トヨタ:10-12月期純利益は2370億円、海外好調-市場予想

トヨタ自動車の2004年3月期第3四半期 (10-12月期)の連結決算(米国会計基準)は、純利益が約2370億円となる見 通し。円高は大きな減益要因となるものの、北米を中心とした海外販売の拡大や コスト削減効果などが寄与する見込み。ブルームバーグ・ニュースがアナリスト 4人の業績予想をもとに中央値を算出した。トヨタは5日に第3四半期決算を発 表する。

算出結果によると、10-12月期の売上高は4兆3045億円、営業利益は3665 億円、税引き前利益は3810億円となった。なお、米国会計基準に基づく決算は 今期が初めてのため、同基準による数値が公表されていない前年同期との比較は しない。

ただ、独自に前年同期の数字を算出しているクレディスイスファーストボス トン証券の遠藤功治アナリストの試算では増益決算を予想、「第3四半期として 過去最高を達成する可能性が非常に高い」とみている。大和総研の持丸強志シニ ア・アナリストは、昨年12月に発売した新型「クラウン」の国内販売への寄与 が第4四半期以降ということを考慮し営業減益を見込むが、「横ばい、もしくは 微増となれば、ポジティブに評価できる」としている。

また、今回の10-12月期は米国会計基準への変更に伴い、営業外損益で厚 生年金代行返上に伴う利益計上があるため、純利益、税引き前利益が大幅増益と なる見込み。トヨタは日本会計基準に基づく前期決算で、厚生年金代行返上益と して約2300億円を計上しているが、米国会計基準では今期の計上となる。

販売は海外がけん引

10-12月期の北米販売は前年同期比9.5%増。スポーツ型多目的車(SU V)「RX330(日本名ハリアー)」やミニバン「シエナ」などの好調が貢献 する。「インセンティブ(販売奨励策)費用は前年比で増加したようだが、収益 への影響は大きくないようだ」(岡三証券の岩元泰晶アナリスト)。欧州ではセ ダン「アベンシス」が好調、中国なども大幅に伸び、海外が全般的に好調となっ た。

一方、国内販売は同約2%と微減。トヨタ本体ではミニバン「ウィッシュ」、 小型ミニバン「シエンタ」などが健闘したが、「カローラ」、「イスト」などが 足を引っ張る格好となった。排ガス規制強化による特需が追い風となった日野自 動車、主力車が好調だったダイハツ工業などグループ会社の販売はプラスに働く。

販売拡大とコスト削減で円高吸収

為替市場では昨年9月20日の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)以 降、対ドルで急速に円高が進行。円相場は12月10日には106円74銭と約3年 3カ月ぶりの高値をつけた。トヨタでは1円変動すると、営業利益ベース(年 間)で「対米ドルで240億円程度、対ユーロで50億円弱程度」(大和総研の持 丸強志シニア・アナリスト)、業績へのインパクトがある。

ただ、そのインパクトは北米を中心とした販売拡大やコスト削減効果などで 相殺されるもよう。三菱証券の野口正太郎アナリストは、営業利益で為替の影響 により約500億円が減益となるが、営業面で530億円、原価低減で600億円程度 が増益に寄与するとみている。

なお、1月30日に第3四半期決算を終えたホンダは、通期平均の売上レー トを従来の1ドル=114円から112円、入金レートを115円から114円にそれぞ れ変更している。第4四半期は1ドル=105円、1ユーロ=130円を前提とした。

通期純利益34%増、「円高に強いトヨタ」証明

2004年3月期通期の連結業績見通しは、アナリスト5人の業績予想をもと に算出した(税引き前利益は4人のみ)。第3四半期以降も米国など海外での販 売好調やさらなる原価低減効果が継続することから、純利益は前期比34%増の 1兆5億円となる見通し。売上高は同7.4%増の16兆6650億円、営業利益は 13%増の1兆4300億円、税引き前利益は31%増の1兆6100億円となった。

トヨタは通期の連結業績予想を公表しておらず、会社計画との比較ができな い。ただ、「米国やアジアでの販売は絶好調の状態で、非常に強い決算が続く」 (クレディスイスファーストボストン証券の遠藤氏)とみる向きが多い。

為替リスクは引き続き現地生産の拡大などでも回避する。張富士夫社長は先 月末に都内での講演で「今でも単独決算ではかなり為替の影響が出ている。1ド ル=110円と120円の真ん中あたりが、だいたい日本と米国の人件費のバランス がとれる水準。今の105円レベルは相当厳しい」と述べたが、販売拡大と原価低 減で円高を乗り越えていく構えだ。

日米販売、IMV・・・今期以降も長期的な成長へ

今期は原価削減活動「CCC21」で営業利益ベースで2300億円のプラス 効果を見込むほか、今年からは世界レベルで新興市場向け戦略車の開発・販売を 推進する「IMVプロジェクト」も本格始動。タイでのピックアップトラックと 多目的車の生産を皮切りに、世界レベルで低価格かつ高品質な部品を使用した車 が投入されるため、さらなる収益拡大が期待される。世界的な販売好調もあり、 懸念される為替変動による収益へのダメージを極力吸収。円高に負けないトヨタ を証明していく。

北米では今年はピックアップトラック「タコマ」の全面改良に伴うフルサイ ズ化、2005年には同「タンドラ」のメキシコ生産開始などを予定。セダン「カ ムリ」や「カローラ」など主力車の販売減少、インセンティブ費用の増加などが 懸念されるものの、今後、「多くの新車が投入されることで増加基調は続く」 (岡三証券の岩元氏)もよう。

全体需要が伸び悩む国内市場ではまず、新型クラウンの投入効果が期待でき る。受注台数は発売から1カ月で約2万2000台と月間販売目標の4倍を超えた。 月1万台とする立ち上げ期の社内目標も上回り、順調な滑り出しとなっている。 今春にはネッツ系とビスタ系の販売店統合に伴う拡販も期待されている。

利益率の高い高級セダン市場ではクラウンに続き、来期以降は「マークⅡ」 のフルモデルチェンジが控える。小型車ブームが一巡し、台数減少が顕著な「ヴ ィッツ」の全面改良も予定。さらに2006年3月期には米国で成功を収めた高級 車ブランド部門「レクサス」の導入もあり、「国内販売の収益性は大幅に向上す る見込み」(大和総研の持丸氏)。

トヨタは昨年の世界の自動車販売台数で米フォード・モーターを抜き、2位 に躍り出た。2004年の世界販売台数は前期比4%増の708万台程度を計画。う ち、国内販売は同2%増の236万台、海外販売は同6%増の472万台となる見通 し。2010年代の早い時期に世界シェア15%を目指す目標の達成に向けて、死角 のない成長戦略を展開する。

トヨタの2日の株価終値は前日比100円(2.9%)高の3560円。

          【第3四半期連結業績見通し】

(単位は億円、カッコ内は前年同期比%、上段が2004年3月期第3四半期、
下段が2004年3月期通期)

 売上高   営業利益   税引前利益    純利益  ドル円 ユーロ円
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<アナリスト中央値>
 43045(-)     3665(-)     3810(-)      2370(-)      110    129.5
166650(+7.4)  14300(+13)   16100(+31)    10005(+34)   113.9    130.7
----------------------------------------------------------------------
◎岩元泰晶・岡三証券アナリスト
 44390(-)     3530(-)     3380(-)      2190(-)    113.30  131.00
170200(+9.8) 14720(+15.8) 16200(+32.1)  10450(+39.2) 114.80  131.40
----------------------------------------------------------------------
◎持丸強志・大和総研アナリスト
 39850(-1.0)   3380(-6.0)     4780(+60)      3110(+73)    109   129
163500(+5.5)  14200(+11.7)   16000(+30.4)   10300(+37.2)  113   130
----------------------------------------------------------------------
◎野口正太郎・三菱証券アナリスト
 44500(+6.3)   4120(+8.6)     4220(+14.0)    2550(+18.0)  110   125
169000(+9.0)  14300(+12.5)   15800(+28.8)   10000(+33.2)  110   125
---------------------------------------------------------------------
◎遠藤功治・クレディスイスファーストボストン証券アナリスト
 41700(+4.3)    3800(+8.6)     3400(+9.7)    1950(+8.3)   110   130
164940(+6.0)   14570(+14)     16300(+32)     9900(+31)    110   130
---------------------------------------------------------------------
◎カート・サンガー・アイエヌジー証券アナリスト
  NA (-)        NA (-)         NA (-)       NA (-)    NA    NA
166500(+7.4)   13860(+8.0)       NA (-)    10050(+33)   115   132
--------------------------------------------------------------------
          【2003年3月期通期実績】
   (単位は億円、カッコ内は前年同期比%、米国会計基準による)
※トヨタは連結業績予想を公表していない。

 売上高   営業利益   税引前利益    純利益  ドル円 ユーロ円
----------------------------------------------------------------------
155016(+9.2)   12716(+16.3)  12267(+26.2)  7509(+34.9)  122    121
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--共同取材:井上加恵  Editors: Tang, Hinoki

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