原油先物市場:ひっ迫感薄れるの見方-ガソリン急落で高騰要因が後退

原油市場関係者の間では、一時の需給ひ っ迫感や相場の上昇圧力は後退しているとの声が出ている。9日のニューヨー ク原油相場は、原油在庫が事前予想ほど増えなかったことから小幅反発したが、 石油相場全体を引っ張ってきたガソリン相場が大幅反落していることなどがこ うした見方の背景にある。

9日のNY原油期近7月限は前日比0.26ドル高の37.54ドルとなり、1 日終値からは11%安の水準。ガソリン7月限は同0.10セント高の116.73セン トとなり、期近物の直近高値からは20%も安い。産油国の増産姿勢、米国への ガソリン輸出の動きなどが下落要因として指摘されている。

双日のエネルギー事業部・石油化学原料課の青野真樹担当課長は、最近の 原油市場について、現物の不足感は感じられず、需給はバランスしているか、 やや多めと分析。当面の相場は不安定な動きが予想されるものの、「流れとし ては下向き」と捉えている。

青野氏は、これまでの強気相場が変化しているシグナルとして、原油の限 月間スプレッドの縮小、ガソリン相場安を挙げている。ニューヨーク先物市場 では、期近1番限価格が2番限よりも20セント安く、昨年9月以来の「順ザ ヤ」(期近物よりも期先物が高い状態)に転じている。これまでは期近物価格 が期先物を上回り、需給ひっ迫のシグナルとされる「逆ザヤ」状態が続いてき たが、こうした環境が変化。期近1番限と6番限の逆ザヤも0.71ドル。逆ザ ヤは6月入りとともに急速に縮小し、昨年9月以来の低水準となった。

その一方、米商品先物取引委員会の原油先物建玉報告によると、1日時点 の大口投資家は6万5287枚の買い越しと高水準を維持している。しかし、順 ザヤの状態で期近物の買いポジションを保有している場合、期先物に乗り換え ると損失を被りかねないとされており、「(これらの投資家は)売りに出ても おかしくない」(青野課長)とみられることも、相場の下落要因になった。

ガソリン急落-原油に先行してマージンは急低下

またガソリン先物相場も、高値からは大幅に下げている。これまではガソ リン生産によって利益を確保しやすい環境が続いていたため、「デリバティブ などを活用したガソリン売り・原油買い取引が促されやすい」(同)状態だっ たが、製品収益率を示すクラック・スプレッドもここにきて大幅に縮小してお り、原油高騰の根拠の1つが後退した格好となっている。

NYMEXに上場しているガソリン・原油のクラック・オプションの原指 数(期近物ベース)は11.49ドル。原油やガソリンの先物相場に先行する形で 下げ、5月19日高値からは40%安となっている。

新日本石油の株価は前日比21円(3.0%)安の674円、新日鉱ホールディ ングスは同7円(1.4%)安の508円(午前9時35分現在)。

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