コンテンツにスキップする

ドコモ:今後の戦略、AT&Tワ株売却益の使途で分かれる市場の見方

NTTドコモが筆頭株主として出資する米携 帯電話会社AT&Tワイヤレスを同業の米シンギュラー・ワイヤレスが買収する交 渉がまとまった。これについて、市場からはドコモにとっていい結果だったとする 声が多い。しかし、AT&Tワイヤレス株の売却益の使い道やドコモの今後の戦略 については、見方が分かれているようだ。

ドコモが17日夜に発表した資料によると、シンギュラーがAT&Tワイヤレ スを買収することで、ドコモは「AT&Tワイヤレス株式がすべて現金に交換され るなど、AT&Tワイヤレスとの関係に影響を与えるものと予想される」とコメン トした。持ち株を売却すれば、その額は約6800億円となり、売却益は約4200億円 が見込まれる。

UFJつばさ証券アナリストの佐分博信氏は、ドコモが技術を持っている規格 「W-CDMA」をシンギュラーも採用するなら、「ドコモにとって一番良かった のではないか」と今回の結果を評価する。KBC証券のアナリスト、ブルース・カ ーク氏も「ドコモの株主にとって完璧な結果だった」という。

ドコモがAT&Tワイヤレスを買収するには「買収額がつり上がり、数兆円に 見合うリターンが取れるのか、リスクが大きすぎた」(佐分氏)。ドコモと日本国 内でもライバル関係にあるボーダフォンとの買収合戦にシンギュラーが勝ったこと もドコモにとってメリットだったという。さらに今回の買収劇を通して価格が下落 していた保有株式の価値が上がり、相当額の売却益も取得できそう。こうしたこと が、今回の結果について市場関係者が一様に評価する理由だ。

ただ、その売却益については「手持ち資金のいくらかは株主還元に使うよう経 営陣へのプレッシャーが強まるだろう」(カーク氏)という声が聞かれる。

大和総研アナリストの森行眞司氏は「投資先は将来、すごくある」としながら も、売却益など資金の使途については、新たな事業展開の見通しがはっきりしない うちに使うのは市場の理解を得られないとの見方から、「今は、一部を投資家に還 元する」ことが得策という。

これに対し、日本投信委託の辻宗之ファンドマネジャーは、「ドコモには増配 や自社株買いによって株主に還元してもらいたくない」と話す。それは「株価を上 げるのに役立たない」と見ているためだ。T&Dアセットマネジメントの衣川明秀 ファンドマネジャーは売却益の使途について「株主還元でないことは確か」という。

衣川氏は「米国から資本的に撤退するのは正解。これから第三世代が立ち上が る。少なくともお金を海外に持っていくのであれば、米国ではなくアジアであるこ とは確か」と指摘する。森行氏も、今後の展開については「先進国ではモバイルを 自国企業でやろうとするので、進出しても利益は薄くなる」としてアジアに展開す べきだとの見方を示した。

それに対し、佐分氏は「現在、KDDIに純増加入者数では負けている。本国 でのビジネスをきちんとしなければ」と述べ、海外より主に国内の事業に重点を置 くべきだとの考えで、見方は分かれている。

ドコモ株の18日の株価終値は、前日比6000円(2.7%)安の22万5000円。

--共同取材 :Ueno --Editor :Bickers, Ozawa

企業ニュース:JBN18

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE