富士通:三重新工場、年明けにも前倒し稼動-最先端加工技術に顧客殺到

富士通は、来年4月に稼動開始を予定し ていた最先端半導体を生産する三重新工場を、早ければ年明けにも前倒しして 稼動する。顧客企業数が20社と従来予定の10社から倍に増え、早期に操業を 開始する必要があると判断した。小野敏彦専務が16日、ブルームバーグ・ニ ュースに語った。

1枚のウエハーから倍のチップ

米インテルや東芝など世界でも数社しか量産に成功していない加工線幅が 90ナノ(10億分の1)メートルと微細な最先端技術が世界の半導体業界で高 く評価されており、コンピューターや通信機器、デジタルテレビ・カメラなど 幅広い用途の半導体製品の製造委託が殺到している。

三重新工場は直径300ミリの大口径ウエハーに、線幅90ナノ(10億分の 1)メートル以下の最先端半導体を製造するための専用工場。300ミリウエハ ーを利用すると、通常の200ミリウエハーよりも1枚のウエハーから倍の半導 体チップを切り出せるため生産効率が上がる。

ただ、富士通が自社のサーバーや通信機器向けに搭載したり、自社ブラン ドで外販するデジタル家電向け半導体のみでは、1)生産能力が余剰になり、 2)投資資金を回収できないため、新工場では他社からの受託生産事業を本格 展開する方針。

「信じられない高品質」-驚愕する米企業

富士通は01年度から2年連続で1000億円以上の巨額赤字を計上、投資負 担の重い半導体事業からの撤退もささやかれていたが、2003年夏にあきる野工 場(東京都あきる野市)で90ナノの最先端技術でサーバー用MPU(超小型 演算処理装置)の量産に成功。これが評価され、米トランスメタ社からノート パソコン用MPUの生産を受託するなど業界での評価が一変した。

「米半導体メーカーに当社の技術を売り込みに行ったところ、当初は相手 にもされなかったが、サンプル製品の特性データなどから『信じられない高品 質だ』として、技術者の派遣などを要請され、生産受託に結びついた」と小野 専務は振り返る。

新工場建設を発表した今年3月の計画では総投資額1600億円。うち2004 年05年度の初期投資額は750億円。生産能力は最大300ミリウエハー換算で 月1万3000枚の予定。

新工場には、プログラマブル論理回路で世界3位の米ラティス・セミコン ダクター社も生産委託を決めており、工場建設費用を負担するため来年6月ま でに1億2500万ドル(約132億円)を製造対価の前払いという形で拠出する。

ラティス以外に「3社が2005年度末までに資金拠出する予定」(小野専 務)という。

300ミリウエハーの新ラインも

一方、小野専務は16日、富士通と米AMD(アドバンスト・マイクロ・ デバイシズ)の半導体合弁、スパンションLLC(米カリフォルニア州)は会 津若松工場(福島県会津若松市)に、直径300ミリの大口径ウエハーを加工す る新しい生産ラインの設立を検討していることを明らかにした。

同社がトップシェアを占めるNOR型フラッシュメモリー(電気的に一括 消去・再書き込み可能なメモリー)の更なる競争力強化のため、先端製品の増 産を急ぐ。投資額は1000億円超となる見込み。調達方法など詳細は未定で年 末までに最終決定する。小野専務はスパンションの会長も兼務。

富士通株の16日終値は5円(0.8%)高の643円。

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