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ガソリン独歩高、軽油と灯油は低迷-製油所マージンは4月に急低下

5日のニューヨーク原油相場は13年ぶりの高値を付 け、市場では相場が高止まりするとの見方が広がっている。こうしたなか、国内石油製 品市場では製油所事故が重なったことなどを背景に、ガソリン価格が高騰。その半面、 不需要期を迎えた灯油や軽油の価格は低迷したまま。このため石油製品価格を基に算出 するクラック・スプレッド(製油所の限界マージン)は4月に一本調子で下げており、 石油会社にとって課題を残した格好となっている。

ガソリンの現物価格(京浜地区のリム価格)は、4月30日時点で1キロリットル当 たり3万6000円となり、3月末比では5%高い。昨年12月から上昇傾向を継続し、過 去8年間の高値を更新した。このほか高硫黄A重油も、昨年4月後半以来の高値となっ ている。石油輸出国機構(OPEC)の減産表明、国内製油所の大規模な定期修理、出 光興産・北海道製油所に続くジャパンエナジー傘下の鹿島製油所の事故発生などを受け て、石油会社側からは「需給はタイトなままで推移する。4-6月は、業者間価格が下が る要素はない」(新日本石油の津田直和常務)と、強気な声が聞かれる。

こうした半面、灯油の現物価格は3月末比で7%下げたほか、軽油も同4%下落し た。灯油は不需要期を迎えているうえに、軽油も「需要が伸び悩んでいる」(UBS証券 株式調査部の伊藤敏憲シニアアナリスト)ことが影響したとみられる。また4月の原油 相場がほぼ横ばいで推移した一方で、為替相場はやや円高となったため、新日本石油の 4月輸入コストは1キロリットル当たり500円低下した。こうした状況もあって需要家 の抵抗が強かったとみられ、同社は5月の卸売価格の発表時に、4月のコスト分を転嫁 できないケースもあることを示唆した。

4月のマージン低下-ガソリンや石化製品は改善傾向

ブルームバーグ・データによると、7石油製品価格(京浜地区のリム価格など)と ドバイ原油価格から算出した製油所マージンは、4月30日時点で1キロリットル当たり 3509円。4月1日高値からは約44%も低下した。

石油会社にとって、収益源であるガソリンの価格高騰は朗報だが、それでも生産全 体の4分の1程度にとどまるため、製油所ベースでの収益は限定される。また原油価格 に見合う形で製品価格が上昇しない場合、マージンの圧縮にさらされる。兼松・エネル ギー部の菅栄治副部長はガソリン中心に徐々に値上げが浸透しているとしながらも、一 方でコスト転嫁が遅れているとの観測も根強いことを踏まえ「もう一段の値上げが5月 後半にできるかがポイント」とみている。

5日のニューヨーク原油先物相場は1バレル当たり39.57ドルを付け、90年10月 以来の高値を記録。米国ガソリンの低在庫、アジアの需要堅調などを背景に「原油が下げ る要素は乏しい」(兼松の菅副部長)ことから、OPECが増産に踏み切るといった弱材 料が出ないようだと、原油相場は高止まりするとの見方が多い。

UBS証券の伊藤アナリストは、原油価格が石油会社の収益に与える影響について、 原油高のコストを製品価格に転嫁できるか見極める必要があると指摘。そのうえで現状 では、精製設備の集約、需要好調を背景に「ガソリンや石化製品は需給が引き締まって おり、コスト転嫁も進んでいる」(伊藤アナリスト)ことに注目、石油会社の今年度収 益は前年に比べて改善すると予想している。

新日本石油の午前株価は30日比2円(0.3%)安の606円、昭和シェル石油は同6 円(0.6%)安の942円。

製油所の限界マージン *T           4月30日時点(1日比) 原油・7石油製品     3509円(2806円安) 原油・3石油製品     2037円(2145円安) 先物ベースのマージン(6日午前終値) 先物・6月限ベース    3538円(569円安) 先物・10月限ベース    2834円(420円安) *T マージンには輸入税、製油所操業費用などを含む。先物10月限は4月2日終値との比較。

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