石油決算:在庫評価益や石化部門が利益押し上げ-新日石が独走

石油各社が16日までに発表した決算では、原油価 格の高騰に連動する形で在庫評価益が急増し、利益の押し上げ要因となった。世界的な素 材需要の高まりを背景に石化を含む石油製品全体にひっ迫懸念が広がった結果、7月以降 に原料コストの転嫁が進み始めたことも寄与した。

ただ出光興産など4社は減損処理による損失が発生するため、最終損益には引き下げ 圧力がかかった。03年度に減損会計を適用済みの新日石は唯一、通期連結純利益が過去最 高を更新する見通し。

新日本石油の中間期・連結経常利益は940億円だが、このうち在庫評価益は551億 円を占めた。為替相場は円高に振れたものの、原油価格が前年同期比8.5ドル高の1バレ ル当たり35.2ドルに達したことが影響した。下期の原油価格は 37.1ドルで、9月末在 庫とほぼ同水準と想定しており、通期の業績予想値では「在庫評価益の変化は、下期には 出ない前提になっている」(新日石の西尾進路副社長)という。新日鉱ホールディングス の石油部門(ジャパンエナジー)でも、経常利益265億円のうち、在庫評価益は約4割を 占めたほか、コスモ石油の営業利益でも最大の貢献役となった。

石化部門の収益拡大-ベンゼンなど高騰

新日石と新日鉱HD、出光興産は、石油化学部門の収益増加も目立った。中国の需要 拡大を受けて、ペットボトルやプラスチック、繊維の基礎原料となるパラキシレンやベン ゼンなどが急騰したためだ。ジャパンエナジーは、石化事業の通期経常利益として215億 円(前年同期は85億円)を見込んでおり、改善幅が在庫評価益と並ぶ。同社はパラキシレ ンを年間60万トン、ベンゼンを50万-60万トン生産販売し、新日石に次ぐ規模。

新日石の場合、石油化学部門の上期営業利益は倍増の79億円で、通期ではさらに上 乗せされる。出光興産は、化成品市況の上昇を受けて、石化製品部門の上期営業利益が前 期比78億円増の140億円となった。

ドバイ原油の4-9月平均価格は1バレル当たり34.53ドル(前年同期は25.46ド ル)。ベンゼンの国内平均価格(プラッツ価格、3月末-10月1日)はトン当たり920ド ルで、前年同期は約403ドル。パラキシレンは793ドルで、前年同期は約558ドル。

減損処理で明暗

新日石は合理化効果を含め、各分野で着実に収益を積み上げたことで独走。銅・電子 材料も手掛ける新日鉱HDがこれに続く形だ。ただ不採算ガソリンスタンドなどの固定資 産に対する減損処理に伴い、新日石を除く4社の最終損益には引き下げ圧力がかかった。 新日鉱HDは、上期に特別損失322億円を計上したのに続き、下期も資産除却などで合計 180億円前後の特別損失を見込む。昭和シェルの12月通期は、最終利益がゼロになる見通 し。出光興産は最終赤字。北海道製油所の停止やコスト転嫁の遅れに伴い、石油部門が営 業赤字に陥った結果、石化製品および石油開発部門の増益ではカバーできなかった。さら に減損処理費用488億円を計上したことが響いた。

       上期純利益    通期純利益予想
新日本石油   580億円    1150億円(従来予想840億円)
新日鉱HD   180億円     320億円(従来予想240億円)
コスモ石油    41億円     180億円(従来予想150億円)
昭和シェル石油 206億円        0円(従来予想210億円)
出光興産    308億円の赤字  190億円の赤字(同190億円の赤字)

昭和シェル石油は1-9月期決算。

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