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イラク人質事件混迷、宙に浮く「解放声明」-一転「最後通告」も

イラクの日本人人質事件は、24時間以内に人質 を解放するとの犯行グループの声明が放送されてからまる1日が経過した12日午 前3時を過ぎても事態の進展はみられず、解決が長引いている。11日夜には、犯行 グループが24時間以内に自衛隊が撤退しなければ人質を殺害するとの新たな情報 が報じられ、無条件解放への期待に暗雲がかかってきた。

カタールの衛星テレビ局、アルジャジーラは日本時間11日午前3時前に、イラ クで邦人3人を拉致したイラクの武装グループ「サラヤ・アル・ムジャヒディン」 が人質を24時間以内に解放することを決めたとする声明を報道した。これを受けて 日本政府・与党内には、同日昼にも人質が解放されるとの見方が一時浮上した。し かし、結局24時間が経過しても、解放は確認されないままとなっている。

一方で、アルジャジーラは同11日夜、犯行組織と日本政府の仲介役を自称する 「イラク人権擁護委員会」の責任者、マズハル・ダライミ氏のインタビューを報道。 それよると、犯行グループは日本政府に24時間以内の自衛隊撤退を求め、応じなけ れば人質1人を殺害、さらに12時間後にもう1人を殺害するという。

ダライミ氏によると、武装グループは、自衛隊の撤退以外に、1)逢沢一郎副 外相がファルージャで、「米軍が犯した大量虐殺と集団墓地を視察する」こと、2) 日本政府による「イラク国民への謝罪」--を求めているという。日本政府はこの 報道について公式な見解を示していないが、事実だとすれば、人質の無事解放への 期待は暗転、政府は再び厳しい立場に立たされることになる。

不確かな情報で翻弄

NHKによると、人質の家族らは、アルジャジーラが11日未明に伝えた「解放 声明」を受けて一時は抱き合うなどして喜んだという。午後には一部で「解放」の 報道が流れたもののすぐに誤報と判明。その後は重苦しい時間だけが流れた。事件 の長期化とともに人質の安否が気遣われ、不確かな情報に振り回される家族の焦り と疲労も極限に近づいている。

「在イラク邦人人質事件対策本部」の本部長を務める福田康夫官房長官や、細 田博之官房副長官は11日正午すぎに首相官邸に入り、情報分析や解放された場合の 対応などについて協議。しかし、事態が進展しないため、福田長官は同日夜に官邸 を離れた。

共同通信によると、福田長官は同日午後10時すぎ、官邸で記者団に対し、「身 柄が保護されないと安全とは言えないが、その状況には至っていない」と言明。同 時に「いろいろ情報はあるが、人命にかかわることで経過は言えない。良い方向に 行くよう全力を挙げている」と述べた。

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