【米経済コラム】原油高で株式投資はどう変わる-J・ドーフマン

原油相場が1バレル=40ドルとなることで、 株式投資にどんな影響が出るだろうか。

影響は多岐にわたる。原油相場が現行水準かそれを上回る水準に定着すれ ば、化学、鉄道、トラック輸送、航空会社は利益を上げるのが難しくなるだろ う。こうした業種にとって原油は原材料であり、費用の主たる部分だ。その半 面、採掘・生産を手掛ける企業を中心にエネルギー会社は利益を得る。

思い切って言おう。原油相場は40ドル付近にはとどまらず、向こう1年 間は1バレル=25-35ドルの範囲で推移すると予想する。過去21年間のうち 13年間は、同範囲内にとどまるか、少なくとも同水準を付けていた。原油は向 こう5年間の多くの時期において、同範囲の上限付近で推移すると考える。

石油の専門家ではないが、市場についてはそこそこ心得がある。1998年 12月に原油が12年ぶり安値となる1バレル=11ドルを付けた際、1、2年の うちに20ドル台を回復すると予想し、それは7カ月で現実となった。当時は 特殊な環境が原油相場を押し下げ、今回は特殊要因が押し上げていると思う。

原油相場は中東情勢に左右されやすい。米主導のイラク暫定統治が続くな か、米国と多くの中東諸国の関係は不安定なものとなっている。イスラエルと パレスチナの紛争も続いている。米国と主要産油国サウジアラビアの間でも緊 張がくすぶっている。確かに状況は悪化する可能性もある。しかし、現状は通 常より悪い状態であるから、中庸に戻れば緊張は今より緩和されるだろう。

中東問題はテロ問題とも関係しており、石油タンカーや生産施設などに対 するテロ攻撃懸念が原油高の一因となっている。テロ問題も悪化する可能性は あるが、安全保障上の見通しが改善する可能性を見落としている。米軍が国際 テロ組織アルカイダの指導者、ウサマ・ビン・ラディン氏の身柄を拘束すれば、 テロ懸念はある程度緩和されるだろう。

業種別検証

現時点では原油は40ドル台に張り付いている。影響を受けるとみられる 業種について検証しよう。

エネルギー株:98年以降、わたしはエネルギー株の比重を高めている。原 油相場が40ドルを付けたとき、ついに売却のタイミングかと自問自答した。 だが、現時点ではまだ売っていない。原油相場が42ドルの水準を継続すると すれば、その分は株価に織り込まれていないと判断するからだ。株価収益率 (PER)でみると、エクソンモービルは16倍、アパッチは11倍、デボン・ エナジーは9倍。投資家が真に原油相場は高止まりすると考えるなら、PER はより高水準となるはずだ。

航空株:過去5カ月で原油相場は約32ドルから42ドルに上昇し、その間、 デルタ航空株は52%安、ユナイテッド航空の持ち株会社UALは34%安、コ ンチネンタル航空は36%安となった。投資家たちは、まるでエネルギー価格の 高騰とテロ懸念という2つの不幸要因が永久に後退しないと考えているかのよ うに航空株を扱っている。希望はあると思うのだが。

化学株:化学株は米国経済の回復による恩恵を受けているが、多くは原材 料として原油と天然ガスを使用している。投資家はこのマイナス面に十分には 注目していないようだ。

鉄道株:米国内で、30両編成の列車を走行させるには多くのエネルギーが 必要だ。投資家は、鉄道会社は苦境にあることに気づいているが、航空会社ほ どではない。景気が力強いとみられることから、鉄道株については弱気という より強気だ。

自動車株:ゼネラル・モーターズ(GM)は年初来16%安、フォード・モ ーターは6%安。この下落は1つには利上げ懸念があるが、燃料コストの上昇 も一因だ。

トラック輸送会社:スイフト・トランスポーテーションは15%安、イエロ ー・ロードウエイはわずかながら上昇と、ことしに入ってからの株価はまちま ち。力強い景気による後押しと、燃料高というマイナス材料が綱引きの状態だ。

以上の業種にとって、燃料価格とは幸運という川の中の唯一の流れ、すな わち不運というやつだ。投資家が危険を承知で無視している流れだ。逆流にご 注意あれ。

(ジョン・ドーフマン氏は、米資産運用会社ドーフマン・インベストメン ツの社長。同氏の見解はブルームバーグ・ニュースの見解を反映するものでは ありません。ドーフマン社また同社顧客は、このコラムに登場する銘柄をすで に保有または売買している可能性があります)

原題:The Tide of High-Priced Oil Affects Investments: John Dorfman (抜粋)

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