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ヤフー井上社長:競売に続く「次の一手」模索-高成長維持「瀬戸際」(2)

インターネットのポータル(玄関)サイト 最大手ヤフーの井上雅博社長は、東京証券取引所への株式上場という大目標を 達成しながらも、目前に大きな課題を抱えている。「広告」と「競売(オークシ ョン)」に続く収益の柱となる事業を見いだせずにいることだ。そのため、ヤフ ーの株価は日本株全体の動きに反して第3四半期で下落した。

ヤフーは21日に第3四半期(2003年10-12月)決算を東証で発表する。 クレディ・スイス・ファースト・ボストン(CSFB)証券の木村健太郎アナ リストは、売上高で前年同期比17%増の191億円、営業利益で同45%増の98 億円を予想している。UFJつばさ証券の曽根基春アナリストも「ほぼ順調な 業績になったと推定される」と予想した。

この第3四半期の10月28日、長らくジャスダックの中心銘柄だったヤフ ーは東証1部に上場した。時価総額がTOPIX(東証株価指数)の1%以上 を占める大型株になり、指数変動への影響を抑えるために東証が2回に分けて TOPIXに組み入れる初の銘柄になった。

ヤフー株は上場前こそ上昇したが、第3四半期には14万円、率にして8.9% 下落した。この間TOPIXは2.4%、日経平均は4.5%上昇している。

大和総研の上野真アナリストは、ヤフーの第3四半期について「大して目 新しいことがなかった」と述べたうえで、「上期までの躍動感が感じられず、何 もないこと自体がネガティブニュースになった」と指摘した。この四半期では リクルートとの求人事業の合弁設立発表程度が目立った程度だった。

「競売」に次ぐ収益源を模索

ヤフーの井上社長は昨年12月3日、モルガン・スタンレー証券が主催した 都内ホテルでの投資家向けの説明会で、現在主力の競売・オークション事業が 低迷したときに備えて、「新しいビジネスモデルを展開したい」と強調した。ヤ フーは立ち上げ期には広告を収益源として事業を展開、広告が伸び悩むと、「競 売」を柱に収益を確保して現在に至っている。

いまヤフーは、「競売続く次の事業」を模索している。少なくともここ数カ 月は「次の一手」が見いだせずに株価は一進一退を続け、高成長神話に陰りが 見えはじめている。昨年12月2日にはネットの検索機能が3時間にわたって停 止、10月2日にはIP電話サービス「BBフォン」で9209人に合計で1万2685 件の接続障害が発生したと発表するなど、トラブルも発生している。

対照的にこの第3四半期では、ネット宿泊予約サイト「旅の窓口」に続い てDLJディレクトSFG証券の買収を発表、三木谷浩史・会長兼社長がサッ カーJリーグ1部(J1)「ヴィッセル神戸」の経営権を握ることを表明したラ イバル楽天の動きがむしろ目立った。

ヤフーにとって新規事業の萌芽は少なくない。大和総研の上野氏は現在手 掛けている「ショッピング」(オンラインショッピングサイトの提供)が次の収 益源の有力候補と予想した。ヤフーの強みは他を圧倒する高いウェブサイト検 索率(リーチ)。これを武器にこの分野でも勢力を拡大することは十分可能だ。

同時に上野氏は「審査基準が厳しすぎるのがネック、出展の基準をもう少 し緩めてもいい」と指摘した。楽天に出店しているサイトでも、ヤフーには店 舗を出せないケースがあるという。楽天の牙城であるショッピングにヤフーが 本格的に進出した場合、競争が激化することは避けられず、ヤフーにとってシ ェアは拡大できても収益の柱になり得るかどうかは予断を許さない。

ヤフー自身もショッピングや課金コンテンツ(情報の中味)提供を次の収 益源として有望視している。力を入れ始めたショッピングについては、店舗数 がこの第3四半期で565店から一気に2倍以上の1202店まで拡大した。

収益鈍化鮮明、高成長維持の瀬戸際に

ヤフーは昨年10月発表の中間決算で初めて通期予想を発表した。今期(2004 年3月期)の連結純利益は220億-226億円と予想中間値でみて前期比84%増 加する。売上高は710億-730億円と同22%増える。水準としては高いが、前 期の増益率は106%(2倍強)、増収率は88%で収益の伸び率は低下している。

過去の数値をさかのぼれる単独決算でみると収益の伸びの鈍化は鮮明にな る。今期の当期利益(会社予想中央値)は223億円と前期比78%増、売上高は 670億円と同21%増加する。過去5年間の増益率は216%(3倍以上)、増収率 は118%(2倍以上)で、伸び率は確実に低下している。

四半期決算でも、過去4四半期の営業利益増加率は111%(2倍以上)、増 収率は63%だった。21日発表予定の10-12月期についてCSFB証券の木村 氏の予想を元にすると、3カ月ベースでも収益は急速に鈍化した見込みだ。

ヤフーは高水準の成長を続けることができるのか、それとも「並みの会社」 になってしまうのか。その答えは「次の収益源」を見いだせるかどうかにかか っている。今期の予想株価収益率(PER)は120倍程度。株価は収益に比べ て割高であり、投資家が依然同社の成長力に期待していることの表れといえる。 この期待に応えられるようにヤフーは明確な答えを出さないと、株価も「並み の水準」まで低下する可能性がある。

東証の土田正顕社長は昨年末、東証株価指数(TOPIX)を浮動株基準 の指数にすることについて積極的に検討することを表明した。ソフトバンクが 4割、米ヤフーが3割の株式を握るヤフーの浮動株比率は低く、TOPIXが 浮動株基準になれば、TOPIX連動の運用を進める機関投資家はヤフーの持 ち株比率を引き下げる公算が大きい。

こうした収益や株価をめぐる厳しい環境を踏まえると、ヤフーや井上社長 が「次の一手」を見いだすまでに残された時間は決して多くはない。

ヤフーの株価終値は、前週末比比5万円(3.4%)高の152万円。

--*東京 上野 英治郎 Eijiro Ueno (813)3201-8841 e.ueno@bloomberg.net Editor : Okubo/Ozawa

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