと再生)といったサービスが好 評で新規顧客数がドコモを上回って伸びている。データ通信定額制もドコモに先行し て開始しており、ドコモほど割引制度を拡充する圧力は少ないとの見方だ。

通信事業者の売上高は基本的に顧客数かけるARPUとなる。佐分アナリストは、 ARPU低下が大きいドコモの来期について、自社予想比で減収、営業減益と予想し ている。ドコモ自身は来期に収益の「V字回復」を掲げているが、達成は難しいとみ ている。投資評価はドコモが「B」(5段階の真ん中で中立)、KDDIは「A」 (同上から2番目でアウトパフォーム)としている。

ゴールドマン・サックス証券の安藤義夫アナリストも、31日付のリポートでド コモ決算について「ARPUの下落は来期への影響が大きく、一部アナリストの楽観 論が否定された」と述べ、「来期増益の会社側ストーリーに黄信号が灯った」と記し た。

安藤アナリストはドコモの来期について、ARPU低下を加入者純増数では補え そうにないと予想した。一方で、第3世代携帯電話(3G)「FOMA(フォー マ)」の全端末に占める比率増加で端末調達コストが上昇するといったことから「減 益予想の懸念がぬぐえない」と指摘している。

株価はドコモが前日比2000円(1.1%)安の17万9000円、KDDIは同変わら ずの53万円(午後2時22分)。

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