米マイクロソフト:独SAPと昨年末に合併交渉-再開は予定せず(3)

ソフトウエア最大手の米マイクロソフトは7 日、ビジネスソフト最大手の独SAPを買収する方向で、昨年末に同社と交渉 した事実を明らかにした。

マイクロソフトの発表文によると、両社の間で行われたのは「初期的な話し 合い」で、合併完了と両社の統合はあまりにも困難であるとの判断から、数カ月 前に打ち切られた。交渉を再開する考えはないという。

マイクロソフトは、給与計算・会計ソフト部門の改善に向け、数十億ドル規 模の資金を投じている。同社は2001年以降、従業員1000人未満規模の企業向け のビジネスソフトを手がけるため、開発会社2社を買収した。同社のオーラン ド・アヤラ上席副社長は、こうしたソフトウエアをより規模の大きい企業に販売 する方向で検討する可能性がある、と述べていた。SAPは、大手企業向けビジ ネス・ソフト市場に力を入れている。

交渉の事実は、米ビジネスソフト大手のオラクルによる同業大手ピープルソ フトに対する敵対的買収をめぐる反トラスト(独占禁止)訴訟を前に、明らかに された。オラクルのラリー・エリソンCEOは、競争が激化するビジネスソフト 市場で売上高を拡大するためには、ピープルソフト買収が必要だと主張している。 マイクロソフトとSAPが合併交渉をしていた事実は、同CEOの主張の裏付け となる可能性もある。また、マイクロソフトは買収費用として564億ドルを確保 しているが、この使用に対して予想以上に積極的な姿勢が示された。

ドライファス・プレミア・テクノロジー・グロース・ファンドの運用責任者、 マーク・ハースコビッツ氏は、「マイクロソフトのような企業が真剣に交渉して いたという事実は重大だ」と指摘し、「ラリー・エリソン氏の主張を裏付ける新 たな証拠だ」と述べた。

7日のニューヨーク株式市場で、マイクロソフトの株価は上昇。現地時間午 後3時2分現在、前週末比31セント高の26ドル26セントで推移している。年初 来では5.2%の値下がり。SAPの米国預託証券(ADR)も上昇。前週末比 1ドル4セント高の41ドル5セントで推移。年初来では3.7%下げている。

オラクルの訴訟

サンフランシスコの米連邦地裁はこの日、米司法省がオラクルに対して起こ した反トラスト訴訟の審理を開始する。オラクルは、ピープルソフトに対して、 77億ドルでの敵対的買収案を提示している。401億ドル規模とされるビジネスソ フト市場では、ピープルソフト、SAPに続いてオラクルは3位に位置付けられ ている。

マイクロソフトの広報担当者、ジム・デスラー氏は、オラクルの反トラスト 訴訟の審理のなかでSAPとの交渉の事実が浮上する可能性があるため、これを を事前に明らかにしたと述べた。オラクルは、マイクロソフトがビジネスソフト 市場で頭角を現しつつある、と主張している。マイクロソフトは2001年、基本ソ フト「ウインドウズ」の独占が反トラスト方に反するとの判決を受けている。

これに対して、ピープルソフトの弁護士、ゲーリー・リーバック氏は、マイ クロソフトとSAPの交渉は、オラクルの主張を裏付けるのではなく、むしろ司 法省の主張を助ける、と指摘する。同氏は、交渉の事実は、大手企業からの受注 を受けられるのが3社に限られており、マイクロソフトはそのうちの1社を買収 しないと市場に参入できないことを示している、と述べた。

プロスカウワー・ローズ(ロサンゼルス)の反トラストを専門とする弁護士、 マーティン・ゾーン氏は、「ビジネスソフト市場に対するマイクロソフトの関心 を示す衝撃的な材料とも受け止められるし、あるいは、マイクロソフトが競争に 消極的になっていることを示すものともいえよう」と述べた。

オラクルの弁護士、ダン・ウォール氏は、マイクロソフトはオラクルによる ピープルソフト買収を「重大な脅威」と認識し、それでSAP買収を真剣に検討 した、と指摘する。同氏は、「この事実こそ、ビジネスソフト市場の競争の激し さ、ゲームの大きさを示す格好の例だ」と述べた。

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