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製油所マージン悪化、昨年12月水準割り込む-原油高に製品追随できず

ニューヨーク原油相場は連日のように最高 値を更新しているが、国内石油製品市況は灯油や軽油が低迷。この結果、製油 所のマージンは大幅に悪化しており、石油会社の間では警戒感が広がっている。

ブルームバーグ・データによると、7石油製品価格(京浜地区のリム価格 など)とドバイ原油価格から算出した製油所マージンは、17日時点で原油1キ ロリットル当たり1716円。暖冬を背景に急落した昨年12月時の安値2857円を 割り込んでいる。石油・石炭税(原油1キロリットル当たり2040円)、サウジ 産原油のプレミアムなどをコストとして算入すると、マージンはほぼ損益ゼロ 水準にまで落ち込んだとみられる。製油所マージンが赤字の場合、理論的には 製品買い・原油売りが合理的な行動となる。

野村証券金融研究所の塩田英俊アナリストは「石油会社はコスト転嫁に向 けて値上げを図っているが、足元では成果が出ていない」と指摘。原油価格の 急上昇に製品価格が追い付いていないため、石油会社の収益環境は厳しくなっ ていると分析する。実際、3月末時点の石油価格を比べると、ドバイ原油は17% 上昇したのに対し、ガソリン価格は5%、高硫黄A重油は3%、先週急伸した 高硫黄C重油も4%の上昇にとどまる。軽油はほぼ変わらずで、灯油は4%安 い。

日系石油会社は、原油の大半を長期契約で調達している。今後は4月以降 の高価格原油を処理することになるため、一段の値上げが不可欠となりそうだ。

石油会社の警戒感

こうした状況を受けて、石油会社の間では警戒感が広がっている。新日鉱 ホールディングスはコスト転嫁に時間がかかると判断、今期は石油製品全体で 100億円程度の悪化(経常利益ベース)を見込んでいる。エクソンモービルの内 村敏郎・広報渉外本部長も17日の東燃ゼネラル石油の決算会見で、4月以降に ついては「原油が上昇しているなかでコスト転嫁ができておらず、厳しい状態」 と語り、原油調達の多様化など自助努力を継続する方針を示した。

一方、原油高騰に連動する形で、アジア市場では航空燃料となるジェット・ ケロシン価格が4月から急騰しているほか、ナフサやガスオイルも強基調が続 いている。この結果、ジェット・ケロシン価格(日本向けC&F)は3月まで 国内灯油価格に対して6000円程度安い状態が続いていたが、現在は国内灯油に 対して逆に約6000円高い。ガスオイル(軽油)も海外価格が一時7000円程度 割安だったものの、現在ではほぼゼロとなっている。

このため一部製品については輸出が可能とみられているが、エクソンモー ビル・グループでは「選択肢の一つ」(内村氏)との姿勢にとどまっているほか、 出光興産も今のところ輸出の予定はないという。

新日本石油の午前株価は前日比15円(2.6%)高の585円、新日鉱ホール ディングスは同18円(4.3%)高の433円。

製油所の限界マージン *T           5月17日時点(4月5日比) 原油・7石油製品     1716円(4537円安) 原油・3石油製品     962円(3230円安) 先物ベースのマージン(18日午前終値) 先物・6月限ベース    4094円(195円安) 先物・10月限ベース    2880円(227円安) *T マージンには輸入税、原油プレミアム、製油所操業費用などを含む。

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