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【経済コラム】FOMC議事録、市場が考えるべき点-J・ベリー

米連邦公開市場委員会(FOMC)は4 日、昨年12月14日の定例会合の議事録を公表した。公表時期が前倒しされるこ とになって以降、初めてとなる今回の議事録は、金融当局者の見解に関する重 要な情報を、従来よりも1カ月早く金融市場に提供したことになる。

それに併せてマーケットも反応した。当局者のインフレ懸念がはっきりと 示されたとの見方から、国債利回りは上昇。株式相場は下落した。

12月の会合では、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導 目標が0.25ポイント引き上げられ2.25%となった。

議事録は「景気拡大がさらに定着することになれば、一層の緩和解除がな い限り、物価上昇圧力は、持続的かつ良好な景気の進展に対するより明確で中 期的リスクになる可能性が高い」との認識を示した。

要するに、最近の経済指標に対する金融当局者の認識通りに、景気拡大ペ ースが維持される限り、利上げ局面は続くということだ。

ただ実際のところ議事録には、先月のFOMCの政策に関する共通の解釈 のほかにも、市場参加者がもっと考えてみるべき内容が盛り込まれていた。つ まり、4日の市場の反応は行き過ぎだった可能性もある訳だ。

インフレ懸念

その例としては、モルガン・スタンレーのエコノミスト、テッド・ウィー ズマン氏の見方が挙げられる。同氏は顧客向けレポートで議事録について「金 融当局のインフレ懸念が高まっている様子を裏付ける明らかなサインが示され た」と指摘。FOMCは早ければ2月1、2日の定例会合でインフレのリスク 判断を変更する準備を整えたとの見方を示した。

ウィーズマン氏が議事録で注目したのは、FOMCメンバー19人中、「多 くのメンバー」がインフレ圧力の高まりに対してこれまでよりも強い懸念を示 したという部分。この「多くのメンバー」はその根拠に、「インフレ上昇リス ク」、高止まりしている原油相場、下落するドル相場、生産性の成長鈍化、成 長率が潜在成長率に近い状態にある可能性を挙げたという。

しかし実際に議事録に盛り込まれた文言は、同氏の見方と異なる。議事録 は「FOMCメンバーは概して、インフレが予見し得る将来、低位安定すると みている」と説明。メンバーの過半数が「あらゆるインフレ上昇リスクをも相 殺し続ける可能性が高い要因」を挙げ、少数派メンバーの懸念にことごとく反 論した様子を明らかにした。

コア・インフレの安定

議事録はさらに、メンバーの過半数が挙げた要因として、ドル安が米国の 国内物価に与える影響が以前に比べ小さくなったことや、長期的なインフレ見 通しが「最近はかなり落ち着いた状態にあること」、賃金や報酬の穏やかな伸 びが経済資源に依然としてスラック(たるみ)がある様子を示していること、 「労働生産性の伸び基調が衰えたことを示すはっきりとした兆しが最近みられ ないこと」のほか、エネルギー価格低下により来年のコア・ベースの消費者物 価上昇率が低下する見通しであることを挙げた。

FOMCの直後に発表された声明の文言にあまり変化がなかったことも、 当局者のインフレ懸念は高まったという指摘に逆行していると言える。インフ レ指標が大きく上振れしない限り、FOMCが2月の定例会合でインフレのリ スク判断を上方修正する可能性はほとんどないだろう。

経済指標

つまり、経済成長率が、当局者の大半が3.5%程度とみている潜在成長率 と同水準または若干上回る水準にとどまっている限り、FOMCが利上げペー スを加速させることはない。定例会合ごとに政策金利を0.25ポイント引き上げ るペースだ。

それでも、今後のFOMCの決定はこれまでのように直近の複数の経済指 標の影響を受けることになる。例えば、11月の雇用統計は比較的弱い内容だっ たが、10月の雇用統計など他の経済指標が好調だったため、総合的な判断が下 され、12月のFOMCの決定にはほとんど影響が出なかった。

こうしたことが分かるのも、FOMCが定例会合の3週間後に議事録が公 表されることのメリットだ。次回の会合の1、2日後に公表していた従来の方 式とは異なり、金融市場は大きな恩恵を受ける。当局者の多くが常に考えてい るのは、市場により多くの情報を提供することだ。

(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。この コラムの内容は同氏自身の見解です)

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