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ソフトバンク:IT活用で「プロ野球を10倍楽しく」-楽天と新規参入

4月某日の福岡ソフトバンクホークス-西武ラ イオンズ戦、9回裏2アウトで西武の攻撃、一打出れば逆転の場面、「ホークスの 王監督がバックスクリーンに目をやるとインターネットのファン投票では投手交代 の意見が大勢、しかし王監督は続投を決意」――今シーズンのプロ野球ではこんな 場面に出くわすかもしれない。

ダイエーホークスを買収する通信事業者のソフトバンクは、得意のIT(情報 技術)を駆使してプロ野球界に改革を起こそうとしている。具体的な構想の1つが このネットファン投票。選手起用といった試合を左右する事柄についてファンの声 をリアルタイムで集計、球場の電光掲示板やパソコンに表示する。ファンは試合に より感情を移入でき、参画意識が高まる。

また、球場に30台の固定カメラを設置する案もある。例えば両軍のベンチ、ブ ルペンや投手のみを撮り続け、グループ企業ヤフーのサイトに加入者向けとして生 中継する。視聴者は自分の好む画像を自らの選択でいつでも自由に楽しむことがで きる。試合後の全選手インタビューといった取り組みも考えている。

さらに観戦チケットについては、ヤフーのオークション(競売)サイトで取引 できるようにする計画も進んでいる。年間シートの保有者や前売り券の保有者が試 合を観戦できない場合、サイトで購入者を募るといった仕組みにする。

福岡

ソフトバンクの孫正義社長(47)は、事業参入に伴う日本プロ野球機構のヒア リングで「ネットについてはビジネスモデルについて深くかかわり、自負がある」 と強調した。福岡県に隣接する佐賀県で57年に生まれた孫社長は、福岡県内の小学 校、中学校を卒業、県下の高校に入学した。ソフトバンク創業の地も福岡県内の雑 居ビルだった。ソフトバンクの出発地点ともいえる福岡を基盤とするダイエーホー クスを手に入れた孫社長は、その地からプロ野球改革に挑む。

元阪神タイガースの江本孟紀氏が書いた著書で、映画化もされた「プロ野球を 10倍楽しく見る方法」のように、ソフトバンクはITを駆使してプロ野球で「究極 のエンターテインメント」を演出しようとしている。それにより視聴者を増やして 広告収入を拡大、観戦者を増やしてチケット・飲食収入を増やし、応援団を増やす ことでグッズ販売を膨らませる。

球場の福岡ドームは最低20年の使用契約を所有者である米投資会社コロニー・ キャピタルと結んだ。プロ野球のシーズンオフにはイベントなどに貸し出す。

孫社長はプロ野球参入に際して原点回帰を強調、51年発効の野球協約に記され た世界選手権を争うこと、6大陸(アジア、北米、南米、欧州、大洋州、アフリ カ)でチャンピオンになることを夢に掲げ、球界に新風を吹き込む。

楽天

ソフトバンクと同様に今シーズンは、仮想商店街「楽天市場」を運営する楽天 も新規参入する。チーム名は東北楽天ゴールデンイーグルスで、東北の宮城県「県 営宮城球場」(仙台市)を本拠地にする。

一足先に新規参入が決まった楽天は、すでにITを活用したプロ野球改革の一 手を打ち出した。宮城球場での主催試合の年間シートをオークション(競売)を含 めてインターネットで販売し始めている。球団による年間シートのネットオークシ ョンは初めての試みという。

販売する年間シートはセ・リーグとの交流試合を含む全63試合の観戦が可能。 ネットで販売する席の種類と数は「砂被り席」(バックネット前部の地面を掘り下 げて設置する特別席)2席2セット、「フィールドシート」(3塁楽天側の最前列 座席)600席、「内野席」2600席、「バックネット席」4500席。このうち「砂被り 席」と「フィールドシート」の一部がオークションされており、締め切りは1月4 日になっている。

楽天の三木谷浩史・会長兼社長は、球団のウエブサイトで「プロ野球事業を軸 に様々な新しい取り組みに挑戦していこうと考えている」と述べている。

2005年シーズン

プロ野球界の最高意思決定機関、プロ野球オーナー会議の滝鼻卓雄・議長(読 売ジャイアンツオーナー)は2004年の球界を「70年の球界の歴史で変革の年だっ たと思う」と振り返った。球団の経営不振をきっかけに過去のひずみが噴出し、合 併により球団が消滅する事態が発生した。相次ぐオーナーの辞任や初のストライキ 実施といった激震もあった。

パ・リーグを中心にこうした紆余曲折を経た球界は、セ・パ両リーグ各6球団、 12チーム体制を維持して2005年シーズンに臨む。このシーズンでは、ホークスと イーグルスの鷹と鷲の新規参入IT企業の九州、東北対決、ホークスとライオンズ の鷹とライオンの新興IT企業、老舗鉄道会社の対決、イーグルスとオリックス・ バファローズという新規参入、合併球団の対決といった見所が盛りだくさんになる。

パ・リーグの開幕は3月26日で対戦カードは、福岡ソフトバンクホークス-北 海道日本ハムファイターズ、西武ライオンズ-オリックス・バファローズ、千葉ロ ッテマリーンズ-東北楽天ゴールデンイーグルス。

セ・リーグの開幕は4月1日で、読売ジャイアンツ-広島東洋カープ、中日ド ラゴンズ-横浜ベイスターズ、阪神タイガース-ヤクルトスワローズ。5月6日か らはセ・パの交流試合が行われる

巨人戦テレビ視聴率が連続で過去最低を更新するなど、2004年の球界は人気低 落が鮮明になった。この球界に再び顧客が戻るのかどうか――幕末の混乱期に新し い日本を創ることを目指した坂本竜馬率いる「海援隊」の隊旗にちなんで企業ロゴ を新しくするソフトバンク孫社長らの活躍のほか、球界全体の取り組みが求められ ている。

12月30日の株価終値は、ソフトバンクが前日比10円(0.2%)安の4990円、 楽天は同1万円(7.9%)安の11万7000円。

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