石油業界は高値維持を予想、景気への影響予測分かれる-OPEC増産

石油輸出国機構(OPEC)が大幅増産を 決定したことについて、国内石油業界では、原油価格が高値圏を維持するとの 見方が根強い。エコノミストの間では、最近の原油高による国内景気への影響 は限定されるとの声がある一方、ほかの商品市況も高止まりするようだと影響 は無視できないと警戒する見方も出ている。

最近の原油価格の高騰については、中国およびドライブシーズンを迎えた 米国中心に需要がおう盛なこと、産油国の生産余力が限られること、サウジア ラビアやイラクなどの国内情勢不安を背景に需給ひっ迫感が強まっていること などが指摘されている。

石油連盟の渡文明会長(新日本石油社長)は、こうした状況を踏まえ、 「原油価格は引き続き強含みに推移する」との姿勢を維持。中東情勢次第では、 さらなる高騰もあり得るとみている。新日本石油は3日、サウジ東部での襲撃 事件を踏まえ、同国駐在の日本人社員15人全員を国外に一時避難させると発 表した。

企業物価に上昇圧力、企業収益にはしわ寄せも-日銀

原油をはじめとした素材価格の上昇は、大半の資源を輸入している日本に とって、実質購買力の低下、原料高による企業収益の圧迫といった影響をもた らす。

日本銀行の春英彦審議委員は3日の金融経済懇談会の席で、最近の原油価 格の上昇などを受けて、「国内企業物価は当面上昇が続くと想定している」こ とを明らかにした。

また持続性のある景気回復が期待できるものの、個人消費の先行き不安、 内外商品市況の上昇などを受けて「回復のスピードは緩やかなものとなる可能 性が大きい」という。このうち商品市況高による影響については、厳しい競争 環境などから最終財、サービス価格さらには消費者物価への波及は限定的であ るため、「好調に推移している企業収益にしわ寄せがかかりやすい」としている。

エコノミスト予想分かれる-第一生命研究所は警戒

商品市況高がもたらす国内景気の影響については、試算方法などによって 見解が異なっており、小幅な影響にとどまるとの見方がある一方、リスク要因 になると警戒する警戒する声もある。

第一生命経済研究所・経済調査部の松村圭一主任エコノミストは、5月発 表のリポートで、WTI原油価格が1バレル=40ドルで推移した場合、製造業 全体の経常利益は8.6ポイント押し下げられると試算。3月の日銀短観(企業 短期経済観測調査)に基づく今年度の経常利益見通しは9.8%増であるため、 40ドルの原油相場では収益は微増にとどまるという。さらに原油だけでなく、 その他の国際商品市況(日銀指数ベース)も4月水準で推移した場合、経常利 益は30.2ポイント、国内総生産(GDP)も0.56ポイントそれぞれ押し下げ られ、「景気全体への影響は無視できなくなる」としている。

また中国を含むアジア9カ国・地域の実質国内総生産(GDP)は0.3ポ イント下押しされるが、中国については「ある程度原油を自給しているため、 国全体の影響は限られる」(同研究所の門倉貴史主任エコノミスト)という。

大和総研は限定的と予測

大和総研の牧野潤一シニア・エコノミストは、産業連関表を基づいた試算 を発表。これによると、04年度の原油価格(円ベースの輸入価格)が前年度比 13%増となった場合、製造業の経常利益は2.8ポイント、非製造業では1.9ポ イント押し下げられる。業種別では、石油石炭、化学業界への影響が大きいも のの、全体としては「企業収益や景気回復に致命的な影響を与える可能性は低 い」と予測している。

ブルームバーグ・データによると、ドバイ原油の円建て価格は03年度平 均で1キロリットル当たり1万9083円。今年4月以降の平均価格は2万2785 円で、03年度全体比では19%上昇している。

OPECは3日にレバノンで開いた臨時総会で、生産枠を日量200万バレ ル(8.5%)増の同2550万バレルに引き上げるとともに、8月にも日量50万 バレルを追加増産することを決定した。7月21日に会合を開く予定。

3日のニューヨーク原油先物市場では、WTI先物の期近7月限終値が前 日比0.68ドル(1.7%)安の39.28ドル。OPECバスケット価格は2日時点 で同0.84ドル(2.2%)安の36.80ドル。

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