公取委:有線ブロード「緊急停止命令」高裁に申立-音楽放送販売で(5)

公正取引委員会は30日、有線音楽放送や光フ ァイバーで通信事業を手掛ける有線ブロードネットワークスに対して、独占禁止法 の規定に基づき「緊急停止命令」を申し立てることを東京高裁に行った発表した。 有線音楽放送番組の販売に際して不当に安い価格や条件を顧客に提示、ライバル企 業のシェアを奪って買収を目論んだとしている。

「緊急停止命令」は75年の中部読売新聞社に対して行って以来29年ぶり。今 回の「緊急停止命令」では、有線ブロードに対して有線音楽放送番組の販売でライ バル社の顧客に月額3675円未満とする契約を禁じる。また無料期間についても、 チューナー設置を含む3カ月超とする契約を顧客と結ぶことも禁じる。

問題となっている有線音楽放送番組の市場は有線ブロードが81パーセント、 キャンシステム(東京・渋谷)が18%のシェア(昨年8月末)を持ち、事実上2 社体制になっていた。こうしたなかで有線ブロードは昨年10月以降、キャンシス テムの顧客に限って最大で月額3000円、無料期間1年間といった破格の条件を提 示、顧客を獲得していった。

公取委はこうした行為をキャンシステム買収の意図の下での安値攻勢と判断し た。 有線ブロードは公取委の立ち入り検査(5月20日)後も問題とされた販売を 継続しており、公取委は事態の緊急性に照らして「緊急停止命令」に踏み切った。 キャンシステムのシェアは有線ブロードの安値提示後に数ポイント低下した。

公取委は今後、より事実関係の調査を進めて、必要ならば有線ブロードに排除 勧告を出す。過去の例に照らすと1カ月程度で結論が出るとしている。

有線ブロード、「あらゆる事業に違法性ない」

この公取委の判断について有線ブロードは「あらゆる事業活動に違法性はなく、 公取委の検査に全面的に協力して適法性への理解を求めていく」といったコメント を発表した。同時に「裁判所の決定があった場合には、その判断に従う」との方針 も示した。緊急停止命令に沿って営業をしたとしても、業績に与える影響はないと している。

仮に裁判所の判断に従わなかった場合は、30万円以下の過料が処される。有 線ブロードは5月20日、有線音楽放送事業の営業活動の適法性について、公取委 の立ち入り検査を受けたと発表している。そのうえで、違法性はなく検査に全面的 に協力するとしていた。有線ブロードの光ファイバー契約回線数はNTTグループ に続き、電力系企業と2位の座を争っている。株式は大証ヘラクレスに上場してい る。

有線ブロード株の終値は前日比1450円(5.9%)安の2万2960円。一時前日 比で2890円(12%)安の2万1520円まで急落する場面もあった。

クレディ・スイス・ファースト・ボストン(CSFB)証券の早川仁アナリス トは、有線ブロードの株価について「かつて違法状態で事業を進めていたことがあ り、投資家の脳裏にそれが残っている。このため今回のような行政リスクに株価が 過敏に反応しやすい」と分析した。同時にこれで顧客解約が進むとは考えられず、 収益への影響は軽微。株価下落は行き過ぎの面があると指摘した。

「緊急停止命令」は独占禁止法の第67条に基づく。排除勧告に向けた手続き の前段階で、緊急性を有する案件については公取委の申し立てに基づき裁判所が当 該行為を一時的に停止することを命じることができると定められている。公取委は 今回、排除勧告に向けた検査をしている過程で事態が進展することを防ぐため、 「緊急停止命令」に踏み切った。

有線ブロード株終値は、前日比1410円(5.8%)安の2万3000円。

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